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本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
今回は部下の前田と共にあるお店で
料理のリサーチを行っていました。


第190話:レシピ教えてくれませんか?

本田と前田が訪れたのは
名古屋にある創作料理のお店で
その店の一番の人気メニューの
「クリームコロッケ」を食べに
やってきていました。

そのクリームコロッケは
独特の風味が強い粘りのある
クリームソースに具の旨みが
凝縮されていて

お店オリジナルのちょっと
コクのあるスープの効いた
トマトベースソースを
あしらえた逸品でした。

クリームコロッケ



その美味しさに感動した
本田はレシピを検証し始めました。

前田が驚いたのは本田の行動で
店長やスタッフにこのメニューの
レシピについて細かく質問を
始めたのです。

お店でこんなに質問ばかりする人は
あまりいませんし不自然なので
お店の人も当然同業者か関係者だと
思うはずです。

それに露骨に嫌な顔をされる
というケースや怒られたりも
するかもしれないので、

本田の様に料理長を呼び出して
レシピを聞くなどと言う行動は
前田には理解できませんでした。

料理人が苦労して作り上げた
自分の得意料理のレシピを
突然やってきた見ず知らずの人に
簡単に教えるはずが無い
事は
前田にも容易に理解できます。

しかし本田の質問の仕方は
理にかなっていました。


料理長を客席に呼び出す行為は
概ねクレームか料理の満足を
伝える行為
です。

スタッフもそのどちらかの
対応で心構えるので対応は
同業者対料理長の図式では無く

お客様対スタッフ

という構図は崩れません。

当然対応はお客様に対しての
対応となるので頭ごなしに
断る確率も下がります。

前田の考える様に料理長が
苦労して考えたレシピを易々と
人に教えるとは考えられません。

まして同業者なら
レシピは自分で苦労して研究して
努力して作り上げるべき
だと
思うはずですし

相手が素人なら自分と同じ方法で
同じものが作れるとは
思ってもいないはずです。

だからいきなり、
「レシピ教えてくれませんか?」
と質問しても教えてくれるはずも
無いのです。


その点、
本田は料理長に対して自分が
お客様という立場を崩さず
料理の満足度を褒めて
話をし易くします。

相手から話を聞く時の基本は
「共感する事」がポイントで
本田も素直に自分の事を
話し始めました。

・自分もクリームコロッケを
作ってみた事
・上手くいかなかった点
・上手く出来た点
・苦労したポイント
・もっと上手くなりたい気持ち
・努力して得た結果
・足りなかった努力

1点でも共感できる部分があれば
相手が話し始める瞬間が出来ます。


つまり本田はこのお店に来る前に
自分でクリームコロッケを調べ
レシピを調査して作ってみて
エピソードを用意しておいた
と言う事なのです。


それが
本当に苦労した話だったなら

料理長はその人が
どのレベルであっても
少なからずアドバイスをくれる
はずです。

レシピを見てくれたり、
ポイントをやコツを
教えてくれたり

時には入れる材料の種類を
教えてくれる時もあります。

後の話になりますが、

本田は
こうやって色々なお店の
レシピや裏話を毎回収集して
情報を得て行くのでした。


一見関係者や同業者の方が
情報が入手し易いように
思えるかもしれませんが

相手が素人でも努力する人には
アドバイスをくれるのが
日本人と言うものです。

同業者でも楽してレシピを
盗もうと考えている人には
教えたくないもの
ですし、

まして
素人が楽して簡単に出来る
プロの味はありません。

料理人のレシピはその人だけの
個性
とも言うべきものだと
理解して

自分の個性を出す為の努力と
苦労を共感してもらえれば
アドバイスは貰える

言う事を本田は体現して
前田に教えたのでした。


つづく

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
会社の新規プロジェクトで飲食店を
出店する事になっていてその為の
準備に追われる毎日を
過ごしていました。


