癒しの風景 263 | モグ爺こと、くどうあんのなぁ~んてね?!  ぶろぐ(*^_^*)

モグ爺こと、くどうあんのなぁ~んてね?!  ぶろぐ(*^_^*)

長年ソウルナビゲーションと鑑定をさせて頂いております、くどうあんの
自分勝手なぶろぐです。 ツイ忘れてしまっていた気付きと、ホッとできる
話題。 そして、超~頑ななモグ爺の私思の一考を、あくまで自己満足の為に書かせて頂きます。  なぁ~んてね!?

 第 20 章

  新たな挑戦 5

 

「コーヒー冷めちゃったから煎れないそうか!?」

 晶子は優しく声を掛けた。

「あっ、ありがとう! 冷めても、晶子の煎れたコーヒーは美味しいから頂くわ!」

 

 莉絵は、そう言うとテーブルに置かれていた自分用のマグカップに手を伸ばした。 その様子に驚いたのは晶子と由梨であった。 なぜなら、ツイさっき迄は莉絵の口から感謝の言葉が聞けるなどとは思ってもいなかったからである。

 

「急にどうしたの!? そんな他人行儀な言葉を使うなんて…!?」

「他人行儀じゃないよ! 唯、感謝の言葉はちゃんと伝えなきゃいけないと思ってただけ! 晶子がいつも言ってたジャン。 感謝と謝罪は、感じた時に伝えないと意味が無いって!」

 

「確かにそう言ってたけど…、その台詞は、和田さんの受け売りだよ! まぁ、そんな言葉を思い出せたんなら、この寒さも気にならなかったのかも知れないね!? 良いことジャン!? ねぇ、ゆぅ~ちゃん(由梨)!」

 

 急に話を振られた由梨は、戸惑いながらも首を縦に振ることしか出来なかった。 そんな莉絵は、由梨の表情を窺うように覗き込み、意外な言葉を発した。

「ねぇ、ゆぅ~ちゃん(由梨)は本当のところ、私の所為で日本画を描くのを諦めてたんじゃないの!?

 

 あれだけの水彩画が描けるんだから、本当は日本画にも挑戦したいと思ってたんじゃないの!? 私が日本画を描いているから、遠慮してたんじゃないの!? もしそうなら、本当のことを教えて!

 

 大学では、日本画も学んでいる筈なのに、ゆぅ~ちゃん(由梨)が本気で日本画に挑戦すれば、私のライバルになることが、結果的に私を追い詰めるんじゃないかって、心配してくれてるんじゃないのかって!? 

 

 ゆぅ~ちゃん(由梨)は、私の為に故意に画風や画材を変えてたんじゃないの!? 前に、小橋先生に内緒で観て頂いたゆぅ~ちゃん(由梨)の油絵には、私が描く日本画に対する抵抗感が見えたような気がしてたの!?

 

 小橋先生も同じことを言ってた。 どこかに、私に対する対抗意識が燃えていた様に感じるって!? 私の自意識過剰だったら…、もし私の勘違いだったら…、ごめんなさい。

 

 今回、いわき(市)に帰省してから、ずっと考えていたの!? ゆぅ~ちゃん(由梨)は、あれだけの水彩画が描ける実力があるのに、どうして日本画に挑戦しないんだろうって!? 

 

 もしかすると、ずっと不安定な精神状態の私の所為で、ゆぅ~ちゃん(由梨)は日本画に挑戦することを諦めているんじゃないかって!? ゆぅ~ちゃん(由梨)は、どこかで私に遠慮してるんじゃないかって!?

 

 お互いの実力差が明らかにされることに、一抹の不安を抱いてるんじゃないかって!? でも、今の私はそれでも良いと思えるようになったの!? それが良いと思ったの!? 

