エンドピンストッパーKaNaDeの黒檀製エンドピン受けがかなり良かった話 | iPhone De Blog

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このエンドピンストッパーを使っている方は最近増えたんでしょうか?

 

私はチェロ用とコントラバス用で形状の違う物をそれぞれ使っていますが大変役に立っています。

 

この製品も様々変遷している様ですが、基本は写真の溝が多い物と単なる十字になっている物とそれに付属してセットになっている小型の物で、自分は全て持っています。

小型の物はイマイチ効果を感じられないので御蔵入りしていますが、溝が少ない十字の方はコントラバス。溝が多い方をチェロで使っています。

 

 

 

 

 

Amazonでの商品紹介記事を読むと「前略)温かみや深みのある音で音量を1.2~1.5倍程度に増幅し楽に演奏することができるようになります。(後略」とありますが、このエンドピンストッパーその物に増幅機能がある訳ではありません。やや誤解を招きそうな表現です。

 

このKaNaDeはあくまで高機能なインシュレーターで、弦楽器の帯域に対して非常に音響インピーダンスが高い材料で作られており、エンドピンから床板に振動を一切伝えず(逃さず)反射させる物と考えています。

 

楽器の振動がエンドピンを伝わってKaNaDeへ到達すると高い音響インピーダンス(抵抗みたいな物)により振動が反射してエンドピンを通じて「正帰還」(電子回路で良く利用されます)され、それによって振動が増幅される現象となっていると考えられます。

 

正帰還は既に振動しているブランコに対して同じ方向へ僅かに押す事で一層揺れが大きくなる事と同じで、これが一定量発生する事で、通常エンドピンを通じて床に振動が逃げる状態と比べて音量等が大きくなります。

 

詳しことは分かりませんが、この溝の形状によって反射する帯域の特性が異なるのだろうと考えられます。

 

これを使うことで音響的にも大変効果があるのですが、実は一番の効果はどの様な場所でも常にこれを使う事で楽器の反応が変わらない。と言う事です。

 

例えば、床にエンドピンを刺す事で、床材によっては振動が吸収されずに反射する事で、同じ様な効果を得られるのですが、一般的な木材ですと100%反射される訳では無く、材質や形状によって変わります。

普段、家でブラックホール等のゴム製の物を使っていれば当然、ゴムが吸収しやすい帯域と、床で吸収される帯域は材質により異なり、その結果、弓を通じて伝わる右手が受ける振動や左手が受ける振動等楽器の状態が変わります。

 

経験の少ないアマチュアだとホールで弾くと楽器の反応が普段と違う為、肩に力が入って上手く演奏できないと言う事がありますが、あれは普段弾いている楽器の振動状態と変わる為です。

 

このストッパーを使えば常に楽器にとって「最高」の振動状態で練習出来、自宅でもホールでも同じ楽器の状態で演奏できます。

 

私はエンドピンが刺せるホールでも何処でもこれを使いますが、楽器の反応が普段と同じですから肩に力が入ることも無く、良く響く場所であれば、楽器も良く響いてくれるので常に気持ち良く演奏できます。

 

私はこれが一番の効果だと考えています。

 

溝が多いもの少ないもの、それぞれの形状に関して記述があり「前略)開発にご協力いただいたプロのチェロ奏者及びコントラバス奏者の試奏でのインプレッションでは、標準十字モデルよりも音量と密度をやや抑えた感じになるが、ウルフの軽減効果はこちらの方が高いとのこと。(後略」とありますが「音量と密度を抑えた感じ」と言う記述はこれも誤解を招きそうです。

 

自分がチェロとコントラバス両方で比較した限りでは、コントラバスの低い帯域に対しては溝が少ない十字の方が確かに低域に効果がある様に感じましたが、チェロでは逆に溝が多い方が効果がある様で、溝の切り方によって違いがあるのはわかります。

 

恐らく、溝が多い方が固有の共振周波数が複雑で、高域に対する反射特性が高いのだろうと思います。
ウルフの軽減効果があると言うのは、ウルフそのものが共振によって発生する不整脈の様な振動の為、複雑な形状で、それらの不要振動を吸収して反射させないのかもしれません。

 

自分は、その為、2種類をチェロとコントラバスで使い分けているのですが、先日、この様な物がAmazonで売られているのを見ました。

 

 

