マービンのワイヤーテールピースをチェロへ取り付けてみました | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

12月初めに注文していたワイヤーテールピースがアメリカから届きましたので、早速取り付けました。

 

ちなみに、マービンのウエブサイトは日本のオーダーが簡単に出来る様うで、郵便番号を入れると英語で住所が出てきます!

 

少々英語が分かって支払方法(自分は海外の購入ではPaypalを使いますが)があればすぐに購入出来ます。

 

一番安い方法でも1ヶ月以内で届きましたが、今回は、Shippingを安くする為、チェロ用とコントラバス用の両方をまとめて注文しました。

 

 

先ず、最初に気が付きましたが、このワイヤーテールピース、コントラバスのユーザーは多いのにチェロのユーザーが少ない理由は、これを付けるとアジャスターが使えなくなるからでしょうね。

コントラバスはアジャスターの様な物は無く、全てギアが入ったペグでチューニングしますし、自分も元々、チェロのテールピースのアジャスターでチューニングしたりペグでチューニングしたりと言うのが面倒で、コントラバス歴が長いのでアジャスターを使う習慣がありませんでした。

 

そのうち、コントラバス同様にギアが入っているWittnerのファインチューンペグに交換してペグでチューニングする様にして、テールピースも直結のハープ型でしたから気が付きませんでしたが、恐らく、普通にこれを使う為には、そもそもペグもファインチューンペグ等に交換する必要があるので高く付きますね。

 

と言う事で、以下は取付の流れです。

 

先ず、魂柱が倒れない様にベルトで縛って、全ての弦を取り外して元々付いていたテールピースを外して、駒も外します。

まあ、魂柱が倒れない様にするのであればどんな方法でも構いません。

 

 

丁度、日曜に本番があって、弦も何もかも松脂だらけだったので、掃除を兼ねてストリングクリーナで弦も駒も指板も全て綺麗にしました。

 

その後、ワイヤーのリング部分をエンドピンソケットへ通しますが、ワイヤーテールピースの場合エンドピンから伸びているワイヤーは1本なので、エンドピンソケットに掛けたワイヤーはサドル(表板のテールガットを受ける部分)の中心を通る様にします。

 

 

4本のワイヤーは全て長さ異なりますが、同じ長さだとリングが干渉する為だと思います。

 

説明書には一般的に一番長いワイヤーをA線、短いワイヤーをC線側にする様ですが、好みによって変えても良いとも書いてます。

 

恐らく、通常のテールピースと違い、どの弦をどのワイヤーに使っても各弦の状態はそれ程変わらない筈なので、先ず説明通りに張って、そのうち機会があったら変えてみようと思います。

 

 

ワイヤーのリングに弦を通して、張り終わった状態は弦がエンドピンソケットまで延長された様な状態になります。

 

 

 

先程、それ程変わらないと書いたのは、この様にサドルから駒までの長さが同じとなる。と言う意味で、通常テールピースを使うと、この駒からサドルの間に一定の質量や音響特性を持つテールピースが介在し、この材質や形状等が音に影響する筈で、例えば、ハープ型テールピースの様にこの距離が異なる場合は、駒からテールピースのアウターレングスが変わる為、振動の特性も差が出ますし、テールピースの材質、柘植やプラスティク、黒檀等の違いでも音が変わります。

 

しかし、ワイヤーテールピースの場合はこれが全く無い為、ある意味、純粋に弦の振動が駒に伝わるだけと言う状態になります。

 

物理的に考えるとテールピースは弦の振動に対しては、テールピースの駒側もサドル側も固定されていない自由端の為、振動に対して一定の質量となり、この質量により振動エネルギーが減衰する方向に働く筈で、これに加えて駒側にはアジャスターがある分振動ロスも発生する筈ですし、弓で弦に振動を与えようとする場合はテールピースの質量分が負荷となる筈です。

 

