久しぶりに手に入れたエンドピンストッパー「Kanade」は、今探しているエンドピンストッパーかも | iPhone De Blog

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iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

先日、手に入れたアルフェのエンドピン
 
詳しい話はこちらを読んで頂くとして、気に入って使ってますが、そうなるとエンドピンホルダーも気になります。
 
自分は随分前にこれを手に入れて長く愛用しています。
 

 

 

https://ameblo.jp/iphone-fan/entry-12240778947.html

 

 

これを手に入れた一年後くらいに開発されたのが今回手に入れた「Kanade」です。

 

正直、上のアドバンストエンドピンホルダーも「高い!」と思いましたが、こちらはその比ではありません(笑)

 

ちょっとした高級エンドピンと遜色ない価格です。

 

 

 

この価格と、アドバンストエンドピンホルダーが気に入っていたので特に気にしてなかったのですが、今回「エンドピンが余計な事をしない」と言うエンドピンを使う様になって「エンドピンホルダーの方も余計な事をしない方が良いのではないか?」と思い始めました。

 

アドバンストエンドピンホルダーも本来、この「Kanade」のコンセプトに近いと思うのですが、アドバンストエンドピンホルダーの方は穴の開いたドーム状の構造から言って「レゾナンス(共鳴)」効果があるのは間違いありません。

 

自分は2種類の材質の物を使っていましたが、材質が違うと音も異なりますので、やはり構造や材質が音に影響しているのは間違いないと思います。

 

又、アドバンストエンドピンホルダーの欠点として、長く使うとエンドピンの先端が摩耗する。と言う点があります。

それに関してはそれ程大きな欠点では無いにしても、エンドピンを受けるカップの部分が金属製であり、この部分が本体とベアリングによって固定されていますが、このベアリング部分も実際には振動のロスが発生している可能性があります。

 

今回手に入れたエンドピン「アルフェ」は微小振動を吸収する制振性の優れた素材「アルフェコ」で出来ている為、ppの小さなエネルギーでのコントロールが上手く行く様になったり雑音が少なくなった(音が締まった)と言う印象があります。

 

但し、エンドピンそのものは8mmと細く、ビブラートの動きなどでも楽器が揺れますし、C線やG線のエネルギー量の大きな振動はそのまま先端に伝わっているのであれば、その先の状態が影響するだろうと思った訳です。

 

その証拠に、先端にゴムを付けたままだったり、アドバンストエンドピンホルダーを使ったりすると音が変わりますからストッパーには影響される筈です。

 

自分の楽器はインナーコレットホルダーのお陰で8mmでも10mmでも使えますが、仮にアルフェの10mmを使うと、制振性が高くなるかもしれませんが、一方で重さが増える為、それはそれで違う方向に行きそうです。

 

何か、エンドピンの先の振動を(反射・吸収・遮断)する、硬い素材「要するにアルフェコと同じ制振材料」で出来たエンドピンストッパーは無いのか?と思って調べると、この「Kanade」が車のブレーキパッドの材料を元に作られている事を知りました。

 

ブレーキパッドと言うのは金属では無く、複合材料の様ですが、擦り合わせて車を停める目的の物ですので当然硬い材料で作られています。

 

又、ブレーキを掛けている時に発生する音「鳴き」を抑える為に材料の配合などを工夫して特製を持たせる技術があるそうで、このブレーキ材料のエンジニアが作ったのがこの「Kanade」だそうです。

 

この「Kanade」は「アルフェコ」と同じ様に制振性を持つインシュレーターとしても使われますので、材料の特製としても同じ方向となります。

 

この「Kanade」の紹介文には「増幅」と言う言葉が書かれていますが、構造的にはアドバンストエンドピンホルダーの様にエンドピンホルダーそのものが共鳴する様な構造とはなっていません。

 

但し、一定の質量を持つ物体ですので固有の振動数(共振点)はあると思いますし、エンドピンから伝わる振動がこのKanadeが共振する事で増幅されると言う事だと思います。