第189話:クリームコロッケ

本田承太郎は部下の前田と共に
あるお店の研修に行く事に
なりました。

そのお店は
名古屋にある創作料理のお店で
今回の研修ではお店のメニューを
ベンチマークする目的のものです。

今回訪れたのは
和洋折衷の創作料理で予約が
なかなか取れないと評判のお店で
創業20年の人気店でした。

中でもこのお店の「名物」
クリームコロッケは絶品
一番の人気商品です。

前田
「今回は食べる目的ですよね?
私はもう楽しみで仕方無いんです」


本田
「食べる事が目的だけど
ちゃんと仕事してくれないと
困るぞ」


「解っています。
料理の内容をリサーチする事が
目的ですよね、任せて下さい」


前田は浮かれていたが
料理の研究が難しい事にこの後
思い知っていくのでした。

お店の予約はプロジェクトが
決まった当初から色々なお店を
調べていて探していたのですが
だいぶ遅れて予約が取れたので
研修がこの時期になったのでした。


早速お店に到着した二人は
お店の色々なメニューと共に
噂のクリームコロッケを注文し
料理を楽しみました。

お店は少し薄暗い雰囲気の
落ち着いた雰囲気で高級感のある
創作料理のお店です。

客層も割と年齢層が高く
夜の大人のデートに使えそうな
感じの雰囲気で良い空間作りが
出来ていました。

メニューの価格帯も比較的高く
本田のおおよその予測では
一人4000円~1万円という
少し高めの価格設定です。

前田
「このクリームコロッケ
めちゃくちゃ美味しいですね~!

シンプルだけどお洒落な見た目で
スーパーのコロッケとは
全然違います」

本田
「そうだな。
このメニューの味の秘密を
探ってみると良いかもしれないな」

「味わいはクリーミーだけど
トロミより風味が勝ってる感じで
濃くは無いけど旨みが強い
みたいな美味しさですね」


「中身は何が入っているのか
解るか?」


「全く解りません」

「普段料理とかしてるか?」

「いや~あんまりしてないんです」

「じゃあこれから研究していく内に
詳しくなっていこうか」


そう言うと本田は
ある驚きの行動を取ったのでした。

つづく

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
会社の新規プロジェクトで飲食店を
出店する事になっていてその為の
準備に追われる毎日を
過ごしていました。


第188話:個人の人生の教訓

社訓や経営理念と違い
昔から個人の人生の教訓として
よく指針にされているのが
「座右の銘」と言うものです。

しかし、
ある会社の社長が自分の会社で
働く社員に座右の銘を聞いてみると
意外と座右の銘を持っていない
と言う人が多かったそうです。

その理由としては
「ひつつの考えに捉われたくない」
「何も考えず生きてきた」
「人それぞれだし考えは変わる」
「環境や状況に左右される」


と言う事を言っていたそうです。

確かにデメリットを並べ立てると
そうなるでしょう。

しかしその社長は言いました。

「誰も一生その座右の銘を
掲げろとは言って無いし
一つしか持ってはいけないという
決まりなど無い」


このように
何かに付けてやらない言い訳をする
社員たちに一喝したのでした。


社長も別に社員たちがもっと
前向きな理由なら座右の銘を
持っていなくても
構わなかったのですが

取り組む前から否定する姿勢が
気に入らなかったのです。


座右の銘は、
その人の人生の戒めや指針、
希望や願望を含めても良いですし
文法にも気まりは無くても良いので
本来自由なものです。

例えば、

座右の銘を持っていると答えた
社員たちの例で言うと

「継続は力なり」
「一期一会」

などの座右の銘に
よく使われる言葉を選ぶ人もいれば


「恒産なきものに恒心なし」

と言う様な孟子の言葉や

有名なことわざ
「人間万事塞翁が馬」

四字熟語や有名な格言から選ばれる
事が多いのは今までの傾向だった
様です。

しかし、若い世代の人は
昔の格言や有名な言葉よりも
自分の好きな言葉を選ぶ人が
多い事も解りました。


・漫画やアニメの名言
・好きな小説の一説
・映画でのセリフ
・自分の性格を表す言葉
・先生や親から聞いた言葉
・自分で考えた言葉



この様な答えから若い世代の人で
夢や目標を持っている人は
特に心の支えとして

「座右の銘じゃないけど
好きな言葉はある。」


と言う位置づけで
持っているのです。

結局それが座右の銘
なんですけどね。

この例で言うと若い世代の
人達が考えている事は
より現実的に自分の人生を
捉えていて目標や希望といった
夢を実現する為の心の支えに
しているのです。

だから中には

「なんくるないさ」
意味:なんとかなる

「ケセラセラ」
意味:なるようになる

という言葉を選んだ人もいます。


それを聞いて、
そんなので良いなら自分にもある
と答えた人も何名か増えました。


座右の銘が絶対に必要な訳では
ありませんが、

人間迷う事も悩む事もあります。
そんな時にこういう言葉が
助けてくれる事ってあなたも
ありませんでしたか?



仕事でも恋愛でも自分らしく
生きて時には励みになったり
迷った時に道を示してくれたり
人間関係を良くしてくれたり
自分の考え方を良い方向へ
導いてくれたりと

メリットとしては多く効果が
挙げられています。


心の中に好きな言葉を作る
と言う事で物事が好転するなら
やらない手は無い
でしょう。

それが時代と共に変化したり
環境によって変わっても
良いんじゃないでしょうか。


そんな思いでその社長も
自分の会社の社員に
伝えたかったのだと思います。


つづく