チェロの駒をベルギー駒からフレンチ駒へ替えました。 | iPhone De Blog

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在宅ワーク特集の機器紹介記事が続いてましたので、久しぶりに音楽関係の話です。

 

昨日、弦楽器工房まつもとさんの所へ楽器の調整と弓の毛替えをお願いして受け取りに行ったのですが、今回の調整は久しぶりに駒の交換でした。

 

自分は8年前にチェロを始めてから、これまで4台手に入れましたが、1台を除いて駒にはベルギー駒を付けていました。

 

初代、Liuxi工房製 

ヤフオクで9万で手に入れましたが9万とは思えないクオリティでした。

 

 

取り外したフレンチ駒

 

2代目ヘフナー

こちらは3代目を2ヶ月後に手に入れた為、駒はフレンチのままでした。

 

左が4代目フォーグラー、右が3代目ホルツレヒナー

ホルツレヒナーもベルギー駒に交換しました。

 

現在、使用中のフォーグラー

 

もちろん、今のフォーグラーもベルギー駒なのですが、最近、ハイポジションで重音を取る様な曲を練習する事が多く、弦高がやや高めの為、2本も押さえるのが大変なんです。

 

弦高を下げようかと師匠に相談してみたところ、駒の真ん中の源氏パイ(フレンチ駒ならハート型)の部分と駒の上部の間があまり距離が無いので、削って下げない方が良い。と言われました。

 

と言う事は足の短いフレンチ駒ならもっと低く出来るだろうと思った訳で、ベルギー駒をフレンチ駒へ交換するのは初の試みでした。

 

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元付いていたベルギー駒

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ところが、まつもとさんの所で仕上がった楽器を弾いてみると、妙にギャンギャン鳴って、全く違うキャラクタの楽器になってしまってました。

 

確かに弦高は下がってますが、どの弦も頼りない感じがして「うーん。こんなもん?失敗したかな」と思い、店と普段弾いている場所でも違うので「取り敢えず弾いてみます」と言って持って帰りました。

 

で、その後、家で弾いてみると、気が付いたのがベルギー駒とフレンチ駒のキャラクタの違いです。

 

ベルギー駒は比較的華奢な駒の為、反応が良く、軽く弾いても音が出るのですが、フレンチ駒と言うのは僅かに駒が反応するまでにタイムラグがあるんですね。

 

脚が短くしっかりした形状の為、駒の粘りがあると言って良いのか分かりませんが、その為、ベルギー駒よりも弾いた後の反応が僅かに違い、ベルギー駒と同じ感覚で弾くとタイミングが合わずに弓が上滑りする感じになってた様です。

 

随分長い事フレンチ駒を弾いてなかったので感覚が違っていた様で、そこで、駒の振動を掴む様な感じでゆっくりスケール等をやって慣れて来ると、これが良く音が出ますし、倍音も増えた感じです。


ベルギー駒の場合はあまり押さえつけるとオーバフローしてしまう感じがあるのですが、フレンチ駒の場合はしっかり受けてくれるので、駒近くで圧力を掛けて弾いても音がしっかり出る印象で、ある程度練習すると耳が飽和して疲れてしまうくらい良く響きます。

これまで付けていたワーチャルのシンセティックコア弦やガット弦等はベルギー駒の方が反応も良く、良い音がすると思いますが、バリバリのスティール弦はフレンチ駒の方が良いんですね。

そう言えば以前、シャコンヌの展示会で、ストラディやガルネリが置いてあって、試奏させて頂いた事がありましたが、どちらもフレンチ駒が付いてましたね。

ちなみに弦が何故かスピロコア(笑)

 

 

 

そもそも「ギャンギャン言う」と感じたのは倍音が良く出る様になってたからだと思います。

 

フレンチ駒に替えた事で倍音が良く鳴る様になるのは、推測ですが、駒の形状等の関係で、ベルギー駒よりもフレンチ駒の方が一度振動を始めた駒が停止するまでの時間が長くなるからでは無いかと思われます。

