本田承太郎 -7ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。


第223話:どこにでもある期待通りの答え

本田達が出向した会社は企業ながら
和食割烹のお店を開業して30年になる
珍しいお店でした。

職人も一社員という雇用契約ですが
基本的には親方の下に弟子入りという
スタイルで成り立っています。

教育係である秋津川に
指示を受けながら仕事をしていく
姿を見ていると

本田はお店の内情が
だんだん見えてきました。

秋津川は厨房の板長候補で
ナンバー2のポジションで後輩達に
指導しながら仕事を進めていきます。

その指導方法は厳しい事を
指摘して威圧している様にも
見えました。

「なんでこんな事も出来ないんだ」

「やる気があるのか!?」

「仕事が嫌なら帰っても良いんだぞ」


ブラック企業で言われていそうな
言葉
が多く時にはもっと汚い言葉で
怒声が飛び交う場面もありました。

ただ、

お店の雰囲気は部活の様な感じ
先輩後輩の縦社会がしっかりしていて
目的の為にそれぞれの役割で
頑張っているから達成感を
感じているようでした。


本田は休憩時間に一番下っ端の
武下に話を聞いてみました。

本田
「武下君は秋津川さんにあんなに
怒られて嫌にならないのか?」

本田がそう聞くと武下は
自分の目標の為に頑張っているから
多少の事は気にならないと
笑顔で言います。

それでも時には逃げ出したくなる
という事もあるそうですが
将来自分のお店を持つ事が夢なので
我慢できるそうです。


どこにでもある期待通りの答えで
本田は逆に疑問が出てきました。


お店では目標を持って頑張る
人間を採用しています。

一見それを見越して厳しい言葉を
かけているように見えますが
本田はしばらくこのお店で
働くうちにありふれたこの様な
話に裏がある事が見えてきます。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。


第222話:根性試し

本田承太郎と前田はそれぞれ
別の店舗へ出向して研修生として
お店で働きながら学ばせて貰える事に
なっていました。

本田承太郎の教育係として
担当になったのは秋津川という
次期板長候補の職人でした。

本田はまず割烹料理のお店の
日々の業務を把握する事から
学んでいきます。

朝出勤してまず行うのは
準備作業です。

食材の買い出し、仕入れに
厨房の機器の準備や料理に使う
出汁の下ごしらえなど

「仕込み」を行う前段階の
作業から始まっていきました。

このお店では先輩の職人が
出勤するまでにこの準備作業を
終えておき、

先輩は出勤してすぐに仕込みに
取り掛る事が出来る状態に
する事が下っ端の仕事だそうです。

その為、

お店に入って間もない
若い職人候補たちは朝早くから
先輩が来る前に出勤し準備を終え
一番最後まで残ってかたずけまで
行う過酷な勤務状況でした。

和食は基本的にそういう
年功序列の勤務スタイルのお店が
今だに多く存在していて

本人のやる気や技術への
執着心等をこういうところから
学ばせる傾向があります。

一歩間違えばサービス残業満載の
ブラック経営なのですが

もともと厳しい事は解っている
世界でこの環境で2~3か月
振いに落としている様な節も
見受けられます。


技術競走の世界で一定レベルの
高いスキルを身に付けないと
スタートラインにも立てないのが
この世界なので

始めのうちに労働の過酷さだけで
辞めてしまうならその方が
良いと教育係の秋津川は
言っていました。

言わば「根性試し」の様な
ものなのだそうです。

ずっと何年もそういう
勤務状況なのでは無く

仕事効率や時間短縮術を身に付け
合間の時間をいかに作って
自分の仕事を先輩に貰えるかが

現在の置かれている状況を
脱出する近道になると言います。


そう言うと秋津川は本田に
仕事の割り振りの流れを
説明していきました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは倉持部長の講義を受け
販売促進について学んでいました。


第221話:割烹とは

本田承太郎達は倉持部長の講義を終え
販売促進の基礎を学びました。

今後の予定としては発起人の
渡辺会長との面談が控えていましたが
それより先に本田と前田には
実店舗研修の予定がありました。

取引のある会社系列で社長と
面識のある企業が実際の飲食店で
研修させてくれるというのです。

このお店は店舗展開を広げていて
現在県内に3店の出店を行っている
会社です。

なぜこの会社が素人の本田達を
研修させてくれるのかと言うと

3店舗まで広げたお店を
大きく展開していく為に
グループを組織化していく為に
教育面やノウハウ面で
協力体制を作っていこうという事で
会社間で提携の様な話が
あった様です。

早速本田と前田は実際のお店に
入って研修する事になりました。


今回の訪れたお店は
創作和食の様なお店です。

二人は別々のお店で一人ずつ
研修していく事になります。

まず、
本田の配属されたお店は本店で
大将が20年のベテラン職人の
松田という人物でした。

松田のお店は和食割烹
創作料理を出しているお店で
色々なメニューを出していました。


割烹と言うと日本料理の
「和食」というイメージが
強いですがどんな特徴があるか
ご存知でしょうか。

日本料理のお店は確かな仕事と
日本独自の美食で見た目の
美しさや素材の味を活かす
美味しさに香り、

さらにヘルシーで健康的といった
日本料理の特徴を持った料理を
楽しめる場所なのです。

割烹とは

魚をさばく時の「割る」
煮炊き物をする時の「烹」
足して割烹と言うそうですが

和食の定番である
お造りや煮物が楽しめる場所と
イメージすれば解り易いでしょうか。

割烹料理って何?って思うかも
知れませんが

簡単に言うと
和食の居酒屋よりも本格的で
敷居は高く感じるけど

料亭よりは敷居が低く
居酒屋感覚で和食を楽しめる
お店という位置付けです。

最近は老舗の伝統的なお店でも
飲食店の飽和によって
経営危機にさらされる状況です。

料亭でも日本料理店でも
自然と敷居が低くなって
現在では比較的気軽に入れる様な
雰囲気を作ってくれているお店が
多くなっているのでは
無いでしょうか。

割烹料理といっても実は
様々あって、

本当に居酒屋に毛が生えた様
お店から本格的な日本料理や
懐石コースを楽しめる店まで
存在します。

松田のお店は
昔ながらの和食に創作を加えた
料理で気軽に楽しめる懐石コースが
人気の割烹居酒屋と言う感じの
印象でした。

本田
「初めまして
本田承太郎と申します。
本日からよろしくお願いします」


そう挨拶して本田は教育係の
秋津川という板前から仕事を
割り振られる事になりました。

つづく