又、駒からテールピース側の固定端までの距離をワイヤーテールピースの駒からサドルまでの固定端と比較すると、ワイヤーテールピースの方が格段に長くなるので、振動も継続しやすくなる筈です。

 

その為、同じ様にエネルギーを投入するとテールピースによる質量で減衰しない為、単純に音量は大きくなり、減衰時間も長くなり、いわゆるサスティンも増えると思われますが、実際に使ってみるとほぼこの推定通りの音でした。

 

但し、問題もありました。

 

先ず、音質です。

弦の振動のみと言う事は逆に言えばテールピースによる味付けが全く無い訳で、純粋に弦の振動のみの音はテールピースを使う場合と比較して明るくなる為、この音色が好みになるかと言う事です。

 

自分の楽器はドイツ製のオールドですが、イタリア製の様な明るい音になってしまいました。

もし、元々明るい音の楽器だと倍音が出過ぎてギラギラするかもしれません。


この理由は、やはりテールピースが無い為で、先程、テールピースの質量は減衰する方向へ働くと書きましたが、一方でエネルギーを投入し続けると、慣性の法則によってテールピースの振動が維持され、テールピースの持つ共振周波数に近い部分が駒に正帰還されて固有の音質となると思われます。


黒檀やローズウッド等は比較的重たく、拓殖やプラスティックは軽いのでそれぞれの特性に応じた音質となる筈で、テールピースで音質を変える要素がありますが、一方でこの分負荷が増えますので右手に負担が掛かる筈ですし、詳しい事は省略しますが、このテールピースの挙動によってウルフも発生しやすくなる筈です。


一流奏者は良い楽器と弓とテクニックでこれらを全て良い方向へ変換させる筈ですから一般的なテールピースで全く問題無いのだと思われます。


又、ベルクロ(マジックテープ)を使わず、ワイヤーのみの場合、特定の音に共振が発生する様で、弦とリングの間で大きな雑音が発生する事があり、その他、弦の振動の最後にワイヤーの金属的な響きが残ると言う問題があります。

 

その為、テールピースの形をしたベルクロがある様で、これを使ってワイヤーを挟むと、この様な雑音は全く発生しませんが、若干音量が落ちる一方、音質もやや丸くなる様で、こちらの方が好みの人もあるかもしれませんし、場合によってはこのベルクロをカットして調整している人も居る様です。

 

これに関しては今後、付けたり外したりして確かめたいと思います。

 

ベルクロと同様の効果はポリーミュートでもある様で、ベルクロを使わずにポリーミュートを取り付けると言う方法もありますが、これはベルクロよりも音量が落ちる印象でした。

 

 

ベルクロを付けている方が見た感じ普通のテールピースっぽいので違和感は少ないですね。

この取付位置によっても若干音が変わる様ですが、自分は一番下の方に装着しました。

 

 

ベルクロに何らかの重りを付ける事で質量が増える事で、少し落ち着いた音になる様なので、缶バッチを取り付けてみましたが、これ中々お洒落です笑

 

 

このテールピースを使うとウルフが減るとの事ですが、確かに効果はありそうで、楽器に付けているクレンツのウルフキラーは殆ど必要がなくなりました。

 

只、場所を変えると音質が変わる効果があるので、その用途で場所を色々変更して、気に入った位置にして使ってます。

 

この他、エンドピンは従来まで使っていた10mmのステンレス製よりも、8mmのアルフェコの方が音質が良さそうなので、エンドピンはそちらへ変更し、ソケットのキャップも従来のコントラバス用の重たい物からチェロ用の軽い物へ交換して、全体的に軽いセッティングへ変更しました。

 

 

音量や響きが相当変わったので、未だ慣れませんが、弦が柔らかく感じて左手も押さえやすく、思ったより好印象でしたので暫く使おうと思います。

 

マービンのウエブサイトには取り付けや使い方等詳しい事が書かれていませんが、入っていた説明書には詳しい事が書かれていますので両面写真をあげておきます。

 

 

 

コントラバス用も手に入れてますので、次はコントラバスも交換します。