

久々の再会で挨拶したが、もう5年以上前に熊本で御一緒させて頂いただけだが、覚えていらっしゃってて、「何でここに居らっしゃるんだろうと思ってました」と言われて嬉しかった。
Tさんは早稲田の文学部から桐朋、ウィーンへ行かれて今も在住の様だが、Tさんらしいクレバーな感じのベートーヴェンに仕上がりそうだ。
問題は、学生さん達はどの程度ついて行けるのかだろう

先日のもうひとつの大学と比較するとやはり個々の演奏レベルはかなり落ちるし、メンバーも少ない

Tさんらしく、演奏に対するイメージがわく様な話がドンドン出て来るので、要求されることは理解出来るのだが、中々技術が伴わない。
Tさんは休符、3拍の1対3で捉える様に言われる。
確かに音楽的にはそうなのだが、この8分音符は、アマチュアでは大抵の場合前へ転んで、詰まって行き、はまらない。
僕がベースパートの学生に言ってる事は以下の事だ。
アマチュアの弦楽器奏者は、一般的にアップボウの食いつきが悪い為、それを防ぐ為に早目に動かして、結果、早めに出てしまったり、逆に、食いつきが悪く遅れてしまったりして、3拍を固まりで捉えてしまうと全てが前へや後ろへ行ってしまう。
まあ、大抵は、食い付きが悪い上、短く詰まるので全体が前へ詰まることが多い。
その為、敢えて、この最初の弱拍の8分音符をクリティカルに狙わずに、次の強拍の8分音符を狙うようにする。
つまり、1対3で考えた残りの3拍を又、1対2で考えるのだ。
そうすれば、少なくとも最初の8分音符の音が上手くヒットせずに早く出たり、遅く出たりしても、強拍がリズム通り入っていれば、前後の流れが壊れる確率は低い。
金八先生だったか、「腐ったみかんの方程式」というのがあったと思うが、オーケストラでは一人のミスが意外に全体の足を引っ張る。音程もだが、特にリズムは影響力が強いので僕も極力気を付けている。
もう少し言えば「前、真中、後ろ」と言う具合に3拍を考えると、真中を正確に入れることで前後の誤差が多少あっても全体がズレる量は平均化されるし、そこだけ狙えば良いが、もし前を狙っても、その後が同じ長さで行けば全体に詰まってしまい意味が無いので、結局、全ての拍を正確に入れなければならなくなると言う事で、結果、無駄な努力になる事が多い。
このモチーフは至る所に出て来るモチーフで、一つで完結しない。常に先へ先へと渡って行く事が重要なので、それを考えれば流れを壊さないと言う事がアンサンブルとしては大切だ。
又、この2番目を正確に入れるように心掛ければ、自然と前後も正確になってくる。
気をつけるのは、これはあくまでも正確なリズムをイメージするガイド(物差し)で、ここに変なアクセント等はつけない様にする事。
最初は、初めの弱拍を弾かずにメトロノームを2拍子で鳴らして 「・タタ・ター」と弾いて、2拍目と次の小節の「ター」と言う1拍目がピッタリ合う練習をすると良いし、「タタ・・ター」と最後の8分音符を弾かないパターンもやるとより正確になる。何れの場合も強拍の8分音符を正確に入れる様にする。
恐らく、この意識を皆が持つだけでも相当全体の流れは良くなる筈だ。
フレンチへ変わってから初めての5番だが、フレンチで弾くベートーヴェンは意外に楽しい。
今日は1,2楽章だったが、明日はベースのオケスタでも良く出て来る3楽章
フレンチではジャーマンとは微妙にニュアンスが変わるが、今日少しだけやってみて、チェロとニュアンスが合って中々良い感じに思えた。