本田承太郎 -9ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第217話:伸びる要素のある所に販促を掛ける

横山
「割引の使い方はターゲティングと
説明しましたが団体に向けて
割引を行うとすればどのように
行いますか?」

前田
「これは解ります。
以前研修で法人営業を行っている
飲食店に勉強に行った事があって
その時に割引を利用していました」


「そうでしたか。ではその際の
販促効果を教えて下さい」

「12月の宴会繁忙期に
団体で忘年会とかを予約してくれる
お得意様を作って特別に
割引するというものです。

宴会場は団体客で予約を全部
埋めてしまって、

売上の底上げを行う効果が
あると言っていました。」


「それは良い考えですね。
効果的な販売促進方法を確立して
実践しているという事ですね。」

「実際に売上は大幅に伸びている
と言う事でした」


「でも誰でも同じ事をすれば
同じように儲かるのかと言うと
実際は違うと思います」

「どういう事ですか?」

「計画的に行って成果を上げる為の
ノウハウがあるという事です」

「じゃあ私たちが真似をしても
ダメなんですか?」


「ダメとは言い切れませんが
業態や立地、客層などによって
戦略を変えていかなければ
ならないという事です」

「はい」

「ターゲットを団体というくくりに
しているとまだイメージが
湧きにくいのでは無いでしょうか?」

「そうですね」

「ターゲットを
5名様以上の団体様にして割引を
していたとすればどういう戦略が
予想できるでしょうか?」

「5名以上の集団客を集めて売上を
底上げしたいという事ですか?」


「考え方としては
自店の弱点や伸びる要素のある所に
販売促進を掛けて効果的に売上を
取りに行くのが主流ですよね」

「人気メニューを割引しても
損するだけですもんね」


「と言う事は、
5名以上でお客様が来るとお店に
利益があるという事になります」

「なるほど」

「例えばその理由がお店の
テーブル席の定員だったりすると
理屈が通りませんか?」

「う~ん良く解りません」

「テーブル席の定員が6名の席ばかり
あるお店なら2名や3名のお客様
ばかり来てしまうと席が埋まって
4名や5名のお客様を取り逃す
と言う事があるかもしれません」

「満席になった時の人数に
差があるという事ですね」


「そうです。
30名で満席のお店が常に30名
入っている訳ではないという事です」

「4名席に3人座れば1人分
席は余りますしそこに相席って
あまりしませんからなるべく
定員通りのテーブルに詰めて貰う事が
総売上は高くなりますよね」


「団体席が余っていて空いていたり
無駄に使っているならそこに
お客様を集客して効率化すれば
決まった客数で同じように
営業していても売上を高くする事も
出来るという施策ですね」

「そう言う事でしたか」

「この様に普段食事に行く店で
何か割引やセールを行っているのを
見かけた時にその店の伸びる要素を
予測できるという事です」

「あ~そこから競合店の企画を
学ぶと言う事なんですね」


「やみくもに割引するのではなく
呼びたいお客様の明確な理由を
考えると企画も立て易いと思います」

「割引って色々あるんですね~」

「ではその他の割引の利用方法も
説明しておきましょう」



横山はそう言うと他の割引の種別も
説明していきました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第216話:見付けた感

横山は割引の種別として定期購入の
割引販促が初回割引を行う上での
効率的な使い方だと説明します。

そして次に単品購入での割引には
別の割引方法を行うと言いました。

前田
「単品で買う人にも割引を
するんですか?

