本田承太郎 -34ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は会社の幹部研修で地獄の特訓
という合宿から戻ってきていました。


第142話:利害が一致している

本田承太郎は部下の前田に
地獄の特訓の話を聞かせていました。

この合宿ではある種の洗脳の様な
手法で人材を育成していると
言います。

その受講者たちはブラック企業の
従業員の様に従順にされ
文句を言えなくなると言います。


何故文句を言わないのか?

その理由は本人たちの
「利害が一致しているから」
と言う事が原因なのです。


会社関係だけでなく男女の恋愛で

「なんであんな人と
付き合っているのか?」


と言う事ありますよね。


男性なら
彼女が可愛くてタイプだから
「性格が不細工でも我慢する」

女性なら
彼氏が不細工でタイプじゃ無くても
「金持ちで社会的地位もあるから」

彼氏が好きなので
「DVされるけど別れられない」

など色々な事例があります。


自分にとってのメリットが
足かせになっていいて抜け出せない
状況になっているのです。


しかし、

「洗脳」というと聞こえは
悪いですが仕事として
有効利用する事は必ずしも
悪い事だとは言えません。


人材育成のコンサル会社の様に
手法は洗脳でも本当に役に立つ
人材育成が達成されている
というのであれば

企業にとっても本人にとっても
お客様にとってもプラスになる
可能性は大いにあります。


「悪用してはいけない」
と言う事なのです。


精神を崩壊させるような
過激なものに耐えきれない様な
人材に対してはその講師も
手加減して何とか成果を
出させようとしますし

ブラック企業でも、
安くて文句言わない社員を
抱えておきたいので本当に皆で
会社を辞められると困る訳です。


前田
「なるほど、利害の一致かぁ。
確かにそう言われると
そうなのかも知れませんね。

モラルとかあって難しいので
良く解りません」


本田承太郎
「俺は個人的には、
どうやって目的を達成するのかを
しっかりと考えて

道を踏み外さない様に
目的を目指したいと思うがな」


そう言った本田は
自分の会社やこの様な合宿の
あり方に含みがある様な気が
していましたがその事については
何も言いませんでした。



地獄の合宿の話も聞けた所で
一区切りして本田は前田に
今後の予定を話していきます。

「では早速溜まっていた仕事の
続きを打ち合わせしていこう」



・数値管理研修
・コンセプト作り
・資金計画
・流通
・物件



上記の様に開業に必要な準備を
事業部で行いつつ必要な知識と
各ポジションへの振り分けを
行っていきました。


そして、
今からの予定として
倉持部長の特別講義を
受けに人事部経を向かう事に
なっていました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は会社の幹部研修で地獄の特訓
という合宿から戻ってきていました。


