今週の月曜日、ウクライナの避難民の一家が静岡市の市営住宅に入居し、静岡市長に面会して感謝の意を伝えたというニュースを見ました。

まずは「日本にようこそ」と心からお伝えします。

 

 

日本で穏やかな暮らしが実現できるように心から祈っています。

 

このご一家は夫が日本人で妻と3人の子供たちがウクライナ人だそうです。子供たちは8歳から12歳ですから日本だと小学生(一番上の子は中1?)ですね。

旦那さんが日本人とのことですがこのニュースだけではどれぐらい日本語ができるのかは分かりません。

 

今までウクライナに住んでいたので日本語は全くできないかもしれませんね。

 

このご夫婦がどのように考えているのか分かりませんが、一般論として日本では近所付き合い、子供の親同士の付き合い、学校の先生方とのコミュニケーションは母親が担います。

 

奥さんが日本語をほとんど話せないのなら、これらが困難になることは想像に難くありません。

 

日本語ができても日本で暮らした経験がなければ、文化の違いに戸惑われるでしょう。

 

ここで思い出していただきたいのですが、一家は市営住宅に入居しました。

 

2019年には、大阪市の市営住宅で一人暮らしをする知的障害のある男性が自治会の班長決めのくじ引きに参加することを強要され、

「障害があるから班長はできない」という事を説明することも強要された末に自殺するという

大変痛ましい事件が起こっています。

 

詳細は共同通信の記事に書かれていますが、

「障害があるので住民との交流が必要な自治会の活動はできない」と伝えると、

自治会への入会を拒否され、自治会の非会員であることを理由に市営住宅のゴミ捨て場を使わせてもらえなくなったのです。

 

事件の経緯は共同通信の記事を読んでいただくとして割愛。

 

 

私が気がかりなのは、命からがら日本に逃げてきたウクライナ人の一家が同じ目に遭うのではないかということです。

「静岡の市営住宅にはそんな嫌がらせはない」ならいいのですが。

 

第一、「その地域に引っ越した時点で自治会に自動的に加入させられている」という状況自体がおかしいですし、

「自治会に入らないならゴミ捨て場は使わせない」みたいな脅しは言語道断です。

本来任意団体であるはずの自治会に入らないと不利益をこうむる。

そういう状況が長年にわたり続いているから、私がこういう心配をすることにもなるんですよね。

 

「その地域に引っ越した時点で自治会に自動的に加入させられている」んじゃなくて申し込んだ人しか会員にならない仕組みにすれば

仮にこのウクライナ人の一家が自治会活動をしなくても、

近隣住民が「(事情は分かるけど)あの一家だけずるい」とか「私だって親の介護あるのに」とか言い出さなくて済むんですよ。

 

そんな私が今最も気になっている番組は、Eテレで4月21日(木)、つまり明日の夜8時からやる「ロッチと子羊」です。

 

一般人のお悩みに哲学の先生が昔の哲学者の思想を用いて答える、という内容です。

 

次回4月21日20時からの「ロッチと子羊」の予告には

 

めんどくさ~い地域活動、あなたならどうする?…アーレントの哲学とは

とあります。

 

2~3年前にEテレでやっていた「世界の哲学者に人生相談」でも「PTAがめんどくさい」というお悩みを取り上げ、

同じ先生がアーレントの思想を用いて回答するという回があったのですが、私はその内容に違和感を覚えました。

 

先日の記事で詳しく書きました)

 

もう放送から2,3年は経っていますが、違和感を覚えた放送内容と反論を上の記事に書きました。

 

ごく簡単に言うと「異なる意見や立場の人々と一緒に活動することは大事だから面倒くさがらない方がいい」という回答だったのですが、

 

前述の通り、本来任意参加であるはずのPTAと自治会への参加を強要される被害が全国的に相次いでいる事や、

「PTAに入らないなら子どもを登校班には入れない」

「自治会に入らないならゴミ捨て場を使わせない」

といった脅しが相次いでいることを考えると、番組に反論しない訳にはいかなかったんです。

 

 

さらに嫌な話をしてしまいますが、何年か前、ある新聞の投書欄で

「PTA役員のくじ引きに当たってしまったので、日本語が不自由な外国人が役員をやらされた」

という体験談を読んだことがあります。

 

