本田承太郎 -8ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第220話:

倉持部長の説明では販売促進費を
応用して顧客心理や格安感を煽った
戦略を行っている企業があると
言います。


よくある割引であり得ない割引額が
設定されている店を見かける事が
あるかと思います。

前田
「ありえない割引ですか?」

倉持
「例えば全品50%OFF
全商品毎日3割引の店
といった過剰な割引をする店です。」



新規契約0円なんていう割引も
買ったものがタダで買えるという
事なので本来あり得ない
様に
見えます。

前田
「ああ、解ります。
携帯会社なんかスマホでも0円で
売ってたりしますもんね」


前田の言う様に携帯会社の
販売促進費はガラケーの時に
販売競争が激化して

価格競争や機種のライバル争いの結果
そういった過剰でインパクトのある
事をやらなければ勝てない
状況になったようです。

その結果大幅な割引額を表示して
他社より割安感や低価格を煽る
戦略が取られていました。

本体価格よりも割引金額の方が
多いという事も普通で

この時の末期的な状況では
元値がおかしいのでは無いのかという
声も挙がるほどでした。

そこで業界は販促費の高騰を止め
新しいサービスでの戦略に
移っていきました。


でもこの手法は今でも色々な市場で
使われていて「割引」と書かれていると
どうしても人は惹きつけられます。


前田
「私も割引って聞くと
つい反応しちゃいますね。」



最近では大手インターネットの
ネットショッピングサイトが
割引表記を推奨して表示させた
という疑惑が浮上していて
問題になっています。

要するに大きく割引した方が
購入者には得する様に見えて
人気も集まり易いので

「元値を吊り上げて
割引額を大きく見せる」

と言う手法です。


元値が高ければ割引しても
その分の損失は軽減されて
利益が増えるので

元値がいくらか解らない様な
新商品やずっと割引して販売している
商品にはこの様な疑いが
存在すると言えます。

とはいえ、

購入者は「商品が必要なので買う」
と言う事が原則なので
ショップを比較して

自分にとってお得そうなお店を
選ぶのが自然な流れです。


つまり過剰な割引表示も
他のライバル店との差別化の為に
取られている戦略で

実際の商品にその価値が無ければ
リピート購入や定期的に
購入する事は無いでしょう。


前田
「なるほど。
割引額が大きいほど得かと
思ってましたけどそう言う訳でも
無いという事なんですね~」

今回の講義は販売促進について
でしたが予定時間を超えていた為
次回に持ち越す事になりました。

つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第219話:取引がされていない架空の金額

横山から割引についての説明が
一通り終わった所で倉持は
販売促進と費用の関係性について
説明していきます。

「販売促進は販促費として
損益計算書の変動費に計上されます。

月ごとに使う費用も変わり
掛る費用も集客に伴って
上がっていきます。」

倉持
「では本田君、
ここまでの販売促進について
簡単に要約して説明してくれますか」


本田
「販売促進は簡単にいうと
お客様を集めたり商品を売り出す事を
加速させる意味があります。

手っ取り早いのが割引での販促、

でも地道にお店の基盤を作らないと
呼びこんでも一過性に終わる

と言う事ですね」

「そうね。
では費用についてはどうでしょうか」


「販売促進費はその名の通り
販促に掛る費用ですが実際は取引が
されていない架空の金額の様な
感覚はありますね」

前田
「どういう事ですか?」

「販売促進費の中で割引金額が
PL上に計上される時というのは
実際の売値から引いた値引き額を
計上する訳ですが

その受け取っていない金額が
取引として計算されるのは実店舗の
店長なら現金が手元に残らないので
危機感を持って考えないと
運転資金にも影響するのでは
無いでしょうか」

横山
「例えば
割引で50%OFFの特別セールを
行って集客したとすると
100円の商品が50円で買える訳ですが
これを行った事によって
売上は本来の金額より半分に
なってしまいます」