 

この辺りに関してはどの様に設計されているのかは分かりませんし、余計な事はして欲しくないのですが、アドバンストエンドピンホルダーよりも音の反射性が良さそうですし、材質的にも硬そうで質量的にも重そうな印象でしたので、もしかすると、自分が探しているエンドピンストッパーはこれかもしれないと思った訳です。

 

また、これが気に入った理由のもう一つが「コントラバス、チェロ用」とある事で、つまりどちらでも使えると言う点で、両方の楽器をやっている自分にとってはピッタリの製品でもある為、今回、思い切って手に入れてみました。

 

今までもアドバンストエンドピンホルダーをコントラバスで何度か使ってみてましたが、エンドピンを挿す部分が小さく使い難いこともあるのと、コントラバスで使ってみると、コントラバスのエネルギー量に対して、オーバーフローするのか、特に効果が感じられない印象でしたので、今までは手製の大型ストッパーを使っていましたが、コントラバスのストッパーとしても効果があれば言う事はありません。

 

一式のセットはこんな感じで、さすがに高価なストッパーで、滑り止めのゴム関係が沢山入ってます。

 
基本的に大小2種類の本体とそれに取り付ける2種類のエンドピン用のカップがあります。
 
写真では小さい方を裏返してゴムの面を見せてますが、構造的には同じです。

 

 

 

とても硬そうで、石の様ですが樹脂製だそうです。

溝が切ってありますが、この溝が音に影響する様で、材料と溝を色々変えて実験されたそうです。

 

 

もう、まんまブレーキパッドですね(笑)

 

 

音楽関係のアドバイザーがいらっしゃる様で、実際の現場の状況に応じてストッパーとして有効に使う為の網の目シート等が付属しています。

 

 

エンドピン用のカップは取り付けと取り外しが可能で、交換用パーツもある様です。

 

写真にある様に穴の直径が異なる物が2種類あります。

 

チェロの場合、エンドピンを伸ばして使うとエンドピンの角度がかなり浅くなる為、広い方がチェロ用となるでしょう。

 

取り敢えず、穴の小さい方(立てて使う)をコントラバス、穴が広い方(寝かせて使う)はチェロ用としてみましたが、自分の場合はそれ程傾けないので、どちらでも大丈夫でした。

 

 

ちなみに、外側のゴムはキャップ状となっていて、本体に被せてあるだけの様で、底面に両面テープで貼り付けてあるのみで、ここも交換できそうです。

付属の3Mのシートの大きなものはこれを取り外して貼り付けて使う様に説明書にはありました。

印象ではこのゴムキャップで充分だろうと思いますが、この辺は実際に外で使ってみてからですね。

 

 

カップのサイズの違いです。

材質は硬質プラスティック製の様で、エンドピンを挿すと傷は入りますが、少々で使えなくなる事はなさそうですし、円錐状に加工している為、この部分でズレる事は無いでしょう。

 

 

詳しい説明書も添付されています。

 

 

今回、Kanadeの2種類とアドバンストエンドピンホルダーを比較してみました。

 
重さを比較してみましたが、やはりKanadeの大はしっかり重たいです。

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今回、チェロでテストしたアルフェとシングルアイ、ドライカーボン製のエンドピンです。

恐らく、どれも皆さん使われている方が少ない物ですね(笑)

 

 

コントラバスの方は手製の大型のストッパーとKanadeの大に対して、チェロで使っていたシングルアイ、30年以上前に自分で作ったチタン(長くて溝が切ってあるもの)、チタン+真鍮の見附精機製エンドピンで比較しました。

 

 

最終的にシングルアイ+Kanadeの組み合わせでジャーマンとフレンチの2種類で比較してみました。

 
先ず、全般的な印象ですが、予想通りで、やはり材料や構造を含めた物理的な性質と言うのは音に出るものです。
 
そして、これらが全て「何れが優れているか?」と言う様な結果とならないのも言うまでもありませんし、楽器や弓の持っている個性やポテンシャルが最終的に左右しますので、自分の印象もアテにならないと思います。
 
