前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第222話:根性試し
本田承太郎と前田はそれぞれ
別の店舗へ出向して研修生として
お店で働きながら学ばせて貰える事に
なっていました。
本田承太郎の教育係として
担当になったのは秋津川という
次期板長候補の職人でした。
本田はまず割烹料理のお店の
日々の業務を把握する事から
学んでいきます。
朝出勤してまず行うのは
準備作業です。
食材の買い出し、仕入れに
厨房の機器の準備や料理に使う
出汁の下ごしらえなど
「仕込み」を行う前段階の
作業から始まっていきました。
このお店では先輩の職人が
出勤するまでにこの準備作業を
終えておき、
先輩は出勤してすぐに仕込みに
取り掛る事が出来る状態に
する事が下っ端の仕事だそうです。
その為、
お店に入って間もない
若い職人候補たちは朝早くから
先輩が来る前に出勤し準備を終え
一番最後まで残ってかたずけまで
行う過酷な勤務状況でした。
和食は基本的にそういう
年功序列の勤務スタイルのお店が
今だに多く存在していて
本人のやる気や技術への
執着心等をこういうところから
学ばせる傾向があります。
一歩間違えばサービス残業満載の
ブラック経営なのですが
もともと厳しい事は解っている
世界でこの環境で2~3か月
振いに落としている様な節も
見受けられます。
技術競走の世界で一定レベルの
高いスキルを身に付けないと
スタートラインにも立てないのが
この世界なので
始めのうちに労働の過酷さだけで
辞めてしまうならその方が
良いと教育係の秋津川は
言っていました。
言わば「根性試し」の様な
ものなのだそうです。
ずっと何年もそういう
勤務状況なのでは無く
仕事効率や時間短縮術を身に付け
合間の時間をいかに作って
自分の仕事を先輩に貰えるかが
現在の置かれている状況を
脱出する近道になると言います。
そう言うと秋津川は本田に
仕事の割り振りの流れを
説明していきました。
つづく