定期コースに誘導する為に単品の
購入者には割引しない方が
良いんじゃあ無いでしょうか?」


横山
「そうです。
定期コースに誘導する場合は
そうなりますので間違えない様に
して下さい。

今回は定期コースなどを実施
していない商品向けの施策です」


ごく一般的な商品で
普通に販売しているものを
どのように割引すると
通常の売上を上回っていけるか
と言う事になります。

今回は定期コースなどが無いので
単品で買って貰わないと
いけませんが割引の基本ルールの

目的は=販売数を上げる

と言う事なので
客数や来店頻度、リピート率を
上げていく目的でプランを練ります。

ただ割引すれば勝手にこれらが
上がっていくという事では無いので
目的を見据えて計画する必要が
あります。

まず、割引を行うのはターゲットを
限定する方が効率が良いという事を
思い出して下さい。

定期便の割引でも説明したように

定期契約してくれた人だけに
限定で割引を行う


という条件が付いていました。


一般の個別販売でもこの様に
何か限定的な条件を付けます。


・タイムセール(○時~○%割引)
・人数限定(先着10名様限定割引)
・期間限定割引


この目的にはそれぞれ
意図があります。


ターゲットを絞った目的で行うので
そのターゲットが購入したら
売上が通常より上がる事を考えます。

この例では

タイムセールで呼び込む時間帯に
集客率が悪い場合に行い全体の
客数を増やす目的で行ったり

逆に繁忙時間帯にあえてそのセールを
行う事でお店の目玉セールがある事を
広く知らせて口コミを拡散し
集客率を上げる為に
行ったりまします。


人数限定での割引には希少性や
「早くいかないと無くなる」という
購入者心理を利用して購買意欲を
刺激
したり、

買いそびれる人を出す事で
次回の開催時には

「今度こそ」と思う人を集める効果を
目指して行ったりします。

つまり割引と言うのは全員に
行ってしまうと希少性や
人よりも得しているという感覚が
鈍っていき意味が無い
のです。

当たり前の話なのですが
これが意外と出来ていません。

うまく販売促進を行っいる企業では
購入者の心理を付いて割引を行うので
つい買ってしまうと言う事も
あるでしょう。

そこには

「他の人よりも得している」

という条件があれば普通の個人経営の
お店でも効果的に購入者心理を
刺激できるわけです。

本田
「最近TVで見たんですが
ラーメン屋があえて立地条件の
悪い場所にお店を構えるケースが
あると聞きました。」

前田
「どうしてですか?」

「見付けた感を出す為だそうだ」

「見付けた感?」

「路地裏とかで密かに営業中の
美味しいラーメン屋を発見した時には
誰かに教えたくなるという
購入者心理を付いた戦略らしい」

「あ~なるほど。
普通に通り沿いにあるラーメン屋だと
誰かに喋っても普通に知ってるって
ケースが多いですもんね」


「このラーメン屋はそれを
戦略的に目指してそういう立地に
立てている所が凄いんだよ」

「その戦略だと立地が悪い分
経費も安そうですもんね」

「参考にしたい所は口コミを
バイラルマーケティングと称して
拡散させる戦略だな」

「口コミですか?」

「購入者の心理をうまく付いて
人に教えたくなる効果を拡散させる
効果的なマーケティングだよ」

「自分だけが得をする方が
嬉しくないんですかね」

「全ての人に教えると
自分だけが知っている優越感は
無くなるから

親しい友人だけに教えようと
思うんじゃあ無いか?」

「確かにそうですね」

「もし自分が友人から
お前だけに特別に教えてやるって
言われたら嬉しくなるだろう?」

「なります」

「そして教えられた自分も他の
親しい友人に特別に教えたく
なるだろう?」

「そうなりますね」

「だからあえて誰にも
見つからない様な作りでお店を
構えて口コミを密かに拡散させる
と言う手法を取るんだよ」

「あの~その場合は誰にも
見付けて貰えないという事も
あるんじゃあ無いでしょうか」

「戦略がそうであるというだけで
告知をしないとか販売即しない
と言う訳じゃないから

かなり限定的にターゲットを
絞って告知する事で拡散力を
上げているという成功事例なんだよ」

「あんまり真似は
出来そうにないですね」


「絶対的な商品力があってこそだな。

でもそういう
バイラルマーケティングは
普通のお店でも出来ると俺は思う」

倉持
「そうね。
そう言う戦略を行って模索している
企業も多くあるわよ。」


横山
「口コミを戦略化するのは
少し難しいので後々考えるとして
話を戻しますね。

次は団体に向けた割引について
話していきます」




つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第215話:定期割引の真実

倉持の指名で割引の説明を行う横山は
自社のパンフレットを持ってきて
新商品割引の仕掛けについて
説明を始めました。

新商品で割引を行う際のデメリットは
先に横山が説明した通りで
割引を止めると

例え不満が無くても
次回の購入率が下がる事
です。

ずっと割引をすると良くないので
割引を止めても購入率を下げない
仕掛けを作ると横山は言います。

横山が持ってきたパンフレットには
商品の初回割引と書かれていました。

前田
「割引が初回だけなんですね」

横山
「このパンフレットの下の方を
見てみて下さい。

定期コースと言うのが
ありますよね?」

「はい」

「これは定期便で毎月定期的に
購入する契約をすると普通に
買うよりも安く買えるというもので
健康サプリメント等がよく
販売している手法ですよね」

「私も買ってます。
ダイエットと美容の為に
杜のすっぽん黒酢というサプリ
定期コースで買ったんですが
25%割引になりましたよ」


「それと同じで、

初回割引から次に買う時に
購入価格が高くなると
買い渋る場合があるので

【定期契約をしてくれれば今まで
通りの割引金額で売りますよ。】


という事なんです。」

「なるほど~。
それで定期コースを買う人が
いるって事なんですね」


「そうです。
要は定期コースを買ってもらう為の
初回割引とも言えます」

「定期で買って貰えるという事は
固定客が付いたと同じ事ですもんね」


「通常とは違い
定期購入の設定を行う事で

通常価格で買う人の方が少ないと
言う事を目指す感じになりますね」

「でもずっと割引するのは
良くないんじゃあ無いんですか?」


「ずっと割引するのはお客様が
割引に慣れてしまい価格を戻せない
状態になる事なので

定期購入者には価格を戻す予定が
ありません。

つまり

定期購入者には割引状態で元が取れる
価格設定にしてあるので割引を
し続けても良いようにしてるんです」

「定期コースだから
客離れも心配無いという事で
あとは品質を保っていれば
良いという事なんですね」


「これには定期コースで
購入し続けている方が一般の
単品購入者よりもお得だという
購入者心理も働いています」

「そりゃあ他の人より
安く買えるんだから得なのは
間違いないですよね」

「お客様が自分にとって必要で
定期的に買っても良い状態なら
後は背中を押すのが
こういう部分なんです」

「なるほど、良く解りました
それが定期割引の真実なんですね」



「では次は
逆に単品購入での割引販促について
説明していきます」

そう言うと横山は続けて
説明していきました。

つづく