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新緑の都グリダニアの地に続く森の中で今まさに、とある冒険者チームがモンスターと戦っていた
「おい!そこの弓術士!もっと真面目に戦え!!」
「え〜戦ってるよ〜」
怒られた弓術士(きゅうじゅつし)であるケイ・ベルガモットは、フィールドが全て見える岩の上で膝を丸め頬杖を着きながら他のメンバーが戦う姿を眺めていた
「ちゃんと弓を当ててるか!?」
「当ててるってば〜」
今回のチームリーダーに叫ばれ、他のメンバーが悲鳴を上げ息をきらせる中それでもケイはしゃがみ込み腕だけを動かして敵に的確に打ち込んでいたがオーバーキルである無駄打ちを避けていた
「…あ〜あ、つまらないなぁ。こないだみたいにワクワクしない…」
ケイはぼそっと呟いてからふと立ち上がりこのミッションを終わらせる為に弓を構え直したのだった
一方その頃、グリダニアの新市街にあるカーラインカフェという名の場所で主人公のクゥクゥは冒険者の仕事である新しい戦闘パーティー募集を探していた
「めぼしいのは無いなあ」
戦闘パーティー募集をしている受付で確認するも空振りだった。冒険者としてまだまだ新米のクゥクゥは1人でこなせる仕事は限られる上、パーティー戦闘となるとそれなりのヒーラー(回復士)を求められるのが常だった
「私のレベルじゃまだどこも行けないな…お金無くなっちゃうよ。早く自分の部屋ほしいなぁ」
いくら故郷の土地を手放して換金した元手があるとはいえ、まだ自分のアパルトメントも無いクゥクゥはこのままだと高くつく宿屋に泊まるしかない。クゥクゥは小さくないため息をついた。その時、
「あんたヒーラーだな!仕事探してるよな!」
「え」
突然背後から3人組の若い冒険者に声をかけられた
「俺たち丁度タムタラ墓地の冒険にいくところでヒーラーを探してたんだ、助かった〜今からすぐ行くから一緒にきてくれ!」
「いいですけど、手持ちの回復薬が今朝手に入らなくて足りないかも…」
「俺たちの分を渡すよ、さあ行こう」
「わ!」
突然現れた冒険者一行に、さあさあと急かすようにクゥクゥはグリダニア南西にある門に背を押されたのだった。その様子を小さな影に見られていることに気がつかずにー。
場面は変わり、回復薬などが買い求められる市場にひとりの男とひとりの女冒険者がやり取りをしていた
「オクーベル姐(ねえ)さん、今日もご機嫌麗しく」
「下手な挨拶はいらない、ウォルステッド。早く出すものを出せ」
「はいはい、今日も冷たいなぁ」
「ちゃんと高品質だろうな、この前はよくなかったぞ」
「今回はバッチリです。なんせ昨日から材料かき集めたので」
一目でわかってしまう関係性のふたりはそのまま話を続けた
「ところで姐さん、例のウワサ聞きました?」
「噂?」
「タムタラの墓所の件です。グリダニアの南西にある所」
「ああ、あそこか」
「あそこ今近づかないほうがいいっすよ」
「なぜだ?」
「今だけ8人がかりじゃないと戦闘クリアできないっす」
「は?」
「なんかモンスターが凶暴化したみたいで冒険者が何人も痛手を受けているらしいですね」
「何故唐突に…」
女冒険者オクーベルは顎に手を当てある記憶に思い至った
「『暁』の連中が言っていた例の『乱れ』か…?」
ウォルステッドと呼ばれた行商人風の男はその発言に目を細めた。そしてオクーベルに話を続けた
「まあ、よほどのお人好しじゃなければあんな危険な場所に近付く冒険者はいないと思いますんで。姐さんもそんな知り合い居ないでしょ」
オクーベルは一拍おいて、
「…心当たりがあるな」
「え」
オクーベルのその言葉に行商人ウォルステッドは虚を突かれたのだった。
クゥクゥが若い冒険者たちにグリダニア新市街から連れて行かれてからしばらくして、入れ違うようにオーク・リサルベルテがグリダニアにやってきていた。仕事の依頼を受ける為にカーラインカフェのミューヌという店主を訪ねていた
「ミューヌさん、いつもありがとう。今日は頼まれ事はあるかな」
「やあ、オーク。少し待っていてくれ、今調べるから…」
「お兄さんっ!」
オークは突然後ろからがくんと手を引っ張られた。そこには焦った様子の天使、ケイがぐいぐいとオークの手を引っ張り続けていた。訳が分からずオークはケイに問いかけた
「一体どうしたんだい」
「この前のお姉さんが冒険者3人組に南西のタムタラの墓所に連れてかれた!」
「なんだって!?」
声を荒らげたのは店主のミューヌのほうだった。オークは弾かれたようにミューヌを見上げた
「オーク、今タムタラの墓所は8人組でしか攻略できない難易度に指定されたばかりなんだ」
「…危険じゃないか」
「お兄さんお願い、僕と一緒に来て!お姉さんを助けて!!」
「わかった、行こう!」
オークはケイと一緒にカーラインカフェから走り出した。その騒ぎを、クゥクゥをずっと探し回っていた獣人オウ・クベルニルが見咎めていた。移動の足である『チョコボ』を今まさに呼び出そうとしていたのだったー。
(次回に続く)
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