これはauone当時に使用したもので、アメブロには対応しておりません。
次の記事に飛ぶには、一番下にあるアメブロ用のものを御利用ください。
ちなみに、編集しながら自分の書いた物を読んで泣いてます(笑
とりあえず、テーマ作成から初めてます。
まずは山崎シリーズから移動開始。
つくね亭の熊、先生シリーズ、ボキンちゃん、都伝隊、ああ懐かしい(笑
アメブロにして正解だったなと思うのは、
同じテーマにまとめておいて、更新順の表示を選ぶと、順番通りに記事が読める点。
auoneはわざわざリンク貼ってましたからね。
さて、もう少し頑張るか。
くるりと丸まり、銀色の鞠となって飛び込んでいく。
速い。僧兵達は風を感じるぐらいしかできない。
何人かは鋭い反応を見せるのだが、薙刀は空を斬るばかりだ。
油すましが撒き散らした油雨は、薙刀の柄に深く染み込んでおり、構えることすらできなくなっていた。
一頻り飛び回った先生は、速度を緩めて猫の姿に戻った。
ここぞとばかりに僧兵達が殺到する。にも関わらず、先生はいつもの調子で油すましに訊ねた。
「準備はいいですか」
油すましの方は既に腰が退けている。
「い、いつでもどうぞ」
先生が尻尾を大きく振った。
と、稲妻のような青い光が尻尾から放たれ、僧兵に向かっていく。
光は、先ほど先生が飛び回った跡を正確になぞっていく。それだけではない。
恐るべきことに、光が触れた僧兵は体内から炎を噴出して燃え上がった。
「どうだどうだ!こってり油雨の本当の恐ろしさを思い知ったか!」
油すましは腰が退けたまま胸を張っている。まことに妙な格好だ。
が、とにかく良い仕事をしたのは間違いない。
こってり油雨は足元を悪くし、武器を持ち難くするだけが能ではない。
本来の目的は、揮発した油を敵の体内に蓄積させることにある。
先生は飛び回りながら、自らの体毛を僧兵達に植え付けていったのだ。
青い光は体毛を通じて、蓄積した油に火を点けていく。
全ての僧兵が火柱となって峠道を照らした。
その炎は先生を照らし、銀色の体を紅く染めた。
「おお怖っ。己らの行く先は判ってる。長州藩に肩入れするつもりだろうが、こっから先は通行止めじゃい」
返事の代わりに薙刀が構えられた。先頭の一人が向かってくる。
まるで平地のように上り坂を駆けてきた。
「待て待て待て。待てっちゅうに、お前らの相手はわしやない。
こちらにおわします先生……。あれ?先生?先生、どこですかな?」
慌てふためく油すましの前で、走り寄ってきた僧兵がゆっくりと倒れた。
その背中に銀色に光る猫が一匹。
「ああ先生、そんなところに」
「油すまし。用意はいいですか」
「いつでも」
軽やかに油すましの肩に飛び乗ると、先生は静かに僧兵に言った。
「貴方達は既に人ではない。容赦しませんよ」
その言葉を合図に、油すましは空中高く徳利を放り上げた。
いかなる妖力か、徳利は一点で静止し、中の油を霧雨のように辺りに撒き散らす。
「これぞ奥義の一つ、こってり油雨」
「もう少し格好良い名前にしたらどうですか」
「せ、先生それは無いですよ」
呑気な会話のやり取りの間に、斬りかかれば良さそうなものだが、
僧兵達はその場から動こうとしない。
動きたくとも動けない。
徳利から湧く油は、僧兵達の足元を油の海に変えていた。
砂利道ならば多少の踏ん張りは効いたかもしれないが、僧兵達が選んだのは車石が敷かれた道である。
油に塗れた石は氷のように滑り、立つことすら容易ではない。
が、僧兵達は油すましが思いもつかないような手段をとった。
仲間の一人を切り殺したのである。
吹き出る血潮は、人間のとは異なり真っ黒であった。
黒い血潮はたちまちのうちに粘り、僧兵達の足場を固めた。
「あらま。えぐいことするなぁ…戻れ、徳利」
「こってり油雨、あっさり破られましたね」
「む。こ、これからですよ先生。とりあえずお先にどうぞ」
では、と言い残し、先生は大きく跳躍した。