中国側が、態度を軟化させていると報道されている。
菅首相の発言もそうだし、メディアの報道もそれに添った形である。
事態を沈静化するには正しい選択である。
ある面では事実だし、別の面では、中国側が計画どおりの目的を達成したので、
計画通りに終息に向かわせている、と見ることもできる。
今回起きたことについて、このブログでも一段落させるために
改めて振り返っておこう。
当初、状況を見守っていた中国側が、
急に強行な姿勢を示したのは、日本側が逮捕した船長を起訴する方針を明確にしてから。
日本の国内法で中国人船長が裁かれれば、尖閣諸島が日本の領土と認めることと同じ。
それは、領土問題をあいまいにしておきたい中国としては、どうしても避けたいこと。
そこで、日本人を逮捕し。国交関係を棚上げし、レアアースで輸出を止めて、ガス田開発もこれまでの交渉を棚上げ、さらに強硬な姿勢を示した。
これは、戌渡が指摘しているように、民主党の外交政策が、行き当たりばったりで、揺さぶれば譲歩するとの読みで、仮に尖閣諸島で日本が実効支配に出ても、「ガス田ではこちらが取るぞ」 というしたたかな手を打ったわけである。
(当然、日本の外交は両方を渡すなどと言う間抜けをしてはいけなかったわけだが。)
さらにレアアースでは、輸出抑制を始めていたところだけに日本の産業界の弱みを突いて、民主党政府が窮地に陥るという読みも的確であった。
結果的に、何の外交交渉もなく、船長を釈放。
しかもその後は、レアアースなどの産業界への締め付けは続き、賠償請求などで尖閣問題の実効支配の先例を作ろうと言う、ダメモトを狙う動き。
さらに、日本政府の方が首脳会談を懇願する展開。
(外交のかけひきがそもそもできていないと感じてしまうのだが。)
読みのない出たとこ勝負の展開は、昨年の鳩山民主党の普天間基地問題と同じ、と指摘せざるを得ない。
歴史も外交も、理解せずに目先の展開すらきちんと読むこともなく、
最初は強く出てみたが、どんどん腰が引けてくる。。。。と言う意味で。
米国の安全保障条約への言及や、国際社会の非難を引き出し、ようやく中国側の軟化を引き出すが、終わってみれば、
民主党政府の弱い外交政策が、またも明白になり
ようやく動き出すかに見えたガス田の共同開発が棚上げになり
尖閣周辺の日本の漁船による漁業に大きな制約が生じ
レアアースや日本企業の中国での展開が人質に取られた。
この一連の流れを見れば分かるとおり、
きっかけは日本側の逮捕で始まったが、次の展開を決めるのはいつも中国。
腰砕けの日本外交は、いつも譲歩。
(自民党が非常に良い対応をできたかは疑問だが)
ただし、今回良かったと言えるのは、中国政府の強い領土にに対する執着と、
反日姿勢が明らかになったこと。
領土問題に関しては、事態をエスカレートさせることもいとわず、対応してくることが明らかになった。
これが、北朝鮮と韓国であれば、あるいは中国とロシアであれば、
銃撃戦に発展してもおかしくない状況である。
しかし、日本政府にはその覚悟がないことも、また明らかになった。
海上保安庁も、自衛隊も、そこまでの展開を前提にしてはいない。
中国が次のステップとして、尖閣諸島の実効支配を狙うとすれば、
日本の政治家は、次回はそれを覚悟すべきだろう。
そして、十分に対応策を準備すべきだろう。
国内の「平和主義者」を説得する材料を持つべきだろう。
それを避けるとすれば、韓国との間で、竹島が実効支配されているのと
同じ状況を、尖閣でも生じさせるリスクが高まる。
さらに東シナ海のガス田でも、譲歩するだけの日本に対して、
中国が何をしているのか。
対抗策を積極的に打ち出さねば、次に何が起こるかを明確に教えてくれたのが、
今回の尖閣問題であった。
一段落しつつある現在は、
中国は、国際社会から一方的に非難されることを避けるために
当面、おとなしくする道を選ぶであろう。
日本がここですべきは、一緒におとなしくするのでなく、
平和裏に、主張を明確にするための、行動を示すべきだ。
最低限、尖閣問題以前の状況を確保するために。
例えば、周辺海域での巡視艇のパトロールの強化。
日本の漁船による操業の安全確保など。
日本の漁船の安全を確保しつつ、
これまで以上の日本の漁船がこの海域に出漁し、
日本の実効支配を明確なものにすべきだ。
けして、中途半端な事態の沈静化などを期待してはいけない。
中国が、国際社会の非難を避けるためにおとなしくしているときに、
静かに実効支配を一歩も二歩も進めるべきなのだ。
中国側が、70年代の大量餓死や、89年天安門後、
あるいは2005年以降の反日感情の盛り上がり後のように
数年間、おとなしく振る舞い、それにだまされて、
中途半端な経済協力を進めたような愚は
避けるべきだ。
中国がおとなしく数年間を過ごす間に、国際社会が、特に
日本人自身が、 リスクを忘れるのを
許してもよいのだろうか?
もし、目先の見かけの軟化策・懐柔策にだまされて、
問題を忘れるならば、数年後に次の一手を打ってくるだろう。
なんと言っても、
日本には、とても便利な、プロレスラー議員やスポーツ議員、
旧社会党議員、中国好き文化人などがいるため、
彼らを招いて対外宣伝すると、
お墨付きとばかりに、産業界が揉み手で擦り寄る。
なし崩しに外交政策がポリシーが崩壊する。
政治家は、そして日本国民は、歴史と外交を見直すべきだろう。
なし崩しのそのような展開は、目先の平和に見えるかもしれないが、
長期的には、
紛争の火種を残し、緊張を生み出すことにしかならないのだから。