丁度チェロ用で使っている方がエンドピンの痕でかなり傷んでいたので交換しても良いかなと思って手に入れたのですが、これに「前略)標準で付属している硬質プラスチックよりも音質に優れる黒檀から機械加工によって切り出し作製しました。(後略」とあり、当初「そんなに大して変わらんやろ」と音響効果には期待せずに届いた物を交換しました。

 

左が黒檀製、やや高さが高い様ですね。

 

チェロで使っている溝が多い物と黒檀製エンドピン受

 

本体は穴が開いているのでドライバー等を下から挿してトントンとすると外れます。

 

新しい物はやや高さがありますが、縁が広く傾斜がある為、チェロには丁度良い様です。

 

説明にもありますが、差し込む部分がやや細い様で(膨張率の違いと書かれていますが、この程度の直径で膨張率が云々と言うのはあるのかなぁ)、薄いセロテープが周囲に貼ってありました。

これが無いとスルスルの様です。

 

ついでに、底部に貼っているウレタン製のストッパー部分も交換しました。
 

私はこのKaNaDeを使いだしてからずっとこのウレタン製の吸着シートを使ってます。サイズも直径10cmとピッタリです。

 

KaNaDeへ添付される3M製のシリコン等ストッパーは幾つか使ってみましたが何れもストッパーとしてはイマイチの性能ですが、このウレタンストッパーはホールの床(木製)でもしっかり吸着されて言う事ありません。

 

 

新品の時は非常に綺麗です。

 

大変強力で、新しい時は柱にも普通に張り付きます笑

 

元々、ウレタンと言うのは掃除用のコロコロに使われている粘着シートと同じ素材ですからゴミも良くくっつきますが、適度にゴミが着いているくらいで丁度良く、基本的な粘着性はウレタンの目に見えない小さな穴によって真空状態が発生する事で維持される為、あまり埃等が付着し過ぎて滑る時は水洗いして穴に詰まっている埃等を綺麗に落とすと復活します。
 

新しい時は床面の状態によっては強力に張り付いてしまって、ちょっとやそっとでは外れなくなるので適度に汚れている方が良い様ですから埃取り代わりに絨毯の上で使ってます笑

 

右がコントラバスで使っている物

 
で、使ってみると
 
な、なんじゃこりゃ~
 
と松田優作状態になってしまいました。
 
いや、もう笑うくらいメチャ音が良くなりました笑
最初は信じられないので、ウレタンを剥がしてもう一度樹脂製の物を付け直して確認しようかと思ったくらいですが、まあ、思い止まり、従来のコントラバスで使っている物と比較する程度にしました。
 
そもそも、本体の音響効果は高いのですが、黒檀に交換する事で音の広がり、特に高域での音の広がりが抜群に良くなった様です。
 
ちなみに、コントラバスで使っている物(こちらは樹脂製)と比べても雲泥の差で、同じ樹脂製の場合は若干違うかなぁと言う程度でしたのでこれはかなりの違い。
 
「いやいや、何故だ??、そんな物変えた程度で変わる訳ないだろう」と理由を考えてみましたが、理由がありました。
 
樹脂と黒檀では音響特性が異なります。
 
例えば、硬いテーブル等に落としてみるとわかりますが、樹脂の方が音が低く黒檀の方が音が高く聴こえます。
 
言い換えれば各々の固有共振周波数が異なる訳ですが、このエンドピン受けは、KaNaDe本体とエンドピンの間に存在する為、ある意味本体とエンドピンの間のフィルターの様な役割を果たしている訳です。
 
黒檀の共振周波数が樹脂よりも高く、その付近の帯域が通過しやすくなり、強調される様になったのでしょう。
 
この場合、黒檀の帯域から考えると、帯域の低いのコントラバスでこれを使っても効果は無いと考えられますので、これはチェロで使おうと思います。
 
いや〜この程度で変わるなんて音と言うのは実に不思議ですし、全く期待してなかっただけに良い買い物でした。

追記)
11月2日

これを使い始めて本日写真の様にポロッと取れてしまいました。




エンドピンで削れて行くと最終的にこうなる様です。


自宅で練習中だったので良かったですが、価格の割に寿命が短いですね。


2個セットなのですぐ交換しますが、本番中とか他所で練習中の時でなくて良かったです。


まあ、週1位しか弾かない様な普通のアマチュアならもう少し長く使えるかもしれませんが、そう言う人は逆にここまで拘らないかな😆