[書籍]「ピーター・リンチの 株で勝つ」についての雑記 | 勤め人の投資

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 ここにも書いたとおり「ピーター・リンチの 株で勝つ」(ピーター・リンチ)は大好きな本だ。

 

 原著"ONE UP ON WALL STREET"が最初に発売されたのは1989年だそうだが、その内容は現代にも通じる部分が少なくないと思う。

 

 記憶にとどめたい教えの宝庫だから「要するに〇〇ということを説いた本」と総括してしまうのは全くためらわれる。むしろ「何気ない一節が記憶に残っているけれど、それがどこに書いてあったかすぐに思い出せない」なんて状態だ。

 

 いま読み返している中で、そんな箇所をまた一つ発見した。

 

 「投資家はえてして全く逆の場面で楽観派や悲観派になることが多い」というのがそれで、第1章「株式投資家になるまで」の中に書かれていた。1950年代~1960年代にかけて米国の株式は大いに上昇したそうだが、にもかかわらず同時期の平均的な米国人の株への不信感が根強かったことの皮肉さに言及している箇所だ。

 

 いま、日本では日経平均が史上最高値を更新したという話で沸いているけど、これはどうみるべきか…。

 

 ちなみに、ピーター・リンチについて日本語版ウィキペディアには「テンバガー (10倍株) の名付け親」という項目がある(2024年3月現在)。ここでは「彼はまた、金融用語としての「テンバガー」(10倍株) という言葉を作り出した」とされている。しかしこれは間違いだと思う。

 

 ウィキペディアの上記記載の脚注には「渡部清二 (2020年9月16日). “バフェット流投資、総合商社の次のターゲット<四季報読破邁進中>第192回”. 会社四季報オンライン. 東洋経済新報社. 2020年9月22日閲覧。」とある。リンク先の記事には

『テンバガー(10倍株)』の言葉を世に知らしめたピーター・リンチ氏

という記述はあるが、ピーター・リンチが「テンバガー」という言葉を作り出したとは書かれていないような…。

 

 「株で勝つ」でも、このように書かれている。

ウォール街の業界用語で、「テンバガーというのは、10倍上がる株のことだ。これは満塁ホームランのことを「フォーバガー」という野球の言い方を真似たのだと思うが、…(以下略)

(In Wall Street parlance a "Tenbagger" is a stock in which you've made ten times your money. I suspect this highly technical term has been borrowed from baseball, which only goes up to fourbagger, or home run.)

  この書きぶりからしても、やはりピーター・リンチは、既に存在した「テンバガー」という業界用語を著書で用いただけだと思う。