第141話:やっている事は洗脳の手法

事業部に戻ってきた本田承太郎も
地獄の特訓という謎の合宿から戻り
部長に報告を終え、

前田と合流して
再び仕事に取りかかるのでした。

本田
「前田、しばらくだったが
予定していた仕事は出来たか?」


前田
「本田課長研修お疲れさまでした、
仕事の方は報告書にしてあります」

本田と共に研修参加して合宿から
戻ってきた長谷部エリア長と先に
出会っていた前田は

「本田課長も人が変わって
いるのではないだろうか?」


と心配していましたが特に
変化はありませんでした。

前田はその事が気になって仕事が
おぼつかないので先に質問する
事にしてみました。

前田
「本田課長、社内でも噂の
研修ってどうだったんですか?」

本田
「そうだな、気になるようだから
少しこの研修の背景を教えようか」


そう言うと本田は前田に研修の
目的と主旨を説明しました。


この人材育成の研修では
企業に新しく入社した新人教育や

幹部候補に対し管理者になる為の
トレーニングを行ったりして

社内で必要な人材を育てる為の
育成目的で参加させるオーナーが
多いと言う事です。

今回、本田の会社である
藤堂物産では初めてこの研修に
参加して

本田達の様な
ロストジェネレーションとも
呼ばれる世代の幹部候補に
矢面が立ったのでした。


人材育成のコンサルタント会社は
大体手法が似ていて人の気持ちを
変化させ矯正していきます。

管理職の質が上がれば当然
部下の底上げにもなりますし
オーナーは安心します。

多少の費用を掛けてでも
社内の内部からの立て直しを

資金があるうちに
補強しておきたいと考えるのは
リスクマネジメントとして
普通の事もかもしれません。


「地獄の特訓」


そう呼ばれる所以は
その人材の矯正方法にあります。


人の性格は簡単には変わらない
と言われるように

その人のこれまで歩んできた
自信と経験という鎧があって
役職者になればなるほど

人の意見に耳を傾ける事が
出来なくなっていくものです。



そこで行われる手法として
半監禁状態の閉ざされた空間に
集団で管理される状態にして

分厚い鎧を崩壊させる作業から
始めて行くのです。


例えば


集団の中で教官は絶対的存在で
逆らえない独裁者です。

その指示で一人ずつ目標を
決意表明させたりスピーチを
させて行きます。

それからスピーチした本人に対し
周囲からダメ出し、指摘、否定を
徹底的やらせてあおっていき
本人の鎧を完全に崩壊させて
いくのです。

スピーチで良い事や理想、
正論を述べようとも否定され
何度もやり直しさせられて
考える力を奪っていきます。


教官からではなく仲間である
集団から指摘され続ける事が
ポイントとなります。



そうして

今まで自信のあった自分の経験や
人間性が崩壊し人の意見が
耳に入る状態になります。


限定した条件=空間・集団・場所

こういう事が本人の視野を
極端に狭めて今いる状況に
集中させる効果があるのでしょう。

この時点で

素直になった人間に更に
自分の非を認めさせたり
スピーチで欠点を言わせたりして
自分に問題発見させます。


こういった心に隙がある状態の時に
「ヒント」を与えて自分で
解決法を発見させていくのです。

本人は自分で行動を決めている事に
なるので洗脳されているとも
誘導されているとも気付きません。



教官は

迷いから道を教えてくれる人
というよりも、

自分で解決できる状況を
作ってくれた人


と言うイメージに近くなります。

そしてその方が深い信頼を
受ける事が出来ます。


解決できない程の負荷と課題を
集団に与えて、

団結力やリーダーシップを刺激し
睡眠時間を自然に削らせて
心身を疲弊させていきます。


そして準備が整ったら
身体や脳が弱ったところに
「思想」を刷り込んでいき
相手を褒めています。


何を言っても否定され指摘され
考えを認めて貰えなかったのに

思想を聞き入れると今度は
褒められるようになる事で

自分でも気付かないうちに脳を
リセットされて新しいデータを
書きこまれた状態になるのです。


要するにやっている事は
洗脳の手法と同じ。




だから世間から「洗脳」と
批判されるのです。


でも、それに需要があるから
そのようなコンサル会社に
儲けがあるのであって
一定の評価も得られている事も
事実なのです。


仕事で良くある「アメとムチ」
これも洗脳の手法ですよね。



正しい状況判断が出来る人間で
こういった知識があるという
人なら本田の様に研修に
参加しても変化が無いのかも
知れないですが

安い賃金で
過酷な労働を強いられている
ブラック企業の従業員でも
文句を言わない
のは

こういう取り組みを
企業が行っている背景が
あるのです。

前田
「なんでブラック企業の従業員は
文句を言えないんでしょうか?」


前田がそう聞くと本田は
更に話を続けました。


つづく

