土日のハードなリハ&本番&合わせが応えたのか、右の肩甲骨部分が若干痛い。
それにしても、昨日は何とも無かったのに一日置いて出るなんて、やっぱ歳だわ。。
クラシックと言うのは日本人は「静」なイメージを持っているが、とんでもない。
1ステージの演奏はリハも含めて相当体力を使う。想像以上にもっとアグレッシブな物だ。
まあ、ベースなんて楽器もデカク肉体労働に近いだろう。
この為、プロのオケマン等も身体を壊す人は多い。
その他人によって部位は違うが、特に腰等は、運動、演奏問わず、基本的な動作では重要な部位になるのでここを痛めやすい。
演奏で鍛えられる部分もあり、僕も長年この楽器を弾いてるお陰で大胸筋や肩の筋肉は発達してる。
ピアニストやバイオリニストでも一流になると肩周辺の筋肉が非常に発達していてアスリートの様に美しい。
先に訃報を伝えた奥田さんも、一緒に風呂に入った時に見た身体は、まるでヘラクレスの様な大胸筋だったのを今でも鮮明に覚えている。
僕等はアマチュアなので、それ程トレーニングが必要な量ではないが、奥田さんクラスになると年間の演奏回数や時間も相当なもので、以前に左手の神経を痛められた経験があり(ベースの弦と言うのは太いやつは、ゆで過ぎで膨れたパスタ麺程の太さがある)、その時に、色々治療して何とか回復したものの、その後、演奏で使わない(鍛えられない)筋肉を鍛えて、身体のバランスを良くすると言う事を考えられてマウンテンバイクや水泳を始められたと湯船に浸かりながら聞いた。
九響のF君の場合も同様にハードな演奏活動で腰を痛めた経験から、身体を鍛える話をしてて、首席やソリストとしても多忙な中、弓道を始めたと言っていたが現在は結構な腕前らしいし、彼も水泳はやっていたと思う。
我が師匠はどちらかと言うと、鍛えると言うのは苦手なタイプだったが(笑)、それでも、本番(特にソロの)の体力を作る為にランニングを随分前から始めて、アメリカ時代は若干丸かった印象だったのが、最近は身体が絞れて来てシャープになって来た。
かく言う僕も師匠に倣って「とりあえず歩くか^_^;」と言う事で歩いてる位だが、普段歩く事が少ない生活で、以前は楽器を担いで歩くと膝に来てたのが無くなった程度は効果があってる(笑)
まあ、とりあえず何でも身体が資本だ。
メンテナンス含めて身体に配慮する事が長く続ける秘訣でもあろう。
僕の場合、頻度もあるが、基本的に身体の使い方やバランスを考える事で、ここ10年位は腰が痛いと言う事は、余程ハードな練習や本番が継続しない限り少ない。
最近で記憶にあるのは去年の秋に、ヘンデルのメサイア全曲をベース1本で弾いた時位だろう。さすがにあの時は腰が疲れた。
しかし、それ以外の普段の本番程度では翌日に残る事も無い。
一番大きいのは身体のバランスが出来るだけ左右対称になる事を心掛けているからだと思っている。
只、それでも、数年前に「頚椎ヘルニア」となって、ソロの姿勢(左手も右手も前に伸ばす)を取ると、手が痺れて左肘が痛くなると言う症状に見舞われて、牽引を半年して、どうにか回復した経験がある。
その時に、ソロが弾けない間、オーケストラポジションを漫然と練習するのも退屈だからとフレンチ弓を手に入れて練習を始めたのがフレンチに変わる切欠だった。
専門的な話しになるが、ジャーマン弓の場合は上から押さえつける力もフレンチ弓より強く掛けられる。特にソロの場合は駒に近い部分を弓先までしっかり弾こうとすると相当な負担だ。
反面、その力は身体に返って来る事になって何処かで受けなければならない。
ベースのソロのハイポジションの様に両方の手を伸ばして上から押さえつける様な姿勢を継続する事は確かに首に影響を及ぼしやすい。
頚椎ヘルニアの経験がある僕の場合は、再発の可能性もある為、力で押さえつけて弾くのでは無く、ストロークで音を出すフレンチ弓の方が身体に良いと考え、その後完全に変わった。