随分昔、日本のアマチュアコントラバス奏者の中でフレンチ弓を使う人間が増えて来た時にジャーマン弓を否定する人が少なくありませんでしたが、私はそれに対して、真っ向から反論して、単に個性の違いであり、それぞれにメリット、デメリットがある。と言う姿勢で両方使って来ました。
 
今はチェロも弾いてますが、やはりコントラバスを弾く場合は、ジャーマンの良さもあると言う事をあらためて思いますし、最近は、フレンチ弓に対する正しい理解も広がり、その様な不毛な議論も少なくなったのでは無いかと思います。
 
と言う事で、以下はあくまで参考と言う程度です。
 
チェロ)
 
◯ シングルアイ+アドバンストエンドピンホルダー
チェロの場合ですと、最もパワフルな印象のする組み合わせはシングルアイ+アドバンストエンドピンホルダーでした。
但し、パワフルな印象の中には比較的高い成分の倍音が多く含まれる印象で、その分、純粋な響きとなる音の成分以外の雑音も多く出ている印象です。
 
パッと聴いた時は一番音量、音質も派手な組み合わせで、C線のD等を押さえて弾くと「おぉっ」と言う雑音混じりのエグい音がします。
 
但し、暴れ馬的な要素が多く、実際の演奏となると慣らし難かったりする場合もあります。
 
アドバンストエンドピンホルダーは、それ自身が音を明るく広げる方向へ持って行く為、やや大人し目の楽器等で、お手軽に音色を変えたい場合は有効だと思いますが、弾き手を含めて、楽器のパワーが大きいとオーバーフローする傾向があると思います。
 
ちなみに、ウォールナット(茶色)アッシュ(白)がありますが、ウォールナットの方がやや落ち着いた音色となり、当初の楽器の頃はウォールナットを使っていましたが今はアッシュを使っていました。
 
◯シングルアイ+Kanade大
これも上記と方向性は同じですが、これはシングルアイの個性が強く出てる為だと思います。
但し、Kanade大の質量や性質で、これをかなり抑えこんでいる為、シングルアイの有効成分が良い感じで出ている気がします。
 
シングルアイに限らず、ハイブリッド系のエンドピン等、エンドピンでパワーや音色を作る様な方向の物を使われている場合だと、このKanade大が良いかもしれません。
 
それこそエンドピンストッパーが、エンドピンの個性を殺さず発揮してくれると思います。
※エンドピンの個性を100%発揮する為には、エンドピンソケットの構造が重要なのは言うまでもありません。
 
◯シングルアイ+Kanade小
これはKanade小の体積や質量の問題かもしれませんが、パワフルなシングルアイに対してややオーバーフロー気味な印象で、この方向ならアドバンストエンドピンホルダーとの組み合わせの方が良い気がしました。
 
◯アルフェ+アドバンストエンドピンホルダー
エンドピンで特に余計な事を何もしないアルフェの場合、楽器の音色をしっかり芯のある音にしますので、この組み合わせではアドバンストエンドピンホルダーの音を明るく広がる方向へする個性が出てくる印象で、pp等の場合アルフェによって楽器の振動を消さずに慣らしてくれ、音量が大きくなると、良く言えば倍音が増え明るい音色となります。
 
正直、この組み合わせも捨てがたいですが、ややノイズが増える点や細かい点で右手に関する反応がやや気になる感じです。
今、上の弦でラーセンのノーマルを張っていますが、ラーセンが安っぽく聴こえると言えばわかるでしょうか(笑)
多分、ヤーガーとかだと又違うかも。
 
◯アルフェ+Kanade小
現状のセッティングだと、音色やバランスのトータルでこれが最も気に入りました。
楽器の音色やパワーの違いがそのまま素直に表現出来る組み合わせだと思います。
 