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
研修や課題こなし本田の帰還を
待っていました。


第140話:理想と現実のギャップ

前田の上司である本田承太郎は
ここ2週間の間、

会社を留守にして
「ある研修」に参加していました。

今回それが終了し戻ってきた事を
社内の報告で知りました。

事業部で管理職に就く幹部たちが
5名ほど参加した研修の帰還報告が
本社会議室で行われたそうです。

自分の事業部でも本田と共に
参加した長谷部エリア長という
物販事業の上司がいて

前田も何度か仕事上のやり取りで
話した事があったので
知っていました。

その長谷部を社内で見かけて
様子が豹変していた事に
ビックリします。

以前は物静かで穏やかな物腰で
温和なイメージで話す感じでしたが
研修帰還後の長谷部は

「ドス」の利いた低い声をワザと出し
命令口調で喋り、動作と言葉を
分離させた違和感のある所作に
なっていました。


例えると

会議室に入室する時に、
ドアの前で立ち止まり、

「入ります」と言ってから
一歩入室して一礼してから部屋に
入っていくと言う感じです。


研修で人が変わってしまった…。


前田にはそんな印象に感じました。

本田も帰還して報告や決起会後に
通常業務に戻って前田と
合流する事になっていたので

「本田課長も長谷部さんの様に
性格が豹変してたらどうしよう…」


と前田は不安なりました。


今回本田承太郎と他の幹部4人が
参加した研修は、

「地獄の管理者研修」と呼ばれる
14日間の合宿でした。

この合宿は
様々な企業の管理職や社長、
幹部候補の社員などが参加し

経営研修やマナー、営業トーク等の
厳しい特訓を行う

「人材育成養成所」のような
社会人虎の穴研修なのです。


そこに参加した者は長谷部の様に
人間性が豹変したりして
「変わった」と表現されます。


なぜ経営者たちがこの様な合宿に
社員や管理職を参加させるのか?

それは、

あまりに多くの人材を抱える企業や
自らの教育を放棄した社長たちが
一般社員や自社の管理職の
質の悪さに嘆き、


お金を払ってでも使える人材を
育てようとしている
事が理由として
考えられます。


この動画を見てみましょう。

この合宿の理念は
この様に管理職が人間関係や
妥協から部下を教育を出来ていない
という現状から脱却する為に
色々な事を学ぶ研修
です。

しかし、

現実に参加する者たちは
この様に同じ装束を着せられて
激しい怒号と威嚇で叱咤叱責され
出来るまで強制的に責められる
地獄の日々が卒業まで続きます。



この動画を見比べると解るように
理想と現実のギャップがあり、

研修の成果で言うと更に顕著で
一人何十万も払って参加させたのに

「掛けたお金が全く
無駄だったんじゃないか?」


と思えてならない程の
モチベーションの浮き沈みが
発生します。

いわば体育会系のノリの、

「これを乗り越えれば何でも
乗り越える事が出来る」


と言う様な参加者に負荷が掛る様な
プログラムになっています。


2週間も携帯を取り上げられて
連絡を遮断され人里離れた合宿所に
監禁されて行われる合宿に参加すると
参加者はそれなりに順応して
会社に帰ってきます。

半分洗脳された様な状況です。


ですがまた自社に戻って
ぬるい環境に浸ると元に戻って
仕事をしてしまうので

会社としては定期的にやり続けるか
全員が必ず参加するかしないと
定着しないのでは無いでしょうか。


この様な研修は色々な人材育成企業が
一般の企業向けに行っています。

新人社員研修や管理職育成、
社長育成コースまであるコンサルも
あるぐらいです。

どんなに出来た人間でも必ず
アラを見つけ指摘され叩き落とされて
最後に達成感を味わう典型的な
流れです。

昔からこういう合宿に参加してきた
企業の管理職の方も多い事から
思い当たる節がある人も
多いと思います。


問題は企業に成果が見られない
という点
で近年の社会情勢において
こういう取り組みは残念ながら
時代遅れです。

ですが人の質も低下して
教育者の立場である管理職も
能力や質に問題があるなら

こういった厳しい環境で
叩き直して欲しいと言う経営者の
気持ちも解らなくはありません。



経営者はもっと考え、
こういった企業に頼らず
自ら教育する事を諦めずに
会社の発展を目指すべきでしょう。


成果があるとしても一過性のもので
永遠に効果がある訳ではない
ので
費用対効果をちゃんと見据えて
投資する事は経営者の義務なのです。

「ではどうすればいいのか?」

それが課題なのです。

お金を払ってレバレッジを
効かせるべき事(効率化)と

それをやってはいけない部分
(気持ち・想い)を正確に判断して

自社の社員と向き合って
考えて行かなければいけません。

そして、事業部に戻ってきた
本田承太郎も部長に報告を終え、
前田と合流して
再び仕事に取りかかるのでした。


つづく