インキュベーションマザー 北條夏旭 『Mother's Note-マザーズノート-』 -41ページ目

第15回  「メンバーズ 剣持社長」

 「あっ、侍だ、侍がきた。」初めてお会いした時の印象です。
今から6年程前、ITという言葉そのものに、誰もが期待を抱き、夢見ていた頃、ビットバレー(ITの精鋭集団)の仲間の中でも注目されていた彼は、力強い風貌からは想像できないソフトな語り口で「こういう形でのインキュベーションですか、そうですかぁ、いいですね」と呟きながら、池袋事務所時代の大部屋のインキュベーションスペースをとても興味深そうに眺めてらしたのを思い出します。
それから、何かと吉井と話をしている姿をみかけるようになり、最近では、吉井が相談相手なのか、吉井の相談相手なのかわからないほどです。
剣持さんは、複雑で面倒な話でも、経営や、ビジネスモデルに関わる話を聞くと時間を惜しまず、真剣に、無垢な気持ちで、具体的な解決策や提案を述べてくれます。


 私も、幾度と無く剣持さんのビジネスに関係の無い事でも、相談を持ちかけてしまうのですが、いつも、快く、明快な返答をスピーディにしてくれます。その上、軽く話した内容でも、その後に、熟慮してメールを下さるのです。これには、頭が下がります。鋭い眼差しと、シャープな言語で、静かに思いを語る彼は、一見、スマートに仕事をこなすIT業界人と思われるかも知れませんが、実は、とても繊細で優しく、そして、辛抱強く何事にも、逃げない努力の人です。


 メンバーズは、クライアントの、ITニーズを、トータルにソリューションしてゆくサービスを提供しているだけに、社員の皆さんには多くのことが要求されます。 ITソリューションとは、情報コンサルティングだけで無く、解決策として具体的にシステム構築を伴うからです。様々な企業の課題を解決するためのシステムは、機械的に作るものでなく、多くのシステムエンジニアの方や、プログラマー、デザイナーの方々を、まとめるプロデューサーの知恵と努力と時間との戦いで完成するものだと思うのです。
 一見するとカッコイイ、ITソリューションビジネスは、実は大変なヒューマンリソースのマネージメントの集大成であり、顧客の本質的な課題を見抜く力を持ったマーケティングのプロの集団でなければできないと同時に、プロジェクトのメンバーのモチベーションも維持しなればならない、本当に難易度の高い、辛抱強くなければ出来ない仕事です。業界の多くの企業は、トータルで複雑なソリューションは、生産性が悪いので敬遠されているように思います。それでも、メンバーズは、お客様の求めている本当の解決策を出せるのは自分たちしかいないと「志」を持った独立系ベンチャーとして、着実に成長してこられました。


 これからも、どんどん飛躍されていくことだと思いますが、出来れば、剣持さんに、もっと、いろいろなところで、「だからメンバーズなんだ!」と理解されるように、メンバーズの思いをもっと、もっと表現されて、より、多くの方に支持される会社になって欲しいと思っています。



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第14回  「パスタフローラ 丸山和俊社長」

 過日、丸山さんと高層ビルのレストランで食事中、5弱とはいえ、それなりの地震が来ました。周辺のテーブルで、「地震よね、地震よね。すごく揺れてる!」「大丈夫かな・・」というざわめきが聞こえる中、揺れることも意に介せず、「それでね、北條さん、今年、やっと僕が前から願っていた、食育基本法が成立したんですよ、そもそも、食育法というのはね」と熱く、楽しそうに語リ始めたのです。
私も、観念して、本年7月15日に成立された食育基本法について、一緒に揺れながら、自分の強運を信じて聞き始めました。食育法を話すときに体が揺れる後遺症がついた気がします。


 日本において、私たち人間も、共に暮らすペットも、企業の効率UPや、低価格競争による弊害で、かなりの期間、体に悪いものを食べ続けてきたという事が良くわかりました。
10年ほど前から、マクロビオティックとか、ローフードとか、医食同源の概念とか多くの書籍や、メディアで取り上げられるようになってきましたが、実際は、価格の問題や、食材供給の難しさから、なかなか、普及しづらかったのです。