「そうですね」

「売上金額はいつもより増えていても
現金がいつもより少なかったら
支払いが出来なくなりますよね」


「そうか。
売上の中には割引金額も含まれるから
割引しすぎると現金が足りなく
なるんですね」

「価格設定は結構曖昧なものです。
言い値のものもあれば基準がある物も
あり様々な設定方法があります。」


「飲食店は基本的には原価率によって
価格の基準が決まるのであまりにも
大幅なブレはお客さんの立場でも
解ると思うのでさほどブレません」


「ブランドバックなんかは
原価考えたらなんでこんなに
高いんだろうって
思う時ありますけどねー」



「では本田君が言う様に
販売促進費を応用して顧客心理や
格安感を煽った戦略を紹介します」



倉持がそう言って紹介したのは
ある分野の市場でした。

つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第218話:最後の販促

横山は倉持の部長から打診され
割引方法の種別を説明していました。

ここまでの説明では
新商品割引や団体割引、定期割引等を
行っている企業の事例を紹介し
施策のポイントを説明しました。

次に他の割引の種別も
説明していきます。


・販売個数によって割り引く手法

・回数券など購入回数に応じて割引

・友人や知人紹介し割引される手法
(レビューや口コミ拡散なども同様)

・経費削減に貢献する場合の割引
(下取りや配達商品を取りに来る等)

・商品にならない物を任意で割引購入
(わけあり商品・中古品)

・会員制度割引
(固定客化を会員と言う形で囲い込む)



前田
「他にも色々あるんですね」

横山
「この中に入らない最後の手段として
使われる割引があります」


「最後の手段?」


横山が言う最後の割引とは
休眠客を呼び起こすという趣旨で
行われる特別割引で

顧客リストや顧客管理を
しっかりと行って来店頻度、
リピート率を把握している場合に
行える最後の手段です。


あるコンサルタントの例え話ですが

お店は受け皿お客様は水
営業はそこに水を流し込む様な物だ
例えていました。

その受け皿がザルの様に
穴が開いていたら水は垂れ流しになり
水と言うお客様はどんどん流れて
最後には全部流れ落ちてしまいます。

お店の基礎をしっかりと作り
ザルの網目を埋めて穴が無い様に
お店の受け皿を強化するのです。

それでも多少の水はこぼれて行きます。

そこで水がこぼれた時に下からお玉で
受け取ってまた受け皿に入れ直す

みたいな事をやるのが
最後の割引だそうです。

問題は結局のところ受け皿に穴が
空いている事
なのでそこを
修正する必要はありますが

一時的にこぼれた水を
すくい上げる事が出来る
ので
売上の下げ止まりにはなります。

そうやって売上があるうちに
問題の穴を修正すれば
水がこぼれにくくなるかも
知れないという事でした。


横山
「つまり、
お店から流出するお客様を見極め
最後の販促でもう一度お店に
来て貰って再度評価して貰うという
アクションを行うのです」



お店に最近来ないお客様のデータが
手元にあればそのお客様に向けて
DMや特別な販促を掛けて再来店
して貰う事が絶対条件です。

特に以前来ていたお客様がお店に
来なくなったと言う場合は
何らかの不満を抱えているケース
多いのでその点も
アクションの仕方を工夫しなければ
いけません。

お店側の意見としては
クレーム客がいると無事問題が
収まって収集出来れば良いと
思ってしまいます。

実はそこで終わりではなく、
クレームしたお客様が次の来店で
満足出来て初めて問題解決と
なる
のでもう一度お店に
来て貰わなければなりません。


と言う事は

お客様を怒らせてしまった場合
その場で割引して二度とお店に
来て貰えない事態になるのは
最悪のケースなのです。

次回に来て貰う為に
後日改めて謝罪しに出向いたり、

怒りが収まって冷静になった時に
思い出して貰える様な
取り組みをその場で
やっておかないと水はこぼれます。

割引をするのであれば

「次回に来てくれた時に必ず
今回の不手際を挽回させて下さい」


という誠意を込めて割引チケットを
渡すという流れになります。


最悪な状況でももう一度だけ
チャンスが欲しいという
反省と誠意が感じられれば
お客様は高い確率で挽回の
機会をくれるものです。

そうやって最後の割引を行って
つなぎとめたお客様には
万全のサービスを行って
固定客にするのです。

特にこういった特別な方法で
割引や関係性を作ったお客様は
後々まで来てくれるファン化状態に
なるケースが多いので
実は販促効果も高いのです。

前田
「倉持部長の基礎講座でも
聞きましたけどやっぱりそういう
ケースがあるんですね」




つづく