本田承太郎 -13ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田の同僚である片岡の話だと
藤森部長は以前の会社で横領し
その会社を退職していた事が
解りました。

第205話:苦渋の決断

本田の同僚片岡が言うには、
藤森の前職での横領の手法は

「架空の領収書を切る事」
だったのでした。

本田
「じゃあ結局なんで
この話が表に出て藤森は
会社を追われる事になったんだ?」

片岡
「藤森を良く思わない同僚が
不明な販売促進費を指摘した事が
きっかけらしい」

藤森は当時の会社でライバルだった
人間に意味不明な金の使い方を
指摘されて明確な答えを
出さなかったそうで

証拠は無いながらも不正の
疑惑が浮上した事で自ら
会社を辞職する事で自分の身を
守ったという事の様です。

会社は普通、
横領事件が発生して犯人が
発覚しても訴えない事が
多いそうです。

その理由は、
会社にとって犯人を訴えて
捕まえるよりも金を弁償して
貰う事の方が重要だからなのです。

刑事罰を受けさせるより、
示談や誓約書を書かせ労働や
示談金で弁償させる方が
金が戻ってくる確率が高い為です。


会社も苦渋の決断で
不正を行った人物を普通の社員と
同様に扱い借金と言う形で
お金を弁済するまで会社で
拘束する措置を取ったりします。



藤森の様に発覚して証拠が
揃ってしまう前に退職してしまうと
追求の手も緩み金の回収が
困難になるのです。

本田
「そうなるとウチの会社でも
気を付けないと不正がらみの
案件を取る可能性があるな」

片岡
「さすがお前は鋭いな。
要はその時が来れば証拠を掴んで
奴を追求できる様にすれば
良いという事だよ」

片岡と本田はこの様に語り
今後藤森が自社のプロジェクトで
不正を行わないかマークする事に
したのでした。



つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田の同僚である片岡の話だと
藤森部長は以前の会社でトラブルを
起こしてこの会社に入社し
現在の部署でも横暴な振る舞いを
している事が解りました。


