温水式床暖房と電気シート式床暖房の比較 NO.8 | 株式会社アルシステム 代表取締役社長

温水式床暖房と電気シート式床暖房の比較

少し間が空きましたが、続いて、クレームのお話をしましょう。フローリングは当たり前のことですが、木でできています。実は、木と言うのは含水率(その木に含まれている水分量)が変化することで必ず伸縮するのです。水分が多ければ伸び、水分が減れば縮む性質があるのです。

よく、木は生き物だから、ということをお聞きになったことがあると思います。まさにその通りで、絶えず膨張と伸縮を繰り返しています。 この伸縮が実は、フローリングとフローリングの間の隙間を大きくしたり、逆に突き上げて盛り上がったり、また床鳴りの原因の一つとなっているのです。 

どういうことかと申しますと、梅雨の時期は湿度が高くなり、フローリングは大きくなろうとし、冬の乾燥期、更に床暖房で温めてやると、間違いなくフローリングはダイエットしてしまうものなのです。

さて、それでは温水式床暖房の温水の温度のお話をしましょう。恐らく、知っている人は少ないと思いますが、温水式は通常、温水を70~80℃で巡回させています。

 これに対し電気シート式床暖房は省エネモードを取っているため、最大40~45℃まで温度を押さえています。フローリングを温める温度が高い方が、当然、水分は減少し、縮む幅も大きくなります。 

 さて、それではどれくらい伸縮するものなのでしょうか。フローリングの場合、含水率が1%下がると1800mmの長さの一般的なフローリングは通常0.18mm縮むとされています(フローリングメーカー規格参照)。

 ところで、無垢材(100%天然木そのままを切り出したフローリングのこと)や、エコ(細かい木のチップを固めたもの)タイプのフローリングは、より伸縮率が大きいということをみなさんはご存じないでしょうか。伸縮率が大きい分、積層になっているフローリングよりクレーム率は何倍にも跳ね上がっているのが現状です。

 さて、残念なことに湿度にたいする伸縮率は、普通、一般の顧客に対して、メーカーから正式にデータが出たり、詳しく説明されたりすることはありません。不思議なことでしょう?木は伸縮するという事実を隠すメリットはないと考えるのですが。

 まあ、フローリングメーカーから送ってきた同じタイミングで作られたフローリングでも、原材料の木材の部位(中心部か表皮に近い部位、根に近いか、遠いか)や、使用する木材の南側と北側(太陽が当たっている部位と当たらない部位)によって全く伸縮率が異なってきますので、お客様に説得しずらいという事実があるにはあるのですが。どうやら、日本のフローリングメーカーは目先のクレーム率を押さえることに躍起になっていて、説明責任を放棄しているように、私には思えるのですが。

 弊社は中国で最近、床暖房実績の販売高が伸びてきているのですが、かの地で、このフローリングの隙間が開くことを常識と判断されていることは、この点において、中国の方がスマートだと言えますね。

 話を戻しますが、結論からいって、温度が高ければ高いほどフローリングの含水率は低下してしまい、床が確実に縮みます。残念ながらこれは避けられません。その縮み巾も特定することは困難です。もちろん、含水率を低くした床暖房専用フローリングを各メーカーは販売しているのですが、上記のような理由で、100%,床隙きや、床鳴りを阻止することは不可能なのです。(工場出荷時に含水率を落としたフローリングも、搬送されて現場に着くころには、確実に含水率が上昇してしまいます。降雨時はかなり含水率が跳ね上がってしまいます。)

 更に、近年木材資源保護という名目で、フローリングメーカーがエコタイプと銘打って、木チップの集積材をベースとしたフローリングを売り出しています。自然保護という観点では実に良い商品なのですが、先ほども述べましたように、問題があります。含水率の変化に対し、伸縮率が大きいという欠点があるのです。

 通常フローリングは積層に木材を束ねて作るのが一般的だったのですが、その従来のフローリングと比べて、随分と伸縮率が大きいのです。その結果、このエコタイプの床暖房対応フローリングのクレームは以前の積層タイプのフローリングに比べて大変多く発生しています。

 その傾向は温水式床暖房の方が大きいのです。もちろん、電気式床暖房も多少は増えていますが高温循環タイプの温水式床暖房の発生率とは比較になりません。フローリングを温める温度が違いすぎるのです。

 また、さらに電気シート式床暖房でも弊社の場合、現場管理が徹底していますから、クレーム率は1%以下という他社ではまねのできない数字を叩き出しています。

 お客様に判断していただくとしたら、どちらを選ばれるか・・・クレームリスクの低い方を選ばれるのが一般的ではないでしょうか。

 さて、もっと詳しい話しをしても良いのですが、枚挙にいとまがありません。

 みなさんの判断はいかがですか。私は電気式の勝利とします。6勝0敗。