こんばんは、いろはです。
今年も残りわずかとなりました。
先月、朝潮さんの訃報に触れてブログを書いたばかりですが、
また悲しいニュースを聞くことになりました。
元・寺尾の錣山親方。
少し日が経ちましたが、まだ悲しくて信じられない気持ちです。
男前で、スラっとしてて、あまりお相撲さんっぽくない見た目だけど、とても強い人。
子供の頃、まだ大相撲に詳しくなくても知っていた力士です。
少し前から入退院を繰り返して、場所をお休みすることもあったようですが、何場所か前には解説にも出られてましたね。
解説では、たくさん喋ってくれるし貴重なエピソードも披露してくれるので、いつも楽しみでした。少し前までは審判員を長くやっていて、お話しを聞ける機会が少なかったので特に。
正面解説:鶴竜親方、向正面解説:錣山親方、だった日。
鶴竜が横綱の顔から、弟弟子の顔に戻ったような、すごくあどけない笑顔になるのが印象的でした。
鶴竜が入門した時は、まだ寺尾もギリギリ現役で、最後の弟弟子になるのかな?その後、錣山親方は独立して部屋を出て、協会内の政治的なこともあって一門も離れてしまったけど、個人的な関係性は変わってなかったようで、見ていて心が和みました
向正面解説ではブース内で一人なので目立ちませんでしたが、「親方ちゃんねる」で他の若い親方たちと並んだ時には、すごく痩せてたのが分かりました。痩せたというより、小さく見えて心配でした。
私が初めて錣山親方を生で観たのは、2010年秋場所。
大相撲ファンになりたての頃、国技館で観戦した時です。
その日の観戦中、客席が騒然とした時間がありました。私は2階席で観戦していましたが、1階では歓声やどよめきが起こり、みんな土俵と反対の客席後方を見てる。その騒ぎに気付いて2階でも身を乗り出したり、自席を離れて1階を覗き込む人が続々。
どうやら、超有名人が来ているらしい。
場内のあまりの興奮状態に、私もちょっとくらいいいかなと、席を離れてみんなの視線の先が見えそうな位置まで行ってみましたが、その時は確認できず。
後で分かったのですが、有名人の正体はシルベスター・スタローンで、ニュースでも取り上げられていました。
しばらくそちらに気を取られていたのですが、ふと、この騒ぎに力士や親方たちはどうしてるんだろうと、土俵の方に目をやると、
姿勢を正したまま、まっすぐに土俵を見つめる錣山親方の姿がありました。
気になって振り返ったり、ちらちらと目線をやる控え力士や審判親方もいるなか、騒ぎに動じず、審判としての姿勢を崩さずにいた錣山親方が、13年経った今も目に焼き付いています。
自分だけではないとはいえ、席を離れて見に行こうとしたことが、すごく恥ずかしく感じた覚えがあります。注意されたわけじゃないけど、親方の姿があまりに凛としてて。
錣山親方とは直接お話ししたことはなかったのですが、知人がお部屋と親しくしていることもあって、稽古見学をさせてもらったことがあります。親方が、力士たちを本名の下の名前で呼んでいるのが印象的でした。
そういうご縁もあったので、先日の告別式の日にお見送りに行かせてもらいました。
見覚えのある錣山部屋の元力士の人の姿もありました。
その人たちだったのか、親方の棺が車に乗せられるとき、
「おやじ、ありがとう!」という声が聞こえました。
車が出るときには、一般の人たちからも
「寺尾ー!」「ありがとう!」など声がかけられていました。
今週、錣山部屋が新たな体制で稽古を再開したというニュースがありました。
みなさん悲しみがまだ癒えてないと思いますが、親方の見守る土俵で頑張ってほしいですね。
ご冥福をお祈りいたします。