みなさま、こんにちは
アルファサポート行政書士事務所の佐久間です。
「流行感冒」は志賀直哉が1919年に発表した短編小説ですが、当時流行したスペイン風邪を題材にしています。
1919年と言えば今から100年前のお話ですが、パンデミックで少々過敏になり他人に疑心暗鬼になってしまう心理や、それだけにとどまらない人間模様が描かれています。コロナ禍を経験したので、非常に興味深く読むことができました。
<あらすじ>
志賀直哉は妻と幼子と女中2人と千葉県の我孫子に住んでいます。1918年の秋にスペイン風邪が流行り始めると、志賀直哉は娘の健康に過敏になります。というのも、娘の前の子を病気でなくしてしまっているからです。
志賀直哉は近所の小学校でも感染者が出たという話を聞いて、感染を避けるため女中には毎年恒例の芝居には行かないように言いますが、女中の石は隠れて行ってしまいます。
ところが、あれほど他人の行動を制約しようとしていた志賀直哉自身が油断して植木屋から感染し、妻にも感染させてしまう・・・という物語です。
味のある人間模様を短編小説のなかに凝縮させていて、志賀直哉が小説の神様と呼ばれる理由がよくわかります。新潮文庫の『小僧の神様・城崎にて』という短編集に収録されています。
同じ文庫本に収録されている「小僧の神様」もお勧めです。
ではまた
〇おまけの記事〇
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