第204話:領収書を発行して貰う事

本田承太郎の部署の部長、
藤森部長の裏の顔が明らかに
なってきました。

片岡の見立てでは本田の部下
山本を退職に追い込む為に
大橋という末端社員を使って
ワザと不正を仕組んだ
と言うのです。

しかし本田には
腑に落ちない点がありました。

本田
「だいたい何で山本をクビに
する必要があるんだ?
その人選の意味が解らないな」


片岡
「お前に直接手を下すのは
周囲の反発や抜け目の無さから
難しいと判断したからだろう」


「それにしても社員を一人
クビにするのはそれなりの
労力が必要だと思うが・・・」

「他にも理由があると?」

「もう少し探ってみてくれないか」


本田は藤森部長が
自分の権力をアピールする為だけに
山本を退職させたとはこの時
何故か素直には思えなかったので
片岡に探って貰う事にしたのです。

そして、

藤森部長の
もう一つの疑惑に関しては
片岡から事情を聞く事が出来ました。

その疑惑は藤森部長が前の会社を
退職する事になった「きっかけ」

についてです。

片岡は藤森部長の前職が
外食産業(飲食事業)と言う事を
知っていました。

その前職の会社を調べると
自社で取引しているルートと
同じ業者を扱っている部署が
あったので、
そのツテから同社と関係を持って
情報を得たそうです。

片岡がどうやって詳細な情報を
入手したのかは不明ですが
もはや産業スパイの様に明確な
内部情報を語ったのでした。

その内容では
藤森は噂通り「横領」を行っていて
その事が会社にバて辞める事に
なったという事
です。

その手法は比較的巧妙ですが
その会社の態勢が甘く
社員が不正を行える環境にある事や
監査が無い事の方が問題
です。

まず、取引先の取引を決める際の
接待を受けています。

これは普通に行われ
こういう業界では違法でも無い
通常の接待です。

そこから互いに頼みごとを出来る
関係づくりが構築されます。

藤森の場合その接待を行った
取引業者から定期的に購入する
という約束
をする代わりに
自社に良い品物を仕入れる為の
販売促進費を使わせて欲しい

言うものでした。


少し複雑な説明になりますが
詳細はこうです。


例えば、

藤森が飲食店を取り仕切る立場で
野菜を仕入れる業者を決める場合
八百屋は自分の店で購入契約を
取って欲しいので藤森を
接待します。

その際に藤森は
一つ条件を出します。

それは
良い野菜を仕入れる為の
販売促進費と称して
領収書を発行して貰う事でした。

八百屋で仕入れた野菜で
状態の良い物だけを入荷する
権利
など理由付けは
何でも良いのですが

要するに架空の領収書
切って欲しいと頼んだのです。

八百屋は自分の店で
一つの企業から専属で契約が
取れて複数店舗なら

年間で何千万もの収益が
見込めるので是非とも欲しい
取引先なので

手書きで領収書を発行する位
罪悪感なく承諾してしまう
というケースだったのです。

架空の領収書と言う事は
藤森の会社からお金を出して
その八百屋に支払う
形になりますが
実際は払われず宙に浮きます。

その金を藤森が横領して
自社には領収書を提出する
という手法です。

支払った対価が実物では無く、
「鮮度の高い野菜の優先権」
の様に不明確な物の値段なので
バレても八百屋が口を
割らなければ
何の証拠も出てこないのです。

実際は藤森の部下がお店を
切り盛りして管理しているので
その店の取引で藤森が不正を
行ったとしても

その店の店長には解らないので
発覚しなかったそうです。


本田
「じゃあ結局なんで
この話が表に出て藤森は
会社を追われる事になったんだ?」


片岡は更に話を続けます。

つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田の上司である藤森部長は
創業者一族と血縁と言う事で
権力を持っていました。


第203話:山本の退職騒動

本田の上司である藤森部長の
背後関係とは別に、

片岡は「横領事件」の事情を
掴んでいました。

何故片岡がこの情報を調べる事が
出来たのかと言うと

元々、

片岡が情報を集めるルートを
持っている事と

今回の山本の退職騒動により
当事者やその周辺から事情を
聞き出してそれを元に次の
情報を引き出して行ったのです。

すると、

藤森部長に関する疑惑が
二つ浮上してきました。


一つ目は

「前職の会社での横領事件」

二つ目は

「山本を退職させた経緯」です。


ここまでの話で出てきた
内容なのですが疑惑と言うのは、

藤森部長が赴任してきて以来、
部署内での不審な人員異動
繰り返されていて

いつの間にか藤森の側近
出来ていた事と山本の退職騒動が
重なった事、

しかもそのミスをした大橋と言う
山本の部下が藤森の側近だった

と言うのだから怪しくないはずが
ありませんでした。



片岡の見立てではこうなります。


藤森は前職の会社で横領を行い、
会社を追われる羽目になった…

その後この会社にコネで入社し
部長の職に就く…

そして事業を操る為に
部署内での人員を無差別に
異動させる(意図は不明)

何らかの見返りを条件に
側近の大橋を抱え込む

気に入らない山本を退職に
追いこんで部署内の不穏分子を
抑制し権力をアピールする

片岡
「恐らく山本を退職に
追い込む為に部下の大橋を使って
ミスをワザと誘発させたんじゃあ
無いかと俺は思っている」


本田
「何だと?
それじゃ大橋のミスは
仕組んだものだと言うのか?」


「確証は無いがそう考えると
都合良く人が辞めたり
藤森のお抱えがミスしても
処分されない事に納得できる」


この様に部下を
自分の権力の為に退職に追い込み
都合のいい人員構成を作り上げて
いる藤森に

本田は更に怒りを覚えました。


しかし本田には
腑に落ちない点がありました。

つづく