ウィットナーファインチューンペグ(Wittner fine tuning pegs)の取付 | iPhone De Blog

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ウィットナーファインチューンペグ (Wittner fine tuning pegs)はWittner社が開発したプライマリギアを利用した新しいペグで、従来、テールピースに取り付けられたアジャスターでしか微調整出来なかった調弦をペグのみで可能にしている。

最近、ベルギー型の駒の特徴を活かす為、張力の低いオブリガートをメインで使うようになった。

ハープ型のテールピースのお陰でオブリガートでも低い弦のパワーはそれ程落ちる事も無く、弦の種類が同じ統一感の取れた音質となったが、オブリガートはナイロン製の為良く伸びる。

新品の場合から比較的頻繁に調弦が必要で、アジャスターのみでは不足するのでペグで調弦する事も多いが、ペグを回している時にウッカリしてペグが緩んでしまったら最後全て緩んでしまう。

そうなると再度巻いても、しっかり伸びるきるまで再び時間が掛かり元の木阿弥となる。

実は理由はそれだけでは無いが、ペグのみで調弦が楽に出来るこのファインチューンペグを使ってみようと思いネットで購入してみた。

 






本来なら、パーツ含めて工房に依頼するのが良く、場合によっては不要に太い物を購入する事になってしまうので注意が必要だ。

選定する場合は、既に付けられてるペグに近い物を選ぶのが良いが、Wittnerのファインチューンペグは基本的に図のDの直径で選ぶようになっている。


※Dの直径は図面の描き方を知らない人だと勘違いするが、リングの付いてる最も太い場所で、リングの直径では無い。
図面は以下のサイトから転用しているので、他のサイズは以下のサイトで確認してもらうと良い。

http://music-strings.de/index.php?k=861&lang=eng

Dの直径はチェロ用だと10.8/12/12.5/14/15.5と用意されている。

古い楽器の場合、ペグ孔が摩耗したりして調整する為に拡げられる事がある為太い物も用意されている様だが、新しい楽器だと12や12.5辺りでは無いだろうか。

自分の場合、12.5くらいかと思ったが、もし現状の孔より細い場合は穴埋めをしなければならず拡げるより大変になる為、それより大きい14にした。

結果的には現状のペグ孔を拡げないと入らなかったので、もしかすると12.5だったらジャストだったかも?と少々残念だったが仕方ない。

ペグリーマー等を使えば自分でも拡げられるのかもしれないが、そんな物を購入しても殆ど使う機会も無いだろうし拡げすぎたら大変なので、懇意にしている工房へ取付のみを頼むことにした。

ちなみに自分は比較的安かったここで入手した。

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ファインチューンペグを取り付ける前に確認したかった事があったので、早速やってみたのがテールピースのアジャスターを取り外す事。



自分が以前アメリカから取り寄せたハープ型のテールピースは予めアジャスターを取り外す事を想定してブリッジ(黒い部分)がある物を選んでいた。

ハープ型のテールピースの話はこちら

アジャスターは簡単に取り外す事が出来るし、再度取り付けても良い。



バイオリンと比べて、チェロの場合、ガット弦を使用している場合を除いて、殆どの奏者が全ての弦にアジャスターを採用している。

アジャスターはテールピースと弦の間に介在するパーツになる為、本来ならアジャスターを使用せず、テールピースへ弦を直結する方が弦の振動がテールピースに伝わりやすい筈で、バイオリンだとE線のみ使ってると言う人は多い。

チェロの場合も当然テールピースへ直結する事でより音質や音量が改善できるのでは無いだろうかと考えたのもファインチューンペグを採用した理由の一つだ。

アジャスターのみを外してみた結果は実に明確だった。

先ず、どの弦も音色が不純物が一切無いと言う感じとなり、G線、C線は音量と音の伸びが増し、A線、D線、特にA線は余計なギラギラ感(ノイズ)が無くなりスッキリした響きになり音の伸びが増した感じとなった。

但し、自分の楽器はエンドピンソケットをコレット式に交換している為楽器の振動が無駄なくエンドピンへ伝わっている。

つまり、アジャスターを外してもエンドピンの部分で振動がエンドピンソケットで逃げれば結果は異なる可能性があり、これに加えてテールガットも新素材の軽くて細い物を使っており、テールピースの材質と形状も影響しているかもしれない。

何れにしても自分の楽器のセッティングでは予想以上の効果で、この音色を聴くと二度とアジャスターを付けたいとは思わなくなった。

もう一つは、ヘッドの重さを若干重くする事でネックの振動を低減させる効果も考えた。

これはエレキギターやエレキベースの世界に存在する「ファットフィンガー」と言うパーツに根拠を持っている。

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ディープ・パープルのギタリストであるリッチー・ブラックモアはギターのヘッドへ錘を取り付けてたらしいが、これを付けることでネックの不要な振動を抑える働きをさせていたらしい。

振動が大きければ一層効果がある筈で、ファインチューンペグも一般的なペグよりはギアなどのメカが入ってる為、重い事から同様の効果があるのでは無いかと思ったが、効果が無くとも重くなる事がマイナスにはならないだろうと判断した。

最終的に取り付けた雰囲気は一般的なペグと全く変わらない。

使ってみた印象は実に楽。

今まで上のペグや下のアジャスターの両方で調弦していた物がペグのみの集中管理で済む。

ギアである為、微調整はどうなのか?と思ったがギア比が1/8くらいなので微調整は問題無く出来る。

弦を弾きながらペグを操作して5度の響き等を聴きながら調弦出来るので、まるでバイオリンの様だ(笑)

一般的なペグからこれに替えても音質や音量は特に変化は無い様で、アジャスターを取り外した効果はそのまま変わらない。

ヘッドが重くなった効果に関してはペグ孔が変わって木製ペグを使えず比較出来ない為、確認出来ないが悪くはなって無い様だ。

1)調弦が楽になる。
2)アジャスターが外せる。→音量、音質の改善に繋がる。

と言うのが今回ファインチューンペグを装着してみた感想だ。

使うか使わないか分からないが、1/8と言う事は弦の交換の際に回す回数が8倍となりそうだったので、ペグワインダーもオーダーした。

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と言う事で8月にオークションで手に入れたホルツレヒナーもこれで完成形となった。



上から見ると

1)Wittnerのファインチューンペグ
2)ベルギー駒
3)オブリガート(ナイロン弦)
4)ポリミュート(ミュート)
5)ハープ型テールピース(テネオ材使用、アジャスター無し)
6)ケブラー繊維製テールガット
7)インナーコレットフォルダ
8)エンドピン(真鍮+チタン)

と言うセッティングで、ハープ型のテールピースも新しい技術と言えない事も無いので、そうなると駒を除いて上から下までハイテクの塊の様な楽器となった。

基本的に、響きに非常に拘ったセッティングで、駒もベルギー駒で華奢な上、そこから下は全て軽い素材で構成されていて、倍音が豊富な、ドイツ製とは思えない明るい音色と音量となっている。