2024年明け | キワ者便り

キワ者便り

マンガ家 入江喜和のブログです。

みなさま、新しい年が明けましたが


年頭から大きな事件がありすぎて、もはやお祝いの言葉など書けるような状況ではありませんね

地震の被害にあわれた方々のもとに、本当に1日も早く物資などが行き渡り、睡眠がしっかり取れるような日が来ますことを今は祈るばかりです

いつも同じことしか言えなくてもどかしいです


こんな時はムリクリにでも元気を出さないとイカンな

それが世の中における中高年の役目かもー

などと思い直し、まだ出したらイカン日なのにすでにゴミ収集場に出されてカラスに食い散らかされてる生ゴミを


「ちっきしょー、クソが」


とか文句たれながら勢いつけて片付けたりしていたオバさん(怖いですね)ですが


今日の篠山紀信さんの訃報で、やはり静かに考えてしまいました


昨年はいろんな方の訃報が飛び込んできて、その度に驚いたり悲しんだりしましたが

やはり有名人の方の場合、こちらは一方的に悲しいけれど実際にはお会いしたことのない方の場合が多く、自分のブログなどであんまり言ってもなあ と書くのをひかえてきました


だけど篠山さんとは一回だけお会いしてるし

なんならウチに来ていただいて写真も撮っていただいてるので

ちょっとだけ思い出し語りをしても良いですか?


あれは2016年

だから7、8年前の話になりますが

BRUTUS(以下ブルータス)という雑誌の10月1日号に、篠山紀信さんが写真を撮っておられた「人間関係」というコーナーがあり、そこにワタクシとダンナと尾崎世界観さんの3人という異例なメンツの写真が載っております

まずブルータスというオシャレな本 ていうのと

なんでこの3人?

ていうのが自分でも納得のいかないまま

話がどんどん決まっていったような


このブログの読者には言わずと知れたことと思いますが、簡単に説明


ワタクシ作「たそがれたかこ」というマンガがありまして、その中で主人公たかこ(45歳オバハン)が激推してる若いバンドマン・谷在家光一くんという男子のモデルが尾崎世界観さんなんですが

ラジオの様子なんかをあんまり似せて描いてるうちに、ご当人の目にふれるようになり、対談をさせていただくという光栄な事態になった

ところが、光栄ではあるもののそういう事態にいろいろヘマをやらかす期待通りのオバさん

あんまりにも落ち込んだので、ダンナにも相談し、仕切り直しでウチに遊びに来ていただいた

という経緯のもと

ていうか、あらためて書いてみてもしょーもないなあ、自分

なんだか今さらながらすごく反省してしまうな

そんなある日、そちらで写真を撮らせてもらっても良いですが?と尾崎さんから直々にお話しいただいたように思う

それがこのブルータスのお話しだった


それであれよあれよという間に話が進み、なんだかよく把握してないまま(いや、ちゃんとブルータスの編集さんの方から丁寧な説明もあったと思いますが、)当日になり篠山紀信さんはいらっしゃった


なにしろ超有名な写真家の先生だし と緊張しかなかったオバさん

いつも引っ散らかしてるリビングも出来る限りキレイにしたつもりでしたが

いらっしゃっるなり親しみやすいオーラの篠山さんは、「ここじゃちょっとな〜」みたいなことをおっしゃり、階下のダンナの仕事場に移動

そのゴミ屋敷というか、あまりの乱雑ゴチャゴチャぶりに、「そこだけは見せたくなかった…」と凹むオバさんとは裏腹に

「素晴らしい!ここで撮りましょう!」

みたいに楽しそうに言ってくださった篠山紀信さんは、とてもチャーミングでした


すごく精力的に生き生きとお仕事されていたので

こんなに早く逝ってしまわれるとはゆめゆめ思っておらず

なんだか妖精のおじちゃん(失礼)がちょこんと遊びに来てくださったような、そんな感じです


そして、こないだも言っておりましたが

写真に撮られるのが本当に苦手なワタクシ、ましてや推しと写真を撮るなど、本来ならありえない

よくファンミーティング?なんかで推しに肩組んでもらってる写真とか撮ってる方おられますが、スゴいな〜と憧れるたぐいであって、『推しは遠くからながめる』というのがやはり自分にはあっている

とはいえ、ダンナともこの20年くらい、ほぼほぼ一緒に撮った写真はない

だから、こんな写真は二度と撮れない

そんな写真を妖精のような篠山紀信さんに撮っていただけたこと

今日あらためて

「ありがとうございました」

と思いました


で、その写真は?って

載せないよ

いまだになんだか気恥ずかしくて直視していない


いつまでもカマトトみたいなこと言っててすいません

今年もよろしくお願いしますね