チェロの弦の話 ラーセンのイル・カノーネは中々気に入りました。 | iPhone De Blog

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久しぶりに弦の話です。

 

4月にラーセンのIl Canoneを張りました。
イル・カノーネと読みますが、最初の2つは大文字のiと小文字のLの様です。

 

正直高いです笑

 

ただ、高いだけの事はあり、気に入って使ってます。

 

この弦はバージョンが2種類有り、標準が「Direct&Focused」、オプションとして「Warm&Broad」があります。

 

 

 

 

 

この2種類は組み合わせて使っても良い様で、テンションやゲージサイズも全く同じです。

 

自分が気に入ったのはアリオーソよりもテンションが低い事で、ラーセンのオリジナルよりややテンションが高いと言う感じです。

 

基本、テンションの高い弦は好みでは無く、どうやらこの辺りが自分の扱えるギリの様です。

 
勿論、張るまではどんな音か分かりませんが、タイプのネーミングのイメージから、ADを「Direct&Focused」、GCを「Warm&Broad」としました。
 

 

見た感じは普通のラーセンですね。

 

糸巻き側には印が入ってます。

 
自分がこれまでラーセンのオリジナル、マグナコア、アリオーソ等を使った印象ではテンションや音色、音量等含めて最も気に入ったシリーズですね。
 
ADとGCでタイプが違いますが、基本的に張った直後はどの弦も倍音が非常に多く、その後、落ち着いて来ると安定したパワーが感じられますし、A線の倍音はかなり持続しますし、倍音が響きすぎて、本来の実音がわからないくらいです。
 
自分が使った感じでは「Direct&Focused」が従来のラーセンサウンドで、明るいクリアな音色で、「Warm&Broad」は近年取り入れているアリオーソやマグナコアに見られる倍音が少なめで、芯のあるしっかりした音がするやや落ち着いた音色と言う感じです。
 
数ヶ月使ってきて、気になったのがA線で、良く響くのですが、先に書いた様に響きすぎて音程が分からなくなる所があったり、オーケストラの速いパッセージ等で音のキレが悪いと言うのが気になりました。
 
どうも、「Direct&Focused」のA線は特許を取得している新素材だそうで、数値的なテンション等は同じですが、弦のキャラクターから言うと弾力が強い・柔軟な印象で、その為、長い音を歌う時は倍音を伴って美しく響くのですが、速いパッセージでは音が分離し難いのかもしれません。

と言う事で、今月、A線だけを「Warm&Broad」にしてみたのですが、こんなにキャラクターが違うのか?と思うくらい違っていて、自分の求める方はこちらの方だったと言う事が分かりました。
 

こちらは、先の「Direct&Focused」とは逆に倍音が少なく比較的地味な音ですが、しっかり芯が鳴る感じで、音量もこちらの方があるのでは無いかと思いますし、正に「Warm&Broad」と言う感じですね。
恐らく、プロ好みの音色はこちらでしょうしヤーガーが好きな人も気に入るかもしれませんね。
 
ヤーガー好きの師匠にちょっと弾かせてみたいと思います。
 
この弦の場合、倍音が少なめなので実音の音程も分かりやすく、先の同じパッセージを弾いても音離れが良いので速いパッセージもクリアに聴こえます。
※同じ人間が弾いているのだから弦の特徴の違いでしょう。

 

 

「Warm&Broad」のA線は巻線に印がある様で、赤い印が入ってます。
 
ただ、この弦に変えてA線の響き方が変わった為、それまで使っていたアルフェの8mmのエンドピンと合わなくなった様です。
 
 
これまでは倍音が多い、以前使っていたワーチャルのナイロン弦や「Direct&Focused」とアルフェの8mmが丁度バランスが取れていたのですが、「Warm&Broad」を使うと倍音が少なめの為、同じエンドピンでは一層倍音が少なくする為、音色が物足り無く感じて、試しに、お蔵入りしていたシングルアイを引っ張り出してみました。
 
 
こう言う時に、インナーコレットホルダーを装着して、コレットを8mmと10mmの2種類を持っていればどんなサイズのエンドピンでも自由に交換出来て良いんですよね。

 

 

とは言え、これだけでも相当な金額になりますが笑、車でも何でも足回りと言うのは重要ですから、自分はその辺りは投資しています。

 

自分はアルフェの10mmも持ってますので、それも使ってみましたが、アルフェの10mmは一層その傾向が強く、こちらはやはり5度調弦の倍音が多いコントラバスとの組み合わせが丁度良い感じで、この「Warm&Broad」にはシングルアイが一番合う様です。

 

シングルアイはステンレスを焼入れして硬度を上げたエンドピンですので重量もそれなりにありますが、硬度が高い分、高域の音響特性が良いので、エンドピンそのものだけでかなり明るい音色に変わります。

但し、高域の特性が良いと言う事は、弦の組み合わせが悪いと雑音が目立ちやすくなり、常に倍音が良くなる為、音色が変わりにくいと言う難点がありました。

 

アルフェの場合はこの様な材料による色付けが無く、楽器と弦の特徴がそのまま出る為、以前使っていたワーチャルのナイロン弦や変える前の「Direct&Focused」の様に良く響く弦とは相性が良かった為、結果的にシングルアイは長くお蔵入りとなっていました。

 

今回の「Warm&Broad」の様にストレートな音の弦は逆にシングルアイの様にやや明るく色付けしてくれるエンドピンの方が良い様で、こちらへ交換する事にしました。

 

又、エンドピンを交換した為、楽器の響き方が変わる事から、クレンツのモジュレータの位置もやや変更して再調整を行いましたが、弦に装着するウルフキラーと違って楽器の響き方そのものを調整する為、この様な場合にも柔軟に調整できるのは良いですし、本来のウルフキラーとしての機能も含めて、位置によって劇的に楽器の響きを改善する事が出来ます。
 

 

 

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自分はもう随分前に個人輸入で手に入れて使っていますが、最近になって、知り合いの東京やアメリカのプロのコントラバス奏者の間でこれが使われているの知りました。

プロのチェリストでこれを使っている人がどのくらい居るのか知りませんが、自分の印象ではチェロ奏者はコントラバス奏者ほど、この手の物に食い付かない感じがします笑

 

弦に大きなウルフキラーを付けている人を見ると「これを使えばよいのに」と思いますが、ストラド等の名器等は「貸与」されている物もありますし、楽器本体に装着する物は傷が入ったりする事も考慮して使われないのかもしれませんね。

 

以前、誰かがコントラバスは楽器が遅れている(完成されていない)から、この手の物が沢山あるし、すぐに食い付くと言う事を言ってましたが、確かに「ベースバギー」等楽器を運搬する為の小道具までありますね笑
 

自分はコントラバス奏者でもあるので、この手の物にはすぐに食い付く為、楽器は1700年代と古いですが、ハープ型テールピースやウィットナーのファインチューンペグ等、近代のテクノロジー満載の楽器となっていますし、弦に関してもあれこれと使いたくなります笑