前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第238話:労働基準に当てはまらない仕事
前田が研修に来ているお店の
仕入れ係の狭山は板長の保利に
テルさんから昼ご飯に誘われたと
報告していました。
テルさんは保利の友人で
個人経営の和食居酒屋を営んでいる
オーナー兼料理人です。
板長の保利はそれを聞くと
意外にも
「一緒にごはん行って来れば
良かったじゃないか」
と言います。
確かに仕入れの時間は
勤務時間には換算されませんが
一応仕事中ですし狭山は
そんな事は出来ないと
思っていたのでその言葉には
意外に思いました。
その裏には
比較的アバウトな仕事時間の
決め方とこれまで曖昧に
されてきた部分が関係しています。
基本的にお店では勤務時間は
8時間プラス休憩という規定が
設けられていますが
下っ端で若手の狭山には
あまり関係有りませんでした。
理由としては仕事の役割が
追われていくからです。
もちろん休憩が許されていて
休憩させない様な雰囲気は
ありませんし
先輩も
「狭山、ちゃんと休憩しろ」
と言ってきます。
それがなかなか出来ないのは
仕事の段取りが悪く作業も
遅い事が理由なのです。
つまりお店の光景としては
「先輩は仕事をこなして
ゆっくり休憩しているけど
下っ端は走り回って
時間に追われている。」
この様に前田の目には
映ります。
実際にその通りで
それが普通な事なのだ
そうです。
だからこそ下っ端の若手は
早く仕事が出来る様にならないと
休憩も出来ないので
しんどい期間を短くする為に
少しでも早く作業を覚えて
早くこなせるように
努力していくのです。
会社の規定や労働基準法に
当てはまらない事が多いのは
どの業種のサービス業でも
あることですが
流れとして理に適っているので
これまでは問題には
なりませんでした。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は和食の店の実際の
仕事を見に研修へ来ていました。
第237話:勤務に換算されていない時間
前田はお店の教育係の狭山と一緒に
仕入れに来ていた時に
仕入れ時の他店との情報交換の
場でもあるという事を知りました。
そして
狭山の様な下っ端の若手にとっては
仕入れも時間との勝負で
早く市場やお店に行って
より良い食材を選別しなければ
ならないのでした。
その背景には
自分の役割を早く終わらせて
先輩の仕事を手伝い新しい
仕事を任されるようになる為です。
そんな時いつも仕入れ時に
顔を合わす他の店の「テルさん」
と言う人物に出会います。
狭山の店の板長の友人で
仕入れの時に良く話しかけられて
世間話をする仲でもあります。
今日はテルさんからこんな事を
言われました。
「昼飯一緒に行かないか?」
狭山は一応仕事中と言う事で
断りましたが実は
この「仕入れ時間」は
勤務に換算されていない時間
でもあります。
だから別に御飯に行っても
寝ていても別に良いのです。
しかし若手は
仕事を早く終わらせ前向きな
姿勢をアピールして新しい仕事を
貰う為に早く来て時間外で
働くという流れに
なっているのでした。
前田は
「これはブラック企業なのかな?」
と言う風に一瞬思いましたが
飲食店のお店ではこういう事は
当たり前なのだそうです。
他の仕事がきついと噂されている
業種でもこういう事は
よく聞く事かも知れませんが
規模が小さい会社では
こういったスタイルが成り立ちます。
狭山はお店に戻って
板長の保利にテルさんから
昼ご飯に誘われた事を
話していました。
すると保利から意外な言葉が
返ってくるのでした。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は和食の店の実際の
仕事を見に研修へ来ていました。
第237話:勤務に換算されていない時間
前田はお店の教育係の狭山と一緒に
仕入れに来ていた時に
仕入れ時の他店との情報交換の
場でもあるという事を知りました。
そして
狭山の様な下っ端の若手にとっては
仕入れも時間との勝負で
早く市場やお店に行って
より良い食材を選別しなければ
ならないのでした。
その背景には
自分の役割を早く終わらせて
先輩の仕事を手伝い新しい
仕事を任されるようになる為です。
そんな時いつも仕入れ時に
顔を合わす他の店の「テルさん」
と言う人物に出会います。
狭山の店の板長の友人で
仕入れの時に良く話しかけられて
世間話をする仲でもあります。
今日はテルさんからこんな事を
言われました。
「昼飯一緒に行かないか?」
狭山は一応仕事中と言う事で
断りましたが実は
この「仕入れ時間」は
勤務に換算されていない時間
でもあります。
だから別に御飯に行っても
寝ていても別に良いのです。
しかし若手は
仕事を早く終わらせ前向きな
姿勢をアピールして新しい仕事を
貰う為に早く来て時間外で
働くという流れに
なっているのでした。
前田は
「これはブラック企業なのかな?」
と言う風に一瞬思いましたが
飲食店のお店ではこういう事は
当たり前なのだそうです。
他の仕事がきついと噂されている
業種でもこういう事は
よく聞く事かも知れませんが
規模が小さい会社では