 食育法ができたという事は、企業は、食材や、添加物に対しての表示責任はもちろんの事、管理も問われます。消費者も食に対して、教育を受けるので、知識が豊富になり、食べ物を自力でも選別する事ができるようになるのです。「これからは、体にいいものを、食べる時代です。僕は10年以上も、ずっとナチュラルフードでチェーン店を作る夢を追いかけてきました、苦しいことばかりだけど、先が見えてきたから、もっと、もっと頑張りますよ。」と力強い言葉をくれました。


本来、彼は、商品企画、開発、調理技術開発力は、天才的な人です。にもかかわらず、想いを遂げる為に、経営者の道を歩まれたので、経営と思想との板ばさみで、これまで、数々の、かなり辛い選択をしてこられたと思います。


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しかし、これからは、今までの苦労が報われる時です。
「カフェタイプのFC展開も順調です、テレビ番組の食材提供も、進んでます!と、忙しくなるほど、ますます、寝る暇も無くなるのに楽しそうでした。


起業家としての最大要素は、なにかに取り付かれたように、一心不乱にやりつくす「魂」です。しかし、経営は、人材や、企画の判断を誤ると、会社の運命を大きく変えてしまいます。匠の技を持つ、天才であろうと、経営は厳しく、難しいものです。


 帰りの道すがら、丸山さんに始めて会った時の言葉を思い出しました。
「ある教授に、『丸山さん、私たち生活者の健康を守るのは、貴方達、外食の人達の使命じゃないの?』と言われた事が、僕にとって神の声だったのです。だから僕は、難しくても、人に優しい、美味しい食べ物を出せる店を全国に増やしたいのです。」という純粋な理念でした。
どんなことがあっても、初心を忘れることなく、起業の難関を乗り越え、お客様に喜んで頂けるレストランを、沢山創って欲しいと願っています。



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第13回  「PW 柿本社長」

 今から4年前、当社のルーキーズ《起業家支援》企画に、起業を目指す27歳の敏腕営業マンが応募されました。
 「ペットビジネスをやりたいのです、ペットは、人と共に、歩んできた存在です!しかし、その存命や生態保護に関しては、奇妙な慣習のマーケットが現存し、劣悪な環境なんです。一日も早くペットの環境を整えて、人とペットが楽しく暮らせる為の仕事がしたいのです。」と、決意を込めた、心に残るプレゼンテーションを受けました。
 その数ヵ月後、大物事業家からわんわんパーク再建の責任者について相談を受けました。早速、柿本氏をお引き合わせしたところ、本気でペットビジネスをやりたい熱が、オーナーに伝わり「わかった。君に任せるから頼む」と、数十分で、決定しました。最も、彼自身がそうなるために、気合を入れて動いた結果だと思います。
後でオーナーに、何故、彼に委ねたのか伺うと、「彼なら、やると思った、強烈な想いがあるから」と言われました、吉井も「あれだけの想いを語ったのだから、やるだろう」と期待しつつ、熱血青年であるが故に、生じる甘さに、折に触れ、苦言を呈していました。

 

 その3ヶ月後、彼は、膨大な施設の、補修費にもみたない資本金を元手に、未経験の管理運営を始めました。全てが始めてで、持っていたモノは、「動物が好き」と言う事と「未来の希望」だけでした。
 経営改革に必要なリストラ(頭数削減)でも、犬達に、「今日で解雇」という訳にいきません。彼らの命を守るために、130頭の里親探しからスタートし、全国を回りながら、運営の改革を行いました。血のにじむ努力だったと思います。そんな思いでのスタートから、早いもので歯を食いしばって4年、黒字を達成するところまで来ました。今では、ペットの事や、ペットビジネスとなると、遠方からでも、彼のアドバイスを受けに、多くの方達が訪ねて見えます、最近では、学校の講義も受け持っています。

 

 過日、ペットカフェ開店の応援に駆けつけた店内で、私に吼える「わんこ」を、ほんの数秒で、神業的に大人しくさせて、「抱いてほしかったのですよ」と、私に渡しながら、「新規事業の方向がみえてきました、いよいよです!」と嬉しそうに報告してくれました。
 ペットウィズの名前の通り、ペットと人の生活をサポートするビジネスの雄になって頂く日も、近いと思っています。

 