自分の楽器は1700年代のオールドですが、楽器のポテンシャルが高ければこの組み合わせが最も楽器の個性を発揮すると思いますし、右手の動きを何も邪魔しない印象で、とても楽に弾けます。
 
kanade特有の雑音の無い芯のある音がppだけでなく、それがffまで続く印象で、ホール等弾くと最も楽器が鳴る組み合わせかもしれません。
 
◯アルフェ+Kanade大
実はKanade小、音は気に入ったのですが、唯一残念なのがサイズ。
 
弾いていると場合によってはコロンと向こう側に倒れる事があります。
床ならまだ気になりませんが、絨毯の場合、本体が沈み込んで傾く為、ちょっとした程度で前に倒れてしまいます。
 
Kanade大の方は、もちろん大きく安定していますのでエンドピンストッパーとしての機能は全く問題ありません。
 
但し、この組み合わせは、大きな音の場合は、自分の楽器ではシングルアイ+アドバンストエンドピンホルダーと比べると音色がやや地味になる印象ですが、こちらの方が音に芯があり、しっかり「箱が鳴る」印象で、音が遠くに飛ぶのはこちらかもしれません。
 
恐らく、一定以上の振動の場合、アルフェが楽器の振動をKanadeへ伝えて、Kanadeが共振作用でそのまま楽器に振動を返しているのだろうと思いますが、エンドピンやエンドピンストッパーの余計な色付けが加わらずに、楽器の音がそのまま大きくなると言う印象です。
 
又、ウルフが少なくなると言う事が書かれていましたが、自分の使っているKrentzのウルフキラーの場所も効果が少なくなる方向へ変更しましたが、これも又音量アップに繋がっている様に思います。
 
コントラバス)
◯シングルアイ+Kanade大
 
実はこれ以外に関しては、幾つかの組み合わせで試してみましたが、自分の楽器の場合は好みではありませんでした(笑)
 
強いて言えば、好みは自作のストッパーとシングルアイですが、これだとシングルアイの個性が出過ぎてやはり雑音が非常に多くなります。
 
このストッパー25mmの丸い木(材質不明)に表に革、裏にスポンジを張って作った物で、何十年と使ってて穴だらけですが、コントラバスの振動をしっかり受けてくれて椅子に固定する紐もある為、どんな場所でも安定して演奏できますが、大きくて重たいですし、セッティングに手間が掛かり、長さの調整も面倒なので、これに変わる物を探していました。
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Kanadeを使うと、このシングルアイでブーストされた音量に含まれる雑音をかなりカットしてくれる印象です。
 
そもそも、自分のコントラバスは5度調弦で普通のコントラバスよりも倍音が多く良く響く上、5度調弦用の弦が、オブリガートやスピロコアと比較的ノイズの多い弦である為、シングルアイを使うと音量も増えますが、ギャン鳴りも増えます。
 
Kanadeはこれを抑えてくれる様ですし、元々ノイズが少ない落ち着いた音が出るフレンチ弓の方がこの組み合わせには合っている気がします。
 
まとめ)
 
以上、チェロとコントラバスの両方で試してみましたが、当初の目的通り「チェロでもコントラバスでも使える」と言う点と「アルフェ」のエンドピンと組み合わせて楽器のポテンシャルを活かす響きを作る。と言う方向性には合っていたと思います。
 
このKanade、価格が高いのが難点ですが、どうやら量産が難しい様なので価格は高くなるのでしょう。
 
価格的にもアドバンストエンドピンホルダーがアマチュア向けなら、こちらはプロユースと言う感じでしょうね。
 
まあ、オンリーワンの製品であるのは間違い無いでしょうし、自分の場合、2種類の楽器で使えますのでお得でした。
 
まだまだ、本格的な練習再開とはなっていませんが、コントラバスで参加しているオーケストラの方は既に弦分奏がスタートしていますし、チェロの方もそのうち練習再開するでしょう。
 
実際に外で試してみるのが楽しみです。