アメリカ大統領予備選挙!!勝者総取りで一気に候補者決定か? | 国際法と国際政治から読み解く現在

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前回も、説明しましたが

予備選挙は、大統領を選ぶ選挙ではなく、各党の大統領候補者を選ぶ選挙です。

現在行っている予備選挙は、各立候補者が得票率を集めて争っているのではなく、得票率によって割り振られた代議員の数を争っているのです。

また、大統領候補者になるためには、各党の候補者は、全国大会で代議員の半数の票を必要とします。

また、決して得票率と代議員の数は比例しません。

その理由は、大きく二つあります。

一つは、全国大会には、予備選挙の得票率に左右されない「特別代議員」の存在があるからです。
(民主党なら全体の約20%をしめ、ほとんどがヒラリー氏を支持している)→前回説明


もう一つは、今回説明する代議員の割り当て方法です。

得票率に従って代議員を割り当てるのはもちろんなのですが、各州によってその割り当て方が
様々なのです。(配分比例配分を行わない州があるということ)


配分比例配分を行わない州の代議員の獲得方法を紹介します。





共和党の場合

1.勝者総取り方式(州ごと)


勝者総取り方式(Winner-take-all) とは、選挙方法の一つで、ウィナーテイクオール方式ともいいます。
予備選挙において州内で 1 票でも多くの票を獲得した候補者が州に配分された代議員枠を独占して獲得する方法です。
「個別の州の意見の総和」であり、合州国とはこの意味でもあります。
これから、これから行われる州だと、
17の州で519もの代議員がこの方法で割り当てられます。
3月の15日に行われる、フロリダ(99人)とオハイオ(66人)の予備選は、代議員の数が多い重要な州で、ルビオ氏とケーシック氏のホームステートです。

2.勝者総取り方式(特区ごと)



さきほどのからいいかえると「個別の郡の意見の総和」です。
これは、さきほどの勝者総取り方式(Winner-take-all)を州より、もう一段階規模の小さい特区で行います
よって、上記の方式の州は、実際に選ばれる候補者は各州で一人だけですが、この方式では、各郡の結果によって複数の候補者が選ばれる可能生があります。
カルフォルニア州(159人)を含めた6の州がこの方式を採用しています、特区の数でいうと287にもおよびます。
(各候補者は代議員を総取りできる287の枠があるといえる)

3.勝者総取り方式(ただし 全体の50%の得票率を獲得しなかった場合は比例配分 )


これは、一番多く得票を獲得した候補者が州に配分された代議員枠を独占して獲得するという部分では一番目とほとんど似ているように見えますが、最大の違いは、候補者が州内で 1 票でも多くの票を獲得すればいいという一番目の方法に対して、この方式は、一番得票率が高かった候補者が 全体の50%の得票率を獲得した場合という条件つきです
8の州で225人もの州がこれを採用していて、もし条件を満たせなかった場合は、通常の比例配分を行うのです。

4.勝者総取り方式(ただし 全体の50%の得票率を獲得しなかった場合は比例配分) &(特区ごと)
上記の方式の特区ごとに行うバージョンです。3の州123特区にこれが値します。

5.比例配分方式
これまでの予備選の大部分はこの方式でした。
ニューメキシコ州など約10の州がこの、一般的な得票率を比例配分し、代議員を割り当てます

6.州の協定
州が話し合い、代議員を割り当てる場合もあり、コロラド州がそれにあたります。




→いままでの、各候補者の得票率


→代議員獲得数
スーパーチューズデーでは7州でトランプ氏が勝利したなどと報道されているわりに、
代議員数で見るとトランプとクルーズには、大差ないように見られる。


これまで行われてきた、各立候補者でそれほど代議員の違いが見られなかった比例配分に比べて、勝者総取り方式だと一気に差をつかせる可能性が十分にあり、いよいよ共和党の立候補者の顔が予測しやすくなってくるでしょう。



これに比べて、

民主党は比例配分方式を3/2が特区ごとに、残りを州全体で行うことによって、代議員を割り当てます。



また、地域ごとに割り当てていくにには時間を要するため、いつも共和党の予備選よりも遅くに結果がわかるという感じです。