私は相変わらず、土曜日のダイジェストでしか朝ドラの『虎に翼』を見ていないのだが、こちらのネット記事で『虎に翼』が結局「女は徴兵されない件」を扱わなかったのを知った。
https://bunkaonline.jp/archives/5165
薄々感づいてはいたけど、やっぱりそうだったのか。
私は描いて欲しかった。だから少し前にこのようなブログを書いた。
https://ameblo.jp/iroirohitorigoto/entry-12852408449.html
もしかしたら今後描かれるのかもしれないが、もう戦争は終わってしまったし可能性は低いと思われる。
見たかったなー。
例えば、学園祭の法廷演劇で寅子達を挑発した(元)バカ男子学生が戦時中に寅子とよねの目の前に現れる。
よねは男装して男言葉で話す自分のまま弁護士試験に受かりたいと考えて何度落ちてもあきらめないが、男はよねにこう言う。
「俺には幼い弟妹が4人もいるのに(※実際にはどうなのか分かりません。)、赤紙が来た。俺が戦争に行ったら年取った父親、母親、弟妹たちはどうなるんだよ?
なんで男だからと言う理由で徴兵されなきゃならないんだ?!
お前らは女が弁護士になれる前から女子部に入って、女でも弁護士になろうとしてきた。
山田、お前は女なのに男の格好をして男言葉で話しているな。
女がそういう事をしていて弁護士試験に落とされるのは差別だと憤るくせに、『男だけが徴兵される』という今ここにある現実には差別だと憤らないんだな。
年老いた両親と幼い男妹達の面倒を見なければならない俺が男だからってだけで徴兵されて、特に面倒見なきゃならない家族もいない山田が徴兵されないのっておかしくない?
差別じゃねーの?
女が差別されたら怒るのに男が差別されても怒んねーんだな」
と。
ここでよねはどうするのか?
男に逆ギレするのか、言葉を失って黙るのか、それともよねか寅子のどちらかが男を論破するのか?
どんな展開になってもよかったから見たかった。
私がそう望むのには理由がある。
ひとつは、アンチフェミニスト(アンチフェミ)の存在。
「女性の生きづらさや差別ばかりが世の中に取り上げられ、男性の生きづらさや男性差別は取り上げられない」と不満を抱く男性達がアンチフェミになっていってるんじゃないかと最近思うので。
私は彼らの考え方には共感しないし誹謗中傷には断固反対する。
しかしフェミニズムに対する価値観はどうであれ、男性だからという理由で生きづらさを感じている男性は歴史的にいる。
かつて、妹尾河童氏の小説『少年H』の映画版(水谷豊主演)を観た。
『少年H』は妹尾氏の少年時代の戦争体験を小説にした作品だ。
『少年H』には「オトコねえちゃん」というあだ名で親しまれている、女性らしい青年が登場する。
彼は赤紙が来たことに苦悩して自殺してしまった。
今で言うトランスジェンダーだったのかは分からないが、「男だから徴兵される」という男性ならではの生きづらさに苦しみ命を絶ってしまった青年も実在した。
『虎に翼』は性差別や性別による役割分担への疑問をテーマにしたドラマだったので、(自殺するかどうかは別にして)こういう男性の生きづらさも描いてほしかった。
(一部の)フェミニストが(一部のアンチフェミから)嫌われる理由は、女性の生きづらさばかりを取り上げている(ように見える)からではないかと最近思うんです。
そんなことなかったらすみませんが。
2つ目は(こちらがメインの理由なのですが)、今のウクライナやイスラエルでは女性も兵士になって戦争に行っているからです。
ウクライナが侵攻されて、男性は出国禁止になりましたが、女性にも志願兵はいます。
イスラエルは元々18歳以上の男女は徴兵されます。
また、第二次世界大戦のときソ連では女性兵士もいました。
(この辺り情報が間違ってるかもしれませんが、だとしたらすみません)
2024年に放送するドラマだからこそ、太平洋戦争当時「女性は徴兵されなかった」という現実を考えさせてほしかったのです。