話しが剃れたが、アマチュアの僕でもこんな調子だから、ベースが身体を痛めやすい楽器と言うのは言うまでも無い。(もちろん、他の楽器も同様だろう。ヴァイオリン等、何故、あの位置で楽器が留まっているのか不思議だし、見慣れているので何とも無いが、左腕の形含めて日常生活の姿勢からすると相当「変」だと思う)
ベースの場合、プロでも良く見るが、左足を椅子のステップに乗せて右足を床に着けたスタイルで弾いている人が居るが、あの姿勢は身体のバランスが悪く、必ず腰に負担が来る。
まして、上半身は右手を下げ、左手は上げて、と言う姿勢を取っているのだから身体を壊さない方がおかしい。
若い頃は僕も、身体の事等お構い無しで弾いていたが、30代位までは良かったが、その後、随分長く整骨院のお世話になった。
その時に整骨院の先生が背骨の形を見て、身体が歪んでいると言われ、それを治すのに随分掛かった。
もし、そのスタイルを敢えて取るなら、それを防ぐには鍛えるしかないだろう。
奥田さんの楽器はベルゴンツィと言う楽器だったが、あの楽器は肩が張って厚みが非常にある楽器だった。
その為、あの楽器でソロを弾こうとすると左肩が邪魔になってしまい、ハイポジションが取り難い。
試行錯誤されて、楽器の正面を身体の正面と同じ方向へ向けて、左側が後ろへ倒れるのを防ぐ為に、大きな切り株を持参されてそこへ左足を乗せて演奏されていた。
当然、その姿勢は腰に負担があるのをご存知だったので、以前にも増してケアやトレーニングを欠かされなかったのだろう。
※奥田さんが昔立って演奏されている写真等を見ると両足均等なスタンスで非常にバランスが良い。
ベースの場合、この様に、諸事情によって楽器に演奏スタイルを合わせる必要がある場合もある。
あのベルゴンツィもケルン放送交響楽団の河原さんが所有されていた楽器を奥田さんが譲り受けた物だが、河原さんもあの楽器で身体を壊されたと奥田さんから聞いたので、あのクラスの人が演奏しても相当大変な楽器だったのだろう。
僕の楽器もどちらかと言うと肩の張った楽器である為、ソロの場合等は左肩が邪魔になってしまう。
その為、楽器を正面にして左肩が邪魔にならない様な弾き方をしているが、そうすると今度は右手から言うと外側の弦(G線)が非常に遠くなってしまう。
この辺りが、どちらを取るかと言うトレードオフになっているが、とりあえず僕の場合は左優先にして楽器を正面にしている。
左優先と言っても、オーケストラ等の場合はG線以外を使う頻度も高い。
ソロの場合も、最近の若い人は少なくなったが、G線一本槍で全部シフト(笑)の様な弾き方をするのでは無く、師匠に倣って他の弦も良く使うので、それ程偏っているとは思ってない。
ちなみに師匠もソロは立って演奏されるが楽器の正面とヘソの方向が同じ(身体の正面が同じ)と言われている。
僕はソロもオケも椅子に座るが、両足に関しては基本的に同じ高さを心掛けている。
こうする事で左右のバランスも同じになり腰の負担が軽減されるからだ。
ソロの場合は椅子を低くして両足床に着け、オケの場合は椅子を高くして、椅子の踏み台に両足を乗せている。
こうすれば、ソロでもオケでも基本的な姿勢は同じとなり、若干楽器の角度がオケの場合立ち気味になる程度の違いとなる。
まあ、今は弓がフレンチなのでまさに大きなチェロと言ったところだろう(笑)
これはあくまで僕の身体と楽器の関係から築いた物で、人と楽器が変われば異なるだろう。
プロの場合は言わずもがなだが、アマチュアにとっても、昔からこうやって弾いているから。と言うだけでなく、出来るだけ自分の身体に負担が無い弾き方を考えて長く弾ける事を考えたいと言う事だ。
今日は奥田さんの思い出話を含めて久しぶりにクラシックネタにした。