本田承太郎 -12ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。

第208話:飲食店未経験者が開業すると

倉持の話ではせっかく販売促進を
行ったのに逆に今までよりも
売上が落ちてしまったという
お店の例があるそうです。


倉持
「これはある企業の傘下で複数
経営する居酒屋の事例で結果的に
お店を潰してしまった話です」


倉持の言うお店とは
居酒屋のチェーン展開を自社で
行っている会社の事例でした。

この会社は20年ほど前から
居酒屋チェーンを独自に展開して
店舗数を10店舗まで伸ばしてきた
会社です。

始めの3店舗目までの店は景気の
良い時期に始めた
事もあり
常連客も付いて安定した
売上で推移しています。

しかし、

最近オープンしたお店が全く
流行りませんでした。

ここ3年でオープンしたお店が
10店舗
閉店したお店が
7店舗
にもなっていました。


一番ひどいお店の例では
新規オープンして以来
一度も黒字を出すことなく
1年で閉店したという
お店がありました。


このお店が行った施策は
基本メニューからメニュー変更を
繰り返し安売り路線に軌道を
変えて食べ放題を始めて

ベース売上の低下、
人件費の圧迫に加え作業コストの
増加でサービス力が限界になり
クレームが頻発するようになって
最後は割引で客寄せをするという
ジリ貧な営業を行っていました。

