今主流の車体のタイプは積載の事を考えたテールゲートを持つハッチバックタイプが主流です。乗用車の車体はモノコック構造という構造体理論で基本形を造り剛性を確保しています。

 

モノコック構造というのは大まかに言えま張殻構造というものです。応力外皮構造とも言い、卵の殻のように外皮全体で応力を支えるという構造ですね。ただ自動車の場合は少し違って、フレームに準じる部分とルーフ、ピラー、トランクを一体化して構造体にしているものです。

 

※モノコックの概念

 

 

※航空機のモノコック

 

※自動車のモノコック

 

フレーム体があってそこに外板を張付けるものよりも衝撃による変形強度は落ちますが、全体的な強度バランス(応力を分散して受け止める)と軽さのバランスが良いんですよ。

 

構造の種類としては1BOX(例えばハイエースやアルファードとか)、2BOX(iQやスイフトスポーツとか)、3BOX(セダン)の3タイプです。当然一番剛性が高いのは構造の箱(BOX)を多く持つセダン(特にセンターピラーを持つもの)です。WRCがGr-Aの時代ではセダンボディがベースでしたよね(マーケットの事もありますが)。

 

※1BOX

 

※2BOX

 

※3BOX

以上イラストは”車の大辞典CaCaCa”から

 

さてお題について・・・

モノコックボディの剛性を一番わかりやすく表現できるものが紙で作られた箱なんです。全部が閉じた状態だと結構外からの入力に対して強度がありますよね。でも一つの面の蓋が開いていたらその開口部を中心に変形しやすくなってしまいますよね。実はそれが1BOXや2BOXのテールゲートのある車と同じなんです(ステーションワゴンは純粋な3BOXではないですがそれに準じた考え方で作られています)。

 

テールゲートが閉められている場合では、相応の強度が保てるようにしてはありますが、構造体として造られている3BOXほどではありません。この剛性の部分というのは様々な部分で人間の感覚に伝わってきます。

操作に対しての車両の応答性、乗り心地が大きな部分でしょうか・・・

 

車体剛性が低いといくら足回りを煮詰めようとしても、サスペンションへの力の入力によりサスペンションが動くよりも先に足回りを固定してある部位、そして車体全体が応力により歪むので正確なサスペンションの動きがドライバーに伝わらないですし、ドライバーの操作入力が車体への動きへ反映されにくいものとなってしまうんです。

 

車体の剛性を上げる方法としては車体の構成パネルを接合してある部分へのスポット溶接個所の追加、構造用ボンドの追加、スポット溶接を増やすのではなくシーム溶接を行う等があります。しかし、これらは後で行う場合だと時間と手間が大きくかかってしまいます。

 

競技レギュレーションに合致したロールゲージは乗員保護が第一の目的なのですが、強度基準及び取付方法基準が決まっているので当然ながら大幅に車体剛性は向上します。この場合だと2BOX車でも3BOX車でも関係なくなるくらい・・・

 

※FIA基準のロールケージ、JAF規則と違うのはボルトオンではなく溶接固定で認定工場で施工を行い証明を添付、屋根を一旦取らないと施工ができないんです

 

さて・・・

もっと簡単に剛性を上げる方法はないものか?

 

その手法がストラットタワーバー、ピラーバー、ブレースバーといった剛性アップ用部品なのです。ストラットタワーバーはショックアブソーバー頂部を固定してあるボディ部の左右を連結するもの。これは左右のショックアブソーバーが路面からの入力やステアリング操作による応力で左右がバラバラに動く(絶対量としては微妙なたわみ量ですがアラメイント公差基準でいうと大きい)のを抑制します。

 

ピラーバーは前述の箱を例に取ると、箱の中につっかえ棒をいれたり補強リブをいれたりするようなもので、箱体の変形を抑制するものなのです。なので、テールゲートを持つ2BOX、1BOX車の車体剛性を向上させる事ができるようになるのです。

 

 

※Air Repair iQに装着されたストラットタワーバー/サービス性を考慮してクイックリリースレバー式にしています

 

130の場合サージタンクの一部にエンジンの揺れで干渉し音が発生するので一般的には取付不可とされています。私的に装着時のメリットの方を優先して防振ゴムを加工して装着しています。これにより音はするものの何とかなっています。

このストラットタワーバーを装備して異音を感じた事でエンジンの揺れ具合が判明してエンジンピッチングストッパーの開発やエンジンマウント強化の一連のチューニングに繋がっていくのです。

またグニャグニャ感を感じていたのは車体剛性の低さではなく、エンジンマウントの柔らかさが原因だったということも併せて判明しました。

 

このサージタンクを逃げるように曲がったタイプのものも見かけますが、剛性の事を考えた場合、曲げがあるとそこで支える力が逃げてしまいます。この場所での重量増の事を考えたならば、そういうタイプのものを装着するくらいならば無い方が良い、と思うのが私の考えです。

 

※Air Repair iQのフル装着ピラーバー(特注)ハッチ開口部の上下の各1本づつは受注生産品です

 

※Air Repair オリジナルアンダーブレースバー(限定生産品)

これはフロア強度を増してフロアのたわみを減らし、トーションビーム摺動固定部(ピポット)の動きがスムーズになるよう狙って開発しました。iQの後部構成パネルと前部構成パネルは高張力鋼の補強付なのにピポット部のフロアだけ普通の鋼材という・・・

現在、アンダーブレースバーの製造時期が未定のため、代案でピラーバーの一種であるフロアバーをお勧めしています。

 

※カワイワークス製iQ用フロアバー

 

全長が短いすなわち、応力点までの距離が短いiQの場合だと、このくらいで充分な剛性確保が可能になります。あまりブレース類の装着を行うと効果以上に重量増というデメリットが増えて来て、せっかくの軽量ボディーの恩恵を受ける事ができなくなりますもんね。

 

ピラーバー全体に関してテンション管理が重要になってきて、簡単に装着はできるものの装着の際のテンション調整には若干のコツが必要になります。私はピラーバーの大御所であるカワイワークスさんでAir Repair iQを教材に社長直々に指導研修を受けました。その時にはピラーバー装着に関しての奥の深さに驚きましたよね~

当社が施工する場合の留意点などは有料メルマガ案件になりますのでまた詳細はそちらで・・・

 

今回は車体剛性について書かせて頂きました。かなり奥が深い部分なので長くなってしまいましたが、まだまだ足りないくらい(笑)

 

 

 

 

 

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