株式会社アルシステム 代表取締役社長 -2ページ目

前回のNO.8の補足説明をしましょう。

 フローリングは、もともと、含水率の増減で伸縮を繰り返すと申し上げましたね。

それでは、この厄介な木製のフローリングを現場で実際に敷設する時に、いったいどのように施工しているのかを皆さんにお教えしましょう。

 まず、床暖房を敷設しないで、フローリングだけを敷設する場合は、フローリングと、フローリングを密着する時に、わずか名刺の厚さ程度、隙間を開けて固定して行きます。さらに、このフローリングを並べていきますと、最後は当然壁に当たりますが、この壁と、フローリングの間を約5mmほど開けておきます。こうすることによって、フローリングが、梅雨時等の湿度の高くなる時期に膨張しても、フローリング同士が膨れて、逃げる場所が無くなり、お互いが押し合って、フローリングの端を押し上げるのを防ぐ効果があります。

 この壁と、フローリングの隙間は、巾木と呼ばれる、木製かプラスチック製のカバーで隠しますので、人目につくことはありません。フローリングと壁の接地面を確認してみてください。巾10cm程の板状のものが敷いてあるのが分かると思います。

 さて、それでは、床暖房を敷設した場所のフローリングはどのように施工するのでしょうか。含水率の増減が、床暖房を敷設しない時よりも、大きく変動するので、少し厄介ですよね。

 実は床暖房対応用のフローリングがあるのです。工場で、一般のフローリングより多めに乾燥させたフローリングです。

このフローリングを使うことにより、もともと含水率が低いことから、床暖房を使用しても、含水率の変動が少なく、結果として、隙間が広がりにくいという特性があります。後は、一般のフローリングと同じように施工して行くのです。

 しかし、前回も書きましたように、このせっかく工場で乾燥してきたフローリングが現場に到着した時に雨が降っていたり、、このフローリングを長い時間現場で保管していると、含水率が上がってしまい、トラブルの原因となってしまうのです。

 では現場で含水率計を大工さんはお持ちでしょうか?

 ほぼ100%の方がお持ちになっていないのが現状です。

 でも、弊社の営業マンは100%持っています。そして、含水率が高いと、大工さんにフローリングをしっかり乾燥させてから施工するように指導しています。

 ですから、弊社の床暖房で、隙間や床鳴りのクレームが他社に比べて極端に少ないのです。

 是非、アルシステムの床暖房を御用命ください。30年の保障が付けられるのも、ここまでしっかり現場を見ているからなのですよ。


温水式床暖房と電気シート式床暖房の比較

少し間が空きましたが、続いて、クレームのお話をしましょう。フローリングは当たり前のことですが、木でできています。実は、木と言うのは含水率(その木に含まれている水分量)が変化することで必ず伸縮するのです。水分が多ければ伸び、水分が減れば縮む性質があるのです。

よく、木は生き物だから、ということをお聞きになったことがあると思います。まさにその通りで、絶えず膨張と伸縮を繰り返しています。 この伸縮が実は、フローリングとフローリングの間の隙間を大きくしたり、逆に突き上げて盛り上がったり、また床鳴りの原因の一つとなっているのです。 

どういうことかと申しますと、梅雨の時期は湿度が高くなり、フローリングは大きくなろうとし、冬の乾燥期、更に床暖房で温めてやると、間違いなくフローリングはダイエットしてしまうものなのです。

さて、それでは温水式床暖房の温水の温度のお話をしましょう。恐らく、知っている人は少ないと思いますが、温水式は通常、温水を70~80℃で巡回させています。

 これに対し電気シート式床暖房は省エネモードを取っているため、最大40~45℃まで温度を押さえています。フローリングを温める温度が高い方が、当然、水分は減少し、縮む幅も大きくなります。 

 さて、それではどれくらい伸縮するものなのでしょうか。フローリングの場合、含水率が1%下がると1800mmの長さの一般的なフローリングは通常0.18mm縮むとされています(フローリングメーカー規格参照)。

 ところで、無垢材(100%天然木そのままを切り出したフローリングのこと)や、エコ(細かい木のチップを固めたもの)タイプのフローリングは、より伸縮率が大きいということをみなさんはご存じないでしょうか。伸縮率が大きい分、積層になっているフローリングよりクレーム率は何倍にも跳ね上がっているのが現状です。

