踊りと自然と情熱と
サラ・ベルナールという女優さんがおられます。
１８６２年に舞台デビュー、１９００年代まで活躍された方。
「トスカ」ポスター
まだ無名だったアルフォンス・ミュシャをポスターに起用し、
一躍有名にしたのも彼女です。
ご自宅のお部屋。ああ、世紀末。
綺麗だなあ～、ドラマチックだし・・・と、
今回書こうと思って、お写真集めていた所で、
どういう訳か、突然、ふと思い出したのがイサドラ・ダンカン様。
で、ダンカン様について調べてみました。
そして、惹き込まれた、「イサドラ・ダンカンの世界」
映画でこういう作品もあります。
１９６８年、カレル・ライス監督作品「裸足のイサドラ」
ヴァネッサ・レッドグレーヴ（を探せ）様、主演。
「クイン・メリー 愛と哀しみの生涯」に続き、未見の作品。
ああ、この方、大好きなのに、何故、主演の映画を拝見していないのか？
イサドラ・ダンカン様。１８７７年生まれ。
１８９０年、オークランドの教会で初のダンスリサイタル。
ここで、ひとつの偶然を発見して驚き。
オークランドの隣町、サンフランシスコ。
既にこの頃、音楽と舞台芸術の中心地だったこの街で、
サラ・ベルナール様も、舞台を踏んでらっしゃいます。
サラ様
そんな環境の中で育ったきょうだいは、
（父親は離婚していて不在、母がピアノを教えて家庭を維持、
イサドラ様も、早くからダンスを教えていらしたようです）
芸術への興味を深めて行くことに。
２０歳の頃、火事で全てを失ったダンカン家で、
イサドラ様は、ありあわせの衣装で、
裸に近い状態で踊り、その自然さに目覚めます。
その後、一家は海を渡り、イギリスへ。
この頃、イサドラ様は多くの時間を、兄と大英博物館で過ごし、
ギリシアの壷や、パルテノンの壁画に描かれた人物像を
研究したそうです。
それからも、パリ、ベルリン、フィレンツェ、ローマ、アテネ。
美術館や教会、寺院などで人物像を研究し、
「イサドラ・ダンカン」が形成されたのです。
ニジンスキーと違い、彼女の踊りは、
今でもフィルムで観る事が出来ます。
専門家に聞かれたら「馬鹿者」と言われそうな、
「あ、私も出来そう～。」という、緩やかな踊り。
高度なステップが、とか、難易度の高いポーズが、
とかいう踊りではないけど、
観ていて、いつお間にか、惹きつけられ、
幸福感を与えてくれるような踊りです。
激しいものも、当然おありだそうです。私が観てないだけ。
２６歳の時にベルリンで行われた、「The Dance of the Future」
という講演で、イサドラ様が語っておられます。
「真の芸術か否かという問題だけではありません。
…女性の美と健康の育成、女性にもともと備わっている体力と、
自然な動きを取り戻すことなのです。完全な母性と、
生まれてくる美しく健康な子供たちの問題でもあります。
私の学校では生徒たちに私の動きを真似するようにとは教えません、
ひとりひとりが自分の動きをするように…未来のダンサー、
新時代の新しい女性のからだに宿る自由な精神。
限りなく自由なからだに宿る最高の知性！」
ご本人がおっしゃる通りの理念通りのダンスを踊る、
イサドラ・ダンカン様の動きは、
数々の芸術家にインスピレーションを与えてのでしょう。
多くの絵やデッサンが残されています。
作者、作風、描きとめられたポーズ、
それらがどれほど違おうとも、
描かれた「イサドラ・ダンカン」であることが驚異。
「裸足のイサドラ」
奥手な女性だったようですが、開花されてからの、
男性遍歴は真に華やか。
しかし、事故で、子供さんを亡くされ、
４０を過ぎてから、遂に、自由恋愛遍歴に終止符を打ち、
ロシアの詩人（１７歳年下）と結婚したものの、
アルコールやお金の問題で、短期間で破たんに向かいます。
しかし、大地の女イサドラ・ダンカン様。弱気になぞなりません。
「男の心よりも私には若い肉体がほしいわ。
何か他に求めるものが男にあるというのかしら？」
ひゃあ～。よく男性が女性に対して使う言葉の裏返し？
すごいわ、「裸足のイサドラ」。
死は突然やって来ます。トレードマークの長いスカーフをなびかせ、
ファンに手を振って、車を走らせたその時、
スカーフが後輪に巻き込まれ、彼女の首の骨を折るのです。
イサドラ様の死去後、その自由舞踊（フリーダンス）は、
「イサドラブルズ」という愛称で呼ばれた、
イサドラの最初の6人の教え子達に受け継がれ、
同期生や後継者らを通じて今日まで伝承されています。
学校の体育の時間にあった、創作舞踊。
ああいったカリキュラムの生みの親でもあられてのですね。
イサドラ・ダンカン様。
あんな授業の時間が、もっとあったらよかったな。