こういったスタイルが成り立ちます。
狭山はお店に戻って
板長の保利にテルさんから
昼ご飯に誘われた事を
話していました。
すると保利から意外な言葉が
返ってくるのでした。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第236話:手が空いている状態を作る
本田の部下前田は店内研修で
教育係の狭山と一緒に仕入れに来て
ある人に声を掛けられていました。
「狭山君、おはよう」
声を掛けてきたのは競合店の
和食のお店の板長で狭山のお店の
板長である「保利」の友人で
「テルさん」という人でした。
飲食店での仕入れでは市場や
精肉店・魚屋・スーパーなどの
購入先で他のお店の人と
毎日顔を合わせていて必然的に
挨拶をしているうちに仲良く
なったりするものです。
「最近どうですか?」
「良いのが入ってますよ」
と言う様に情報交換を行う事も
良く見られる光景だそうです。
そこでいつも狭山と板長保利の
友人である「テルさん」は
顔を合わせ話をするそうです。
テルさんは
個人経営でお店をやっていて
こじんまりとした和食の居酒屋で
オーナー兼板前をやっていました。
先輩保利の友人と言う事もあり、
仕入れでよく顔を合わす事で
狭山が頑張っている姿を見て
可愛がられていたそうです。
狭山のお店の板長保利は
魚の仕入れに出向くのでこちらの
仕入れには来ません。
そこでテルさんからお店の
情報を聞かれるうちに仲良く
なって行ったそうです。
狭山にとっては忙しい朝の
仕入れ競争の中で声を掛けられ
一秒でも早く店に戻って
準備を開始したいのに
知り合いの先輩とはいえ
あまり時間を取られたく
ありませんでした。
なぜなら、
ここで時間を取られるという事は
自分の仕事時間があとに圧されて
遅れが出てきます。
本来下っ端の見習いは、
早めにお店に来て自分の作業や
先輩の準備を終わらせる事で、
「手が空いている状態」
を作ります。
そうする事で
手が空いている自分に先輩の
仕事を手伝うチャンスが来て
慣れて来たり先輩の信用を得ると
その仕事を任せて貰えるように
なっていくというのが普通の
仕事配分の流れなのだそうです。
仕事を任せた先輩も更に上の
親方や板長の仕事が欲しいので
任せられる後輩がいるなら
自分の仕事を振って
自らは先輩の仕事を取りに
行くものなのです。
それが出来ないという事は
先輩などから仕事に対し
前向きな姿勢ではないと判断され
怒られる羽目になってしまうので
狭山には仕入れ中に世間話を
のんきにしている余裕は
無かったのです。
最近ようやく仕入れの段取りも
慣れてきて先輩から仕事を
振られ始めた狭山にこの日は
テルさんからある事を
言われました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第236話:手が空いている状態を作る
本田の部下前田は店内研修で
教育係の狭山と一緒に仕入れに来て
ある人に声を掛けられていました。
「狭山君、おはよう」
声を掛けてきたのは競合店の
和食のお店の板長で狭山のお店の
板長である「保利」の友人で
「テルさん」という人でした。
飲食店での仕入れでは市場や
精肉店・魚屋・スーパーなどの
購入先で他のお店の人と
毎日顔を合わせていて必然的に
挨拶をしているうちに仲良く
なったりするものです。
「最近どうですか?」
「良いのが入ってますよ」
と言う様に情報交換を行う事も
良く見られる光景だそうです。
そこでいつも狭山と板長保利の
友人である「テルさん」は
顔を合わせ話をするそうです。
テルさんは
個人経営でお店をやっていて
こじんまりとした和食の居酒屋で
オーナー兼板前をやっていました。
先輩保利の友人と言う事もあり、
仕入れでよく顔を合わす事で
狭山が頑張っている姿を見て
可愛がられていたそうです。
狭山のお店の板長保利は
魚の仕入れに出向くのでこちらの
仕入れには来ません。
そこでテルさんからお店の
情報を聞かれるうちに仲良く
なって行ったそうです。
狭山にとっては忙しい朝の
仕入れ競争の中で声を掛けられ
一秒でも早く店に戻って
準備を開始したいのに
知り合いの先輩とはいえ
あまり時間を取られたく
ありませんでした。
なぜなら、
ここで時間を取られるという事は
自分の仕事時間があとに圧されて
遅れが出てきます。
本来下っ端の見習いは、
早めにお店に来て自分の作業や
先輩の準備を終わらせる事で、
「手が空いている状態」
を作ります。
そうする事で
手が空いている自分に先輩の
仕事を手伝うチャンスが来て
慣れて来たり先輩の信用を得ると
その仕事を任せて貰えるように
なっていくというのが普通の
仕事配分の流れなのだそうです。
仕事を任せた先輩も更に上の
親方や板長の仕事が欲しいので
任せられる後輩がいるなら
自分の仕事を振って
自らは先輩の仕事を取りに
行くものなのです。
それが出来ないという事は
先輩などから仕事に対し
前向きな姿勢ではないと判断され
怒られる羽目になってしまうので
狭山には仕入れ中に世間話を
のんきにしている余裕は
無かったのです。
最近ようやく仕入れの段取りも
慣れてきて先輩から仕事を
振られ始めた狭山にこの日は
テルさんからある事を
言われました。
つづく