前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田の同僚である片岡の話だと
藤森部長は以前の会社で横領し
その会社を退職していた事が
解りました。
第205話:苦渋の決断
本田の同僚片岡が言うには、
藤森の前職での横領の手法は
「架空の領収書を切る事」
だったのでした。
本田
「じゃあ結局なんで
この話が表に出て藤森は
会社を追われる事になったんだ?」
片岡
「藤森を良く思わない同僚が
不明な販売促進費を指摘した事が
きっかけらしい」
藤森は当時の会社でライバルだった
人間に意味不明な金の使い方を
指摘されて明確な答えを
出さなかったそうで
証拠は無いながらも不正の
疑惑が浮上した事で自ら
会社を辞職する事で自分の身を
守ったという事の様です。
会社は普通、
横領事件が発生して犯人が
発覚しても訴えない事が
多いそうです。
その理由は、
会社にとって犯人を訴えて
捕まえるよりも金を弁償して
貰う事の方が重要だからなのです。
刑事罰を受けさせるより、
示談や誓約書を書かせ労働や
示談金で弁償させる方が
金が戻ってくる確率が高い為です。
会社も苦渋の決断で
不正を行った人物を普通の社員と
同様に扱い借金と言う形で
お金を弁済するまで会社で
拘束する措置を取ったりします。
藤森の様に発覚して証拠が
揃ってしまう前に退職してしまうと
追求の手も緩み金の回収が
困難になるのです。
本田
「そうなるとウチの会社でも
気を付けないと不正がらみの
案件を取る可能性があるな」
片岡
「さすがお前は鋭いな。
要はその時が来れば証拠を掴んで
奴を追求できる様にすれば
良いという事だよ」
片岡と本田はこの様に語り
今後藤森が自社のプロジェクトで
不正を行わないかマークする事に
したのでした。
つづく