要するに重たいものはすぐには止まりませんし、その僅かな振動の流さの差が弦の振動とマッチして楽器の倍音を増やすのかもしれません。

 

特に低い弦はワーチャルのAmberですが、シンセティックコア弦であるからか、その傾向が強く、ベルギー駒の時は丁度良い感じだったのですが、フレンチ駒へ交換して以前よりも倍音が鳴って、どちらかと言うとギラギラした音になってしまった感があります。

 

恐らく、ワーチャルが人気が無いのは楽器に付けている駒との相性もあるのかもしれませんね。

 

私の知る限り、ベルギー駒よりも圧倒的にフレンチ駒の方が多いですもん。

 

私が世間一般に追いついたと言う事?(笑)

 

ちなみに、駒を交換した時は、A,D弦はLarsenのオリジナルを張っていました。

 

元々は、ワーチャルのAmberのA線とブリリアントのD線を張っていましたが、もう長い事張っていて、やや音色に飽きてきたので久しぶりに違う弦を張ってみようと思い、スティールの中でも張ったことが無かったアリオーソを2月に張ってみてました。

 

ところが、Larsenのアリオーソはテンションが低い弦と言う宣伝文句だったので良く調べもせずに手に入れたのですが、テンションが低いのはマグナコアのD,G,Cに対して若干低いだけで、実はA線に関してはLarsenのラインナップで最もテンションが高いと言う事を気が付かずに購入してしまいました。

 

張ってみると、それまで使っていたワーチャルのAmberのA、ブリリアントのDに対して、A線が1.8kg、D線が1.1kg高い結果となってしまいました。

 

 

アリオーソに関しては音量もかなりありますし、音色も気に入りましたが、何せ弾くのに疲れると練習になりません。

 

それまで、数年、ガット弦やワーチャル等の柔らかい弦を張ってましたので、そこから2kg近くテンションが上がると、そりゃ疲れます。

 

アリオーソも結構高い弦なので勿体無いですし、それならテンションのやや低いLarsenのオリジナルを注文して、これで手を慣らしてアリオーソを張ってみようと思い、アリオーソはお蔵入りにしていました。

 

それでも、Larsenオリジナルとは言え、最初に書いた様に弦高が高くて押さえられないと感じたので、駒をフレンチ駒に交換して弦高を下げて貰ったのですが、そうすると、今度はLarsenオリジナルでは柔らか過ぎる感じとなり、これが「頼りない」と言う印象になったのだろうと思います。

 

そこで、テンションが高くて使えなかったLarsenのアリオーソを張ってみたところ、弦高が下がっているので押さえやすく、尚且、張りや反応はノーマルのLarsenよりも強いので、反応も良くなり、元々音量があってしっかりした音が出る弦なので、今のフレンチ駒とキャラクタがマッチした感じで、ノーマルよりも良く音が出る様になりました。

 

最初はベルギー駒に戻そうかと思ったのですが、結果的に弦高が下がって押さえやすくなったのに音量は上がったと言うラッキーな結果になりました。

 

やはり左手が楽と言うのは大切な事で、ある程度の弦高じゃなければこの様な曲を練習するのはかなり大変です。

 

 

特に最近はハイポジションが出てくる曲が多かったのでかなり楽になりました。

 

という事で、お蔵入りになったアリオーソも使えて、今回の楽器調整の思惑は大成功でした。

 

最近、プロの皆さんは仕事が無く、将来の事もあって、楽器のメンテナンスへ持ち込む件数が減った様で、随分お客さんが減っている様で、これは何処の楽器屋さんも同じ状況だと思います。

 

アマチュアの皆さんで余裕のある方は、オケ等の練習も無いでしょうから、この機会にメンテナンスに持ち込まれては如何でしょうか。

 

少し調整して貰うだけでも随分変わると思います。