チェロの下回りを軽くする事で得られるもの | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

低遅延Bluetoothでのモニターシステムで評価した結果、楽器の下回りを徹底的に軽くする事にしました。

 

元々昨年からチェロのテールピースはワイヤー型へ交換していますのでテールピースが無い分軽いのですが。。

 

今回、楽器のエンドピンを10mmシングルアイから8mmへ交換して、その時にエンドピンソケットに使っているインナーコレットのキャップを軽くする事を思い付き、早速、製作している見附精機さんへ相談するとジュラルミン製の物が製作可能と言う事でオーダしてみました。

 

実はコントラバス用の直径の大きな方をジュラルミンで加工して欲しかったのですが、メールでのやり取りで意思疎通が上手く出来なかった様でチェロの用のサイズの物が届きました。

 

左がジュラルミン製、右は従来使っていたもの(何れもチェロ用)

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まあ、普通、チェロとコントラバスを両方やっている人は少ないですし、チェロにコントラバス用の物を使っていると言うイメージが無かったのだと思いますが、チェロ用の物は直径が小さい為、締め付けトルクが小さく、細いエンドピンやカーボン製等はしっかり締まらずに緩みやすかったので、これまではコントラバス用の直径が大きい物を使っていました。

 

ただ、コントラバス用は非常に重量があるので、今回、下回りのセッティングを軽くする為、比重が1/3のジュラルミン製なら重さも1/3となり真鍮のチェロ用と同じ重さになるだろうと思ったのですが、チェロ用をジュラルミンで加工された様です。

 

見た瞬間に「あら。。」と思いましたが、装着して見ると従来の真鍮製と異なり、周囲のローレット(ギザギザ)部分の長さが長くなっていました。

 

以前の物はローレット部分が短く、その先が細くなっている為、締める時に握り難く、しっかり締まらなかったのですが、今回はローレットがある直径が太い部分が長くなっている為、しっかり締める事ができます。

 

そして何より脅威の軽量化!元の真鍮製が48gに対して比重通り1/3の18g!

 

やや1/3出ているのは直径が太い部分が長い為だと思いますが、これだけ重量に差が出ると音にも影響します。

 

ジュラルミン製を装着して弾いてみると音が軽くなって広がる感じで、今自分がやりたいセッティングと方向性は一致していました。

 

直接音でもわかりますが、低遅延Bluetoothのモニターシステムで離れた場所の音でモニターすると顕著でした。

 

只、自分の耳だけでは信頼性が低いので今回はiPadのアプリRTAで測定してみました。

 

一番低いC線の開放で比較してみると、やはり真鍮製は低い帯域ではジュラルミン製よりも出ていますが、中音域から高い部分はジュラルミン製の方が顕著に出ていて、山の形が非常にバランス良く、遠くで聴くと広がって聴こえる筈です。

 

従来の真鍮製

 

ジュラルミン製


高々30g程度の違いですが、真鍮とジュラルミンの音響特性の違いもありますし、それに対して8mmの細いエンドピンが敏感に反応しているのだろうと思います。

 

真鍮製よりも音が広がりやすいので高い方の弦も響きが良くなった様で、こちらは測ってませんが、恐らく聴いた通りでしょう。

 

見た目は単なる金属製なので、寧ろ、普通にあるエンドピンソケットとパッと見は変わらない様になりました笑

 

 

徹底的に下回りを軽くして制振性のあるアルフェで作られたエンドピンと同様に振動を絶縁するエンドピンストッパー「奏」を使って楽器の響きを殆どエンドピンから下へ逃さない様にしました。

 

ちなみに「奏」の紹介を見ると「増音」と言う表現を使われていますが、これは制振性によってエンドピンから伝わる振動が床に逃げずに反射される事で再び楽器が振動する事となる「正帰還」作用が働いている為だろうと思われ、このストッパーそのものに「増幅」機能は無いでしょう。

 

 

仮にアルフェだけでは100%制振(電機で言えば絶縁)される訳では無いので振動が床にリークすると思われますが、これを使う事でリークは0%に近い物となる筈です。

 

例えて言うなら、エンドピンが無いバロックチェロの様なものだと思いますが、足で挟んで居ない分、本体はもっと音が広がると思いますし、

これは違う観点で言えば、この状態で自宅で練習しようとホールで練習しようと楽器の振動状態が変わらないと言えます。

 

この何処で弾いても楽器の振動状態が変わらないと言う事は右手や左手に伝わる状態も変わらないと言う事になります。

 

ホールで弾くと床にエンドピンを刺しますが、これによって床に振動が伝わる事で、普段、自宅でストッパーを使っている状態と変わる為、楽器の振動状態も変わり、右手(弓)や左手の状態も変わります。

 

具体的にはホールで弾く方が振動が床に逃げる為、手応えが少なくなり、音が出てないと勘違いして逆に力が入ってしまう。と言う事は経験した事があると思います。

 

「奏」を使う事で、この状態を常に一定に保てると言う点は特にホール等での演奏経験が少ないアマチュアでは大きなメリットになると思います。

 
自分は今回軽いセッティングにしていましたが、それまではステンレスを焼入れした重いエンドピンを使っていましたのでしっかり低音系が増幅されオーケストラ等では効果的でした。
 
但し、低い帯域で正帰還が掛かると発音が遅れやすくなり音が(右手の感覚も含めて)重くなり反応が悪くなります。
 
細かい動きが多いソロ曲等をやると、この影響で細かいパッセージが伝わり難くなりますので今回軽めのセッティングにして反応を良くしました。