 さて、残念なことに湿度にたいする伸縮率は、普通、一般の顧客に対して、メーカーから正式にデータが出たり、詳しく説明されたりすることはありません。不思議なことでしょう?木は伸縮するという事実を隠すメリットはないと考えるのですが。

 まあ、フローリングメーカーから送ってきた同じタイミングで作られたフローリングでも、原材料の木材の部位(中心部か表皮に近い部位、根に近いか、遠いか)や、使用する木材の南側と北側(太陽が当たっている部位と当たらない部位)によって全く伸縮率が異なってきますので、お客様に説得しずらいという事実があるにはあるのですが。どうやら、日本のフローリングメーカーは目先のクレーム率を押さえることに躍起になっていて、説明責任を放棄しているように、私には思えるのですが。

 弊社は中国で最近、床暖房実績の販売高が伸びてきているのですが、かの地で、このフローリングの隙間が開くことを常識と判断されていることは、この点において、中国の方がスマートだと言えますね。

 話を戻しますが、結論からいって、温度が高ければ高いほどフローリングの含水率は低下してしまい、床が確実に縮みます。残念ながらこれは避けられません。その縮み巾も特定することは困難です。もちろん、含水率を低くした床暖房専用フローリングを各メーカーは販売しているのですが、上記のような理由で、100%,床隙きや、床鳴りを阻止することは不可能なのです。(工場出荷時に含水率を落としたフローリングも、搬送されて現場に着くころには、確実に含水率が上昇してしまいます。降雨時はかなり含水率が跳ね上がってしまいます。)

 更に、近年木材資源保護という名目で、フローリングメーカーがエコタイプと銘打って、木チップの集積材をベースとしたフローリングを売り出しています。自然保護という観点では実に良い商品なのですが、先ほども述べましたように、問題があります。含水率の変化に対し、伸縮率が大きいという欠点があるのです。

 通常フローリングは積層に木材を束ねて作るのが一般的だったのですが、その従来のフローリングと比べて、随分と伸縮率が大きいのです。その結果、このエコタイプの床暖房対応フローリングのクレームは以前の積層タイプのフローリングに比べて大変多く発生しています。

 その傾向は温水式床暖房の方が大きいのです。もちろん、電気式床暖房も多少は増えていますが高温循環タイプの温水式床暖房の発生率とは比較になりません。フローリングを温める温度が違いすぎるのです。

 また、さらに電気シート式床暖房でも弊社の場合、現場管理が徹底していますから、クレーム率は1%以下という他社ではまねのできない数字を叩き出しています。

 お客様に判断していただくとしたら、どちらを選ばれるか・・・クレームリスクの低い方を選ばれるのが一般的ではないでしょうか。

 さて、もっと詳しい話しをしても良いのですが、枚挙にいとまがありません。

 みなさんの判断はいかがですか。私は電気式の勝利とします。6勝0敗。

次に、施工性についてお話しましょう。エンドユーザーさんには直接関係のないお話ですが、工務店さんや、大工さんには、結構重要なことです。

温水式の場合、

①給湯器から床暖房までの配管設置

②給湯器、循環ポンプと床暖房を繋いでコントローラーの設置

③パネル厚が6mmのため、敷設場所以外には6mmの厚みのコンパネ(木製のベニヤ板様のもの)を敷設。

④給湯器、循環ポンプ、コントローラーへの電気配線。


これに対し、床暖房シートの場合、

①シートの敷設

②シートとコントローラーに電気配線

注:厚み0.3mmのため、厚み調整のコンパネはいらない。


さらに、温水式の場合、1階部分だけなら良いが、2階にも設置しようとすると、給湯器を大きくするのと、循環ポンプを大きいものにしなければならない。つまり、要らぬイニシャルコスト、ランニングコストのアップとなる。


かたや、シート式床暖房の場合、1階も2階も全く問題なく敷設可能であり、要らぬコストアップが一切ない。


さあ、あなたはどちらを優としますか。

私はもちろん電気シート式床暖房を優とします。5勝0敗