-http://www.petwith.com/wanwanpark/-



 
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第12回  「教授になった経営者 落合稔氏」

 本当に頭の良い方は、難しい事を、誰にでもわかるように話せると聞きます。昨年、明治大学の教授になられた落合さんは、そういう方です。
外資系コンサル企業のエリートだったにも関わらず、敷かれたレールでなく実業で実践したいとの思いで、当時、未上場の同族企業に参加されました。
知力、体力、行動力で、企業成長を促し、店頭、2部、1部上場まで、不動のCFOとして遂行されました。その後、新たな自己実現ということで、社会人教育に専念されておられましたが、大学からの要望もあり、心機一転MBA取得を目指す院生を対象に、いよいよ先生業に専念される事になりました。
人に何かを教える、動かす人の最大の条件は、落ちこぼれを創らない、平等の精神だと思いますが、この方とお話をすると、何故か自信が湧きます。
実は、このコラムを書く事になった切っ掛けも、「北條さんほど、インキュベーターとして、多くの経営者の本音に向き合った女性はいない、あなたの目線でいいのだから、次世代の人に伝える事も、あなたの役割だと思う」という落合先生の一言に、プロのセンスはなくても、経営者の「心」を伝える事はできるかも・・。よし!やってみよう!という勇気が湧いたからです。
CFOとは、会社の「米櫃」を守り、試算表一つで、日々の小さな問題が見え、決算書の背景にある経営の課題を追求するだけではなく、具体的な施策を実行できる人です。
そして、なにより約束した株主の利益の確保という使命があるのです。
つまり、【会計を利用し、企業の価値向上に戦略的貢献を果たす立場の人(落合氏)】の事です。
老舗企業の店頭公開から1部上場まで創業者の方々と株主の利益を鑑みる上での経営推進には、相当の知力と気力と体力を要した事と思います。
多くの経験を、実体験で得た知識を、さらりと楽しく語られる落合先生の講義は、リアルで、エキサイティングで、また、受けられた方の身になると確信を、改めて持ちました。
人間の理と利は必ず、繋がるものだと考えます、本物のCFO、本物の経営者となる知恵を経営者魂を打ち込む落合先生の講義や著作で、授けて頂きたいと願っています。


-http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4502245208.html(著作紹介)-




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第11回  「高島宏平氏とその仲間達」

 5年前、現在のネット環境やイーコマースの繁栄を確信して立ち上がった会社があります。


 「ネットのビジネスなんて、まして、生鮮品を扱うというのに、商品を確かめる店舗もないなんて、絶対無理」という風潮の中、淡々と、毎日20時間(恐らく)休日なし(多分)、会社と自宅の判別がつかないくらい(メールの発信履歴が夜中の3時、4時なのに、朝9時に電話を入れると、会議に入っておりますので折り返しと言われ、まさかと思いながら、午後9時過ぎ(夜です、夜)に、会社に電話をすると「高島達は、10時には、戻ります」と社員が普通に答える。
いつ休んでいるのか解らないほど、仕事に集中し、絶対無理と言われ続けた生鮮食品のネット通販のビジネスモデルで、素晴らしい会社になった。
この会社の名前は、【OiSiX】若干25歳の青年社長と20代の若い経営陣で立ち上がった精鋭集団です。


 始めて、高島氏と、メンバーを紹介された時、かもし出すオーラに驚いた記憶が残っていますが、このメンバー達でなければ、WEBの生鮮事業を成功に導くことは、より困難だったように思います。
「誰にもできないから、俺たちがやるべき仕事」と、大志を抱いていたので、大きく輝いて見えたのかもしれません。


 最近では、ユーザーの支持を得て、メーカーや取引先の協力者も増えました。


困難を乗り越えてきたOiSiX魂で、もっともっと便利に、よりいいものを提供できる会社になって欲しいと願っています。「美味しいものを解りやすい形で、安心して食べて頂きたい」という高島氏の想いがメンバーの気持ちを動かし、寝ずについてきてくれた団結力が、最大のコアコンピタンスになったのだと思います。
そして、秀才だからではなく、彼のシャープな感性と、ピュアで前向きな精神が周りを動かし、応援団がつき、なによりも顧客の信頼が深まって今日があるのだと思います。


創業経営者に不可欠なのは、彼のような嘘のない精神を持った大きなビジョンです。


今も尚、彼らとミーティングをした後、新鮮なサラダを食べたような爽快感が残ります。20代だった社長も30代に入りました。20年後、どんな企業として存在しているのかとても楽しみです。


-http://www.oisix.com




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