前田
「内部事情を聞くと
ヒドイ話だと思いますけど
なんかどこでもありそうな感じが
しますね」


前田の言うとおり飲食店は
毎年何万件も出店しています。

全国的に営業しているお店は
55万件とも言われますが
10%は3年以内に潰れてしまう
のだそうです。

そして

5年経つと30%の飲食店が
入れ替わる
と言われています。

一説には1年目で40%の確率

10年経つまでに潰れる確率は
90%
などという話もあります。

前田
「成功する確率の方が
少ないじゃないですか」


倉持
「そうね。
飲食店未経験者が開業すると
失敗確率は必然的に高くなるし
リスクはかなりあるわね」


今回紹介したお店の販売促進で
失敗した原因は
「割引」が大きな要因でした。

このお店はオープン当時
店長がやる気でどのお店よりも
売上を取る気で満々でした。

その為その店長は
色々な施策を行いました。

お客様の要望に応えメニューを
考えたり子供向けのサービスや
遊具などファミリー層の
取り込みも行いました。

近隣を回って
サービス券を配ったりチラシを
置いて貰える所を探したりも
していました。

オープン当初の赤字原因は

新規オープンと言う事で
お客様に迷惑を掛けない為に
人員を多く配置した事や

在庫切れをしない為の
在庫を多く抱える事での
必要経費でしたが

3か月目からの赤字原因は
販売促進費に計上されている
割引金額が大きくなっていた
という事です。

なぜ割引が大きくなったのか
と言うと

オープンしてしばらくしても
赤字になっているお店で
店長が焦り、

少しでもお客様に来て欲しいと
過剰な割引をし始めたのです。

行った割引は、
お客様が帰る時の会計後に
必ず割引券を渡す事でした。

当然次回の来店頻度は
何も渡さない時よりも
高くなると予想できます。

しかし

実際には何も貰わなくても
次回また食べに来ようと
思っているお客様も
中にはいる
のです。

そんなお客様にもサービス券を
バラ撒いていきました。

近隣周りもサービス券。
折込みチラシもサービス券。

前田
「何でそんなに割引ばっかり
しちゃったんですか?」


倉持
「多分売上が上がらない事に
相当焦ってしまったんでしょう」

横山
「そういう店長に任せなければ
良かったんじゃあ無いですか?」



「これはは行った施策の
判断ミスが大きな原因だけど
他にも要因はあったのよ」

そう言うと倉持はこのお店の
意外な衰退原因がある事を
教えてくれました。

つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。

第207話:即効性の高い施策

本田達は倉持から飲食店の
基礎知識の講義を学びに来て今回は
倉持から販売促進についての説明が
始まりました。

販売促進の活動においてまずは、
お店の予算を作成する時に
掛る費用の予算も計上して
考えなければいけません。

いざ、
「今月は費用を掛けてでも売上を
伸ばしたい」


と言う時に年間予算でその
販売促進費を計上していなければ
費用を掛ける事が出来ません。

店長やマネージャーとなる人は
1年を通して予測しある程度
余裕をもった予算を確保しておく
という事が必要
です。

実際に販売促進費を予算どおり
使わなくても売上達成出来るなら
その分費用は浮くので

次月以降の売上が足りない月に
広告を出したり割引セールを
行ったりする為に

予算を繰り越す事も
出来るはずなのです。

そして重要なのが

「販売促進だけを考えても
お店は成立しない」


と言う事です。

販売促進はいわば、
即効性の高い施策です。

「ここに良い店があるので
みなさん来てみてください~」

宣伝しているのですから
それを聞いたり見た人は

「とりあえず行ってみよう」
反応する訳です。

実際に販売促進を行って
成果があって売上が伸びたと
しましょう。

そこで

店長が販売促進の成果に
満足してしまい

来たお客様に商品やサービスを
満足させられなければ再来店は
ありません。

販売促進でお客様が沢山お店に
来店してくれてもそこで慢心せず、
サービスを充実しなければ
いけないのです。


良く陥るミスは
売上が取れなくなったり客数が
伸び悩んできた時に打開策として
色々考えると思います。

そこで即効性のある販売促進で
売上を取りに行くのですが
施策を行っても一過性で直ぐに
売上は伸び悩んでしまいます。

そうすると店長は
効果のあった同じ施策を何度も
行って売上を取ろうとします。

気付いた時には販売促進の施策を
常に行わないと現状維持すら
出来ない状況になる事も
あるでしょう。

そうやってズルズルとお店は
衰退してしまうのです。

飲食店での販売促進の考え方は、

「良いお店がここにあるから
知らない人は知って下さいね」


と言う意味で広い範囲で告知を
行ったり、普段の客層から
離れたターゲットを狙ったりして
固定客を取りに行くのです。

ですから実際に来てくれた人に
「良いお店だ」思って
貰わないとある意味嘘になります。


そこでガッカリされるから
固定客にならないのであって
お店の状態が良ければ販促後に
客足が増えるはずです。

もしあなたがお客様の立場で
広告を見て美味しそうだから
行ってみようと思い、
お店に足を運んだにもかかわらず
満足できないお店の状態なら
二度と行きませんよね?

店長がその事を理解して
販売促進を行う事が最も重要

失敗するパターンでは店内の
問題点をよく理解できていない事

一番の原因として考えられます。


店長の最大の仕事は
「問題を発見する」事なので
店内事情を整備できていない店長は
販売促進を行っても焼け石に水
どころか状態の悪いお店を
世間に広く告知している事にも
なりかねないのです。

前田
「販売促進を行ってるのに
逆効果になる事もあるんですか?」


倉持
「あるわよ。それでは
あるお店の例を紹介しましょう」


そう言って倉持は
他社の飲食店の事例を
話し始めました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と同僚の片岡は社内の
内部事情について話をして不穏な
動きのある藤森部長をマークして
いく事にしたのでした。

第206話:販売促進について

本田承太郎は専門職の人員を
補充する為に面談や引き抜きを
行う事にしました。

それまでに時間がある事と
事業計画が完成していないので
再び人事部の倉持部長から
講義を受ける事になっていました。

今回は部下の前田に加え、
広報・メディアに詳しい入社5年目の
横山も一緒に講義へ参加する事に
なっていました。

横山は今回のプロジェクトで本田から
販促チームとしてリーダーを任され
事業計画に参画するのでした。


人事部へ集まった3人は倉持部長から
今回の講義のテーマが
「販売促進」についてである事を
聞かされます。

販売促進とはその名の通り、
販売する商品を促進させる為の
行動や施策の事
を言います。

例えば、

美味しいカツサンドがお店の
売り出し商品で販売数をもっと
増やしたいという場合に
行う販売促進として


・店頭で試食させる
・チラシを作って店内に貼ったり
周辺に配ったりする
・HPで紹介したり広告で宣伝する



こういった事をやって
商品をアピールすると思います。

このアクションの事を
販売促進といいます。

そして、そのアクションに費用が
掛る場合それは「販売促進費」
言われます。

販売促進費は販売を促進させる為の
経費なので予算に組み込まれ
経費に計上されます。

いくら使うかの計画は年間予算や
月間計画で作成されたプラン通りに
使える範囲内でやり繰りを
行っていきます。

販売促進と言っても販売数を
上げる為の行動がひとくくりに
されているのでその種類は
多岐にわたります。


費用の掛るもの

・広告
・CM
・チラシ
・キャンペーン
・試食、試供品
・割引


費用が掛らないもの

・POP
・声掛け
・メニュー配置変更
・HP掲載
・DM(ダイレクトメール)

手法やアクションのジャンルも
様々あって現場を任された店長は
取れるアクションを全て行う事が
売上UPに繋がる可能性を
高める事になるのです。

倉持
「横山君久しぶりね。
今回から販売促進と言う事で
本田君たちと一緒に講義を
受けてもらう事になったそうだけど
今までの業務でも行っている
わよね?」

倉持



横山
「はい。
自分の担当は主にインターネットの
関連が多かったですが入社して
一通りやったので経験はあります」

「販売促進に限らず飲食業界は
飽和して戦国時代だからお店の
話題性やアピールの仕方は
年々レベルUPしたり新しい
取り組みが増えているのよ。

だから一通りやってそこからが
本当のスタートになるわね」


「そうですね。
本田さんにも同じ事を言われました」

そう言うと倉持の講義が
始まったのでした。


つづく