お気に入りドラマーのARI HOENIGが参加しているので入手しました。私、あとの二人はたぶん演奏を聴いたことがありませんしお顔も存知ませんが、ジャケを開きますと、こちらを睨みつけるBILL CARROTHERSの顔がやけにふてぶてしい。そのせいか、BEN STREETのおすましポートレイトがお見合写真みたいじゃありませんか(笑)ジャケをちゃんと開くとBILL CARROTHERSはサヨウナラでARI HOENIGが登場し、真ん中の目玉焼きを熱いうちに召し上がれとなるわけですね。アルバムタイトルがKEEP YOUR SUNNY SIDE UP(「笑顔でいよう」とか「陽気にやろうぜ」というような意味かな?)ですから陰気で湿っぽいジャズではないと思いますが、さて、どんなことになっているでしょうか。
本作は2006年2月録音、2007年リリース。全12曲中BILL CARROTHERSのオリジナルが1曲、ARI HOENIGとの共作が1曲、THELONIOUS MONKとJONI MITCHELLが1曲ずつ、あとは有名スタンダード曲や有名じゃない(?)スタンダード曲など。
本作は2006年2月録音、2007年リリース。全12曲中BILL CARROTHERSのオリジナルが1曲、ARI HOENIGとの共作が1曲、THELONIOUS MONKとJONI MITCHELLが1曲ずつ、あとは有名スタンダード曲や有名じゃない(?)スタンダード曲など。
1曲目のKEEP YOUR SUNNY SIDE UPは、楽しげなドラムにまず惹きつけられる。ARI HOENIGは、曲とは関係の無いリズムを何度も挿入してみたり(それ聞いて誰かが笑ってます)、お得意のメロディ奏法もやっていますし、お茶目なフレーズもいっぱいで、その絶妙なはみ出し具合に嬉しくなってしまう。BILL CARROTHERSのピアノも遊び心満載で思わずニヤリ。MOONLIGHT SERENADEをこの曲でわざわざ引用して弾いちゃうあたり、かなり洒落っ気のある人と見た。BEN STREETのベースは良い音が出てますが、一部でリズムが乱れちゃったりする(わざと?)のもご愛嬌。
2曲目のI CAN'T BEGIN TO TELL YOUは、気楽でインティメイトな雰囲気ではあるものの、けっこうやんちゃなピアノです。ARI HOENIGは再びブラシに持ち帰るときにスティックを床に落としてしまったようで、カラカラいう音がもろに入っていますが(笑)こういうのもいいな~。
3曲目、JONI MITCHELL作曲のROSES BLUEは、哀愁漂う切なく美しいメロディ。BILL CARROTHERSは、こういうピアノも良いですね。私としてはBEN STREETのベースラインにもう一工夫欲しいところ。
4曲目のLONDON BY NIGHTも、しっとりとしたピアノがいいです~。と言いながら、いつのまにやら船漕いでて、次の曲でパッチリ目が覚めたんですけど(苦笑)
5曲目のMY DREAMS ARE GETTING BETTER ALL THE TIMEは、ユーモラスな壊れっぷりとアンサンブルの絶妙なバラバラさ加減が可笑しくてもう最高に面白い。こういう演奏で生き生きとしているBILL CARROTHERSさん、好きです~(笑)犬猫の鳴き真似したり奇声を発してるのもおそらくBILL CARROTHERSですね(笑)ARI HOENIGのドラムだって負けちゃあいませんで、生き生きとしたお茶目な演奏の連続でめっちゃ楽しい。なぜか途中でロックンロールになっちゃうと、ARI HOENIGは大張り切りなのにBEN STREETの手は止まったままですが?(笑)
5曲目のMY DREAMS ARE GETTING BETTER ALL THE TIMEは、ユーモラスな壊れっぷりとアンサンブルの絶妙なバラバラさ加減が可笑しくてもう最高に面白い。こういう演奏で生き生きとしているBILL CARROTHERSさん、好きです~(笑)犬猫の鳴き真似したり奇声を発してるのもおそらくBILL CARROTHERSですね(笑)ARI HOENIGのドラムだって負けちゃあいませんで、生き生きとしたお茶目な演奏の連続でめっちゃ楽しい。なぜか途中でロックンロールになっちゃうと、ARI HOENIGは大張り切りなのにBEN STREETの手は止まったままですが?(笑)
7曲目のEVIDENCEは、ピアノのトンガリとハイテンションが気持ちいい。もしかしてBILL CARROTHERSさん、ハチャトゥリアンの“剣の舞”なんかも引用してます?ちょっとぐちゃぐちゃですけど(笑)
9曲目のTHE NIGHT WE CALLED IT A DAYは素晴らしいですね。あんなハチャメチャをやる一方で、こんなに美しい演奏も出来るピアニストなのね~と感心いたしました。
10曲目のSAY IT ISN'T SOは、原曲の面影などどっかへ吹っ飛んじゃってます(笑)3人とも全然型にはまっていなくてけっこう自由奔放にやっていますが、ちゃんと相互作用も働いていて、聴いていて凄く楽しい。
11曲目、YOU AND THE NIGHT AND THE MUSICのアプローチにはちょっとびっくり。これはいったい何事ですかあ?壊れかけの人形がギクシャクと行進してるみたいで面白いですが、有名スタンダード曲がこんなふうに料理されるのを聴くのは嬉しいような悲しいような(笑)リーダーに負けじという感じであとの2人も思いっきり奇妙なことやってますね~。
ラストのスローテンポのKEEP YOUR SUNNY SIDE UPもええですなぁ。ブラシの音を聴くと気持ち良くなって眠たくなるのは私だけでしょうか?お母さんに頭をなぜなぜしてもらっている小さな子供みたいな気分になってしまうんですよね。
本作ではARI HOENIGの表現力豊かで遊び心のあるドラムの面白さを目いっぱい楽しむことができて嬉しい。そんなドラムとBILL CARROTHERSの大らかなピアノの相性も良いです。予定調和でない演奏でBILL CARROTHERSがリードするところでは、やはりARI HOENIGの反応が素晴らしく冴えてます。BEN STREETは特に目立つことはやっておりませんが、いい音が出ていますし、彼のベースが演奏を支えているからピアノとドラムが少々ハメを外しても大丈夫ということで、これはこれでいいのです。
知らないピアニストの作品もなるべく聴くようにしてはいますが、最近どれも似たり寄ったりでピンと来るものがなかっただけに、BILL CARROTHERSのひと癖もふた癖もあって優等生でないところや独創的でユーモア精神のあるところ、スタンダード曲や他人の書いた曲を思い切ったアプローチで料理してしまう手際などは大いに気に入りました。彼のピアノは、静謐な演奏においても聴き手を惹きつけるものを持っていて、その才能には侮れないものがありますね。ということで要注目ピアニストとなったBILL CARROTHERSの過去作品を掘り起こすかどうか検討中です。
*オマケ
*オマケ
BILL CARROTHERSのHPへ行ってまず目に入ったのが「all work and no play makes jack a dull boy.」という諺。「仕事ばかりで遊びが無いと人間はダメになる」とか「勉強ばかりで遊ばせないでいると子供はちゃんと育たない」という意味だと思いますが、その人生哲学は、間違いなく彼のピアノにも反映されていると思いました。このHP、ちょっと見ただけですが、かなりお茶目な感じで面白そうですね。
ARI HOENIGのHPはこちら。
■BILL CARROTHERS / KEEP YOUR SUNNY SIDE UP (Pirouet Records PIT 3021)
BILL CARROTHERS (p)
ARI HOENIG (ds)
BEN STREET (b)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)