今回、日本に避難してきたウクライナ人の母親や父親の皆様が、

「PTAは任意参加である」という事を全く知らされず、

子供を学校に入れた時点で自動的にPTAに入会させられて「くじ引き」や「ポイント制」などで強制的に役員をやらされるかもしれません。

 

可能性はゼロではありません。もちろん、自治会も同じです。

 

もちろん悪質な実態のない自治会やPTAもあるとは思いますが、

このような悪質な実態は全国の自治会やPTAで起きています。

 

 

 

アーレントを解説した新書を読んで反論したのはこちらの記事です。

 

残念ながらアーレントの著作そのものはまだ読めていないし、哲学の素人による反論なのでアーレントの思想に関する記述が間違っているかもしれません。

 

そういうことがあったらお詫びします。

 

しかし誤解を恐れて反論しなかったら、哲学に詳しくない大多数の視聴者はこのような哲学の番組に何も意見を言うことができなくなります。そちらの方が怖いです。

 


上の記事でも書きましたが、

出演や監修をされた先生の哲学者としての研究活動や業績を批判するつもりは全くないですし、

私みたいな哲学を専攻したことない人間が反論しても説得力がないのは分かっています。

 

また、NHKの番組である以上スタッフも放送内容に関わっていますし、放送内容に責任を持つのは先生ではなくプロデューサーです(テレビ局の事情はよく分かりませんがそういうものですよね?

 

先生個人を批判したいわけではないことをご理解をお願い致します。

 

 

このブログでは既に呼びかけていますが、

PTAや自治会の在り方に疑問を抱いている方や強制されたくない方は、

明日4月21日(木)のEテレ「ロッチと子羊」をご覧になってみませんか?


【4/22追記 視聴した感想】

https://ameblo.jp/iroirohitorigoto/entry-12738704425.html 



この呼びかけはもう3回連続でやっているのですが、番組を炎上させたいわけではありません。

このブログの1日のアクセスは10に満たないので、何度も投稿しないと読まれないからそうしているのです。

1日に500アクセスや1000アクセスもあれば連続投稿はしません。

 

私は番組を炎上させたいわけでも、個人攻撃をしたいわけでもありません。

 

私は「世界の哲学者に人生相談」の「PTAがめんどくさい」の回答に当時から違和感を抱いていました。

 

しかしNHKに意見を送ることもなく、ネットで意見を言うこともなく、アーレントを学ぶこともなく過ごしてしまいました。

 

その結果、同じような内容がもう一度放送されることになったのならば、何もしなかったことを反省します。

 

だからこそ、「番組を見て違和感を覚えたら、NHKに意見を送ったりネットで発言しませんか?」と呼びかけているのです。

 

「異なる意見や立場の人々と活動するのは大事だからPTAや自治会に参加した方がいい」というのは、アーレントの意見ではありません。


「世界の哲学者に人生相談」では「アーレントの思想」と「現代人の意見」をきちんと分けていなかったので、

「現代人の意見」が「アーレントの思想」と誤解されるような内容になっていました(私の記憶の限りは)

 

また、同番組ではアーレントの「複数性」という概念を紹介し、「PTAには複雑性がある(だから参加した方がいい)」と回答していましたが、多くのPTAには「複雑性」はありません。

 

同番組ではアーレントの考える「人間の条件」を紹介し、そのうちの1つは「活動」だと言いましたが(ここまでは正しい)、

 

アーレントの言う「活動」の意味は、「活動」の一般的な意味とは異なります。

なのに同番組ではアーレントの言う「活動」の意味を解説せず、現代日本で一般的な意味で「人間の条件」の1つとして挙げられた「活動」という言葉を使っていました。

 

「活動」の意味を取り違えた上で回答しているので、アーレントの思想について誤解を招く原因になっていたと思います。

 

「何言ってるのか意味わからない」という方は私が書いた「仲正昌樹「悪と全体主義」を読んで「世界の哲学者に人生相談」の「PTAが面倒」への回答に反論する」という記事をお読みください。

アーレントを解説した新書をたびたび引用して丁寧に説明しました。