JOHN HOLLENBECKというドラマーに興味を持ち、現在のところ最新のリーダー作と思われるアルバムを聴いてみました。
7曲全てJOHN HOLLENBECKによる作曲で、HEINRICH VON KALNEINとHORST-MICHAEL SCHAFFERの両名が率いるオーストリアのビッグバンドJAZZ BIGBAND GRAZと共演し、THEO BLECKMANNによるヴォイス(アルバムのクレジットにはvocalsとなっていますが歌っているわけではない)や詩の朗読をフィーチャーする本作は、2004年4月録音、2005年リリース。楽器編成はオーソドックスですが、よくあるビッグバンドの音を期待してはいけません。4ビート無し、美しいメロディ無し、分かりやすいフレーズ無しという3拍子揃った(?)かなり先進的でユニークな音作り。単純で無調的な旋律パターンの反復というミニマル手法が多いものの、アレンジのセンスが良く、静と動の両面でハイレベルな演奏なのでどの曲も聴き応えがあります。
7曲全てJOHN HOLLENBECKによる作曲で、HEINRICH VON KALNEINとHORST-MICHAEL SCHAFFERの両名が率いるオーストリアのビッグバンドJAZZ BIGBAND GRAZと共演し、THEO BLECKMANNによるヴォイス(アルバムのクレジットにはvocalsとなっていますが歌っているわけではない)や詩の朗読をフィーチャーする本作は、2004年4月録音、2005年リリース。楽器編成はオーソドックスですが、よくあるビッグバンドの音を期待してはいけません。4ビート無し、美しいメロディ無し、分かりやすいフレーズ無しという3拍子揃った(?)かなり先進的でユニークな音作り。単純で無調的な旋律パターンの反復というミニマル手法が多いものの、アレンジのセンスが良く、静と動の両面でハイレベルな演奏なのでどの曲も聴き応えがあります。
1曲目のTHE BIRD WITH THE COPPERY, KEEN CLAWSとは、WALLACE STEVENS(アメリカの詩人 1879~1955←ん~、この人は知りません)の書いた詩のタイトルで、この詩の朗読とビッグバンドの演奏によるコラボレーション。これは面白いです。演奏は完全にミニマル手法によるもので、始終同じ音型パターンの繰り返し。演奏に重なる鳥のさえずりや虫の音、サル、カエル、大型獣の鳴き声で満ちた平和で賑やかな“密林のざわめき”は、楽器やバードコーリングによって生々しく表現され、匂いや空気感まで伝わるかのようです。神秘的で一種独特のムードと(意味は明確に捕らえられないけれど)詩の一つ一つの言葉から連想されるものによって、聴き手のイマジネーションが刺激される。
2曲目のJUST LIKE HIMでは、JOHN HOLLENBECKのタイトなドラミングを聴くことが出来ます。緊張感を孕んで躍動する無調っぽいミニマルなフレーズ、ヴォイスと管楽器のユニゾンによるオブリガート。中間部は少々アブストラクトですが、最後は入れ替わり立ち代りする木管類のソロによって熱く盛り上がります。
3曲目のABSTINENCEは、何でこういうタイトルになったのか全然分かりませんが(笑)、ビッグバンドならではのド迫力サウンドが堪能できるむっちゃかっこいい曲です。。
4曲目から6曲目は、切れ目無く演奏されるJOYS & THE DESIRES三部作。アブストラクトとジャズロック調を行き来し暗黒サウンドに至るJAZZ ENVY、変拍子だらけの迫力サウンドにHEINRICH VON KALNEINの吹きまくりアルトサックスソロが入り、ユーモアもちりばめ、やがて静かに収束するWE SIT DOWN FOR A PINT WITH GILL AND TIMを経て、三部作最後のTHE GARDEN OF LOVEでは、繊細で美しいロングトーンを生かした演奏と、THEO BLECKMANNによって朗読されるWILLIAM BLAKE(イギリスのロマン派詩人、画家 1757~1827)の詩「THE GARDEN OF LOVE」が一体となって独特の夢幻的な雰囲気を生み出しています。
MAXFIELD PARRISH(アメリカの画家、イラストレーター 1870~1966)の作品にインスピレーションを得て書かれたという7曲目のMAXFIELDは、ちょっぴりメランコリックでミステリアスなムードから重厚でダイナミックなサウンドへ。
この作品が素晴らしいと私が思うのは、JOHN HOLLENBECKが自己の精神世界を音楽で見事に表現しているからなんですね。難解さはさほど無いものの、シリアスでちょっぴり奇妙で不思議ないっぷう変わった作品ですので聴く人を選ぶかもしれませんが、センスが良くスタイリッシュでコンテンポラリーな魅力が詰まっていて、私はとても気に入っています。ジャズで聴くWILLIAM BLAKEの詩というのも面白かったですが、好きな画家MAXFIELD PARRISHにも出会えて嬉しかったです。
御用とお急ぎでないかたはJOHN HOLLENBECKのHPへどうぞ。
http://www.johnhollenbeck.com/
JAZZ BIGBAND GRAZのHPはこちら。
http://www.jazzbigbandgraz.com/
HEINRICH VON KALNEINのHPはこちら。
THEO BLECKMANNのHPはこちら。
http://theobleckmann.com/
■JOHN HOLLENBECK & JAZZ BIGBAND GRAZ featuring THEO BLECKMANN / JOYS & DESIRES (Intuition 33862)
THEO BLECKMANN (vocals, electric effect) (ドイツ生まれ、ニューヨーク育ち)
saxophones/woodwinds
CHRITIAN BACHNER (ts, , fl)
CHRITIAN BACHNER (ts, , fl)
ROBERT FRIEDL (as,s,cl)
KLAUS GESING (ts, ss, bcl)
MARTIN HARMS (bs, bcl)
HEINRICH VON KALNEIN (as, ss, fl)
KLAUS GESING (ts, ss, bcl)
MARTIN HARMS (bs, bcl)
HEINRICH VON KALNEIN (as, ss, fl)
trumpets/flugelhorns
JORG ENGELS
JORG ENGELS
AXEL MAYER
KARL ROSSMANN
HORST-MICHAEL SCHAFFER
trombones
ROBERT BACHNER
WOLFGANG MESSNER
HANS RADINGER
ROBERT BACHNER
WOLFGANG MESSNER
HANS RADINGER
REINHARD SUMMERER
OLIVER KENT (p)
ULI RENNERT (key)
HENNING SIEVERTS (b, vc)
JOHN HOLLENBECK (ds) (1969年、ニューヨーク生まれ)
JOHN HOLLENBECK (ds) (1969年、ニューヨーク生まれ)
入手先:HMV(通販)