第216話:見付けた感 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。


第216話:見付けた感

横山は割引の種別として定期購入の
割引販促が初回割引を行う上での
効率的な使い方だと説明します。

そして次に単品購入での割引には
別の割引方法を行うと言いました。

前田
「単品で買う人にも割引を
するんですか?

定期コースに誘導する為に単品の
購入者には割引しない方が
良いんじゃあ無いでしょうか?」


横山
「そうです。
定期コースに誘導する場合は
そうなりますので間違えない様に
して下さい。

今回は定期コースなどを実施
していない商品向けの施策です」


ごく一般的な商品で
普通に販売しているものを
どのように割引すると
通常の売上を上回っていけるか
と言う事になります。

今回は定期コースなどが無いので
単品で買って貰わないと
いけませんが割引の基本ルールの

目的は=販売数を上げる

と言う事なので
客数や来店頻度、リピート率を
上げていく目的でプランを練ります。

ただ割引すれば勝手にこれらが
上がっていくという事では無いので
目的を見据えて計画する必要が
あります。

まず、割引を行うのはターゲットを
限定する方が効率が良いという事を
思い出して下さい。

定期便の割引でも説明したように

定期契約してくれた人だけに
限定で割引を行う


という条件が付いていました。


一般の個別販売でもこの様に
何か限定的な条件を付けます。


・タイムセール(○時~○%割引)
・人数限定(先着10名様限定割引)
・期間限定割引


この目的にはそれぞれ
意図があります。


ターゲットを絞った目的で行うので
そのターゲットが購入したら
売上が通常より上がる事を考えます。

この例では

タイムセールで呼び込む時間帯に
集客率が悪い場合に行い全体の
客数を増やす目的で行ったり

逆に繁忙時間帯にあえてそのセールを
行う事でお店の目玉セールがある事を
広く知らせて口コミを拡散し
集客率を上げる為に
行ったりまします。


人数限定での割引には希少性や
「早くいかないと無くなる」という
購入者心理を利用して購買意欲を
刺激
したり、

買いそびれる人を出す事で
次回の開催時には

「今度こそ」と思う人を集める効果を
目指して行ったりします。

つまり割引と言うのは全員に
行ってしまうと希少性や
人よりも得しているという感覚が
鈍っていき意味が無い
のです。

当たり前の話なのですが
これが意外と出来ていません。

うまく販売促進を行っいる企業では
購入者の心理を付いて割引を行うので
つい買ってしまうと言う事も
あるでしょう。

そこには

「他の人よりも得している」

という条件があれば普通の個人経営の
お店でも効果的に購入者心理を
刺激できるわけです。

本田
「最近TVで見たんですが
ラーメン屋があえて立地条件の
悪い場所にお店を構えるケースが
あると聞きました。」

前田
「どうしてですか?」

「見付けた感を出す為だそうだ」

「見付けた感?」

「路地裏とかで密かに営業中の
美味しいラーメン屋を発見した時には
誰かに教えたくなるという
購入者心理を付いた戦略らしい」

「あ~なるほど。
普通に通り沿いにあるラーメン屋だと
誰かに喋っても普通に知ってるって
ケースが多いですもんね」


「このラーメン屋はそれを
戦略的に目指してそういう立地に
立てている所が凄いんだよ」

「その戦略だと立地が悪い分
経費も安そうですもんね」

「参考にしたい所は口コミを
バイラルマーケティングと称して
拡散させる戦略だな」

「口コミですか?」

「購入者の心理をうまく付いて
人に教えたくなる効果を拡散させる
効果的なマーケティングだよ」

「自分だけが得をする方が
嬉しくないんですかね」

「全ての人に教えると
自分だけが知っている優越感は
無くなるから

親しい友人だけに教えようと
思うんじゃあ無いか?」

「確かにそうですね」

「もし自分が友人から
お前だけに特別に教えてやるって
言われたら嬉しくなるだろう?」

「なります」

「そして教えられた自分も他の
親しい友人に特別に教えたく
なるだろう?」

「そうなりますね」

「だからあえて誰にも
見つからない様な作りでお店を
構えて口コミを密かに拡散させる
と言う手法を取るんだよ」

「あの~その場合は誰にも
見付けて貰えないという事も
あるんじゃあ無いでしょうか」

「戦略がそうであるというだけで
告知をしないとか販売即しない
と言う訳じゃないから

かなり限定的にターゲットを
絞って告知する事で拡散力を
上げているという成功事例なんだよ」

「あんまり真似は
出来そうにないですね」


「絶対的な商品力があってこそだな。

でもそういう
バイラルマーケティングは
普通のお店でも出来ると俺は思う」

倉持
「そうね。
そう言う戦略を行って模索している
企業も多くあるわよ。」


横山
「口コミを戦略化するのは
少し難しいので後々考えるとして
話を戻しますね。

次は団体に向けた割引について
話していきます」




つづく