 

 お互いが、真正面から思い切ってぶつかり合えるステージがあった方が良いって!? お互いが、遠慮なしで本気で競える場所があった方が良いって!?  昔の私なら耐えらなかったかも知れないけど…、キレたと思うけど…、今の私はきっと耐えられると思う。 

 

 晶子と約束した様に…、ゆぅ~ちゃん(由梨)と約束した様に…、今は…、何がっても可能な限り現実と向き合おうと思ってるから…!? どんな結果でも受け止められる自信があるから…!」

 

「莉絵! あんた一体何様のつもり!? その言い方って…、超~上から目線じゃ無いの!? あんたがゆぅ~ちゃん(由梨)に対して上から目線で言えることは何もないい筈だよ!? それに、あんたの今の言い分って…、何もかも自己都合優先なんじゃ無いの!?

 

 今のあんたが、ゆぅ~ちゃん(由梨)に上から言えることなんて、何もないんじゃないの!? 今日の今日まで、ゆぅ~ちゃん(由梨)に助けられてきたのに…、そんな言い方をされたらゆぅ~ちゃん(由梨)がキレるんじゃないの!? 思い上がるのも良い加減にしなさいよ!?

 

 絵画の件では、あんたが何を言おうが私には関係ないかも知れないけど…、今の言い方は気に入らないね!? ゆぅ~ちゃん(由梨)の師匠として許せないね!? ゆぅ~ちゃん(由梨)に一言詫びを入れてもらわないと、この先一緒には暮らしていけないね!?」

 

 晶子の怒りは収まることを知らなかった。

「それに、あんたとゆぅ~ちゃん(由梨)の絵画の才能が、いかにも同等のような口振りだけど…、今のあんたがゆぅ~ちゃん(由梨)より勝っているとは絶対に思えない私が居るんだよ!

 

 最近のあんたの絵画を観てても、昔みたいに何かを感じさせる絵画は描けてないんじゃないの!? ゆぅ~ちゃん(由梨)が描いた初詣のスケッチ画だって、あんたの絵画より何かを感じさせる力は断然上だね!? 

 

 大体、今のあんたにどんな絵画が描けるの!? 他人様を感動させられる絵画が描けるの!? ゆぅ~ちゃん(由梨)に何かを言う前に、今の自分自身を省みなさいよ! いい加減なことを言って逃げない方が良いよ!? 後で後悔するよ!

 

 あれ以来自分の殻に閉じ籠った侭、何一つ前に進めていないあんたがだらかを感動させられる絵画を描けるとはどうして思えないんだけどね! それでもゆぅ~ちゃん(由梨)と争うって言うんなら、それ相当の覚悟をした方が良いよ!」

 

「それ相当の覚悟って…!?」

 莉絵は、堪らず晶子に問いかけた。

「もしどうしてもゆぅ~ちゃん(由梨)と争うって言うんなら、負けた時の覚悟だよ!」

 

「負けた時の覚悟って…!」

「私らの前から消えて欲しいってこと! あんたとの地姉妹は解消するってこと!」

 

 晶子の厳しい口調に、由梨は思わず、

「あぁ~ちゃん(晶子)! なにもそこ迄言わなくても…、わたしは、それでも良いと思ってるんだから…!」

「本当に良いの! こんな莉絵と暮らしていけるの!? 同じ空気を吸っていけるの!?」

 

「それは…、本当のことを言えば…、何もかもを無かったことには出来ないわたしもいるけど…、縁あって義姉妹に成ったんだから…、それはそれで仕方が無いと思うしか無いんじゃないのかな!?」

 

「じゃぁ、心のどこかでは莉絵を赦せないゆぅ~ちゃん(由梨)がいても、何もかも呑み込めるって言うの!?」

 

「確かにりぃ~ちゃん(莉絵)の今の言い方には怒りを覚えたし…、頭にも来たけど…、それがりぃ~ちゃん(莉絵)だから、仕方が無いんじゃないの!? 今更変わらないよ!? 急には変われないよ!?」

 

 由梨は半分諦めたように呟いていた。