第208話:飲食店未経験者が開業すると | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。

第208話:飲食店未経験者が開業すると

倉持の話ではせっかく販売促進を
行ったのに逆に今までよりも
売上が落ちてしまったという
お店の例があるそうです。


倉持
「これはある企業の傘下で複数
経営する居酒屋の事例で結果的に
お店を潰してしまった話です」


倉持の言うお店とは
居酒屋のチェーン展開を自社で
行っている会社の事例でした。

この会社は20年ほど前から
居酒屋チェーンを独自に展開して
店舗数を10店舗まで伸ばしてきた
会社です。

始めの3店舗目までの店は景気の
良い時期に始めた
事もあり
常連客も付いて安定した
売上で推移しています。

しかし、

最近オープンしたお店が全く
流行りませんでした。

ここ3年でオープンしたお店が
10店舗
閉店したお店が
7店舗
にもなっていました。


一番ひどいお店の例では
新規オープンして以来
一度も黒字を出すことなく
1年で閉店したという
お店がありました。


このお店が行った施策は
基本メニューからメニュー変更を
繰り返し安売り路線に軌道を
変えて食べ放題を始めて

ベース売上の低下、
人件費の圧迫に加え作業コストの
増加でサービス力が限界になり
クレームが頻発するようになって
最後は割引で客寄せをするという
ジリ貧な営業を行っていました。

前田
「内部事情を聞くと
ヒドイ話だと思いますけど
なんかどこでもありそうな感じが
しますね」


前田の言うとおり飲食店は
毎年何万件も出店しています。

全国的に営業しているお店は
55万件とも言われますが
10%は3年以内に潰れてしまう
のだそうです。

そして

5年経つと30%の飲食店が
入れ替わる
と言われています。

一説には1年目で40%の確率

10年経つまでに潰れる確率は
90%
などという話もあります。

前田
「成功する確率の方が
少ないじゃないですか」


倉持
「そうね。
飲食店未経験者が開業すると
失敗確率は必然的に高くなるし
リスクはかなりあるわね」


今回紹介したお店の販売促進で
失敗した原因は
「割引」が大きな要因でした。

このお店はオープン当時
店長がやる気でどのお店よりも
売上を取る気で満々でした。

その為その店長は
色々な施策を行いました。

お客様の要望に応えメニューを
考えたり子供向けのサービスや
遊具などファミリー層の
取り込みも行いました。

近隣を回って
サービス券を配ったりチラシを
置いて貰える所を探したりも
していました。

オープン当初の赤字原因は

新規オープンと言う事で
お客様に迷惑を掛けない為に
人員を多く配置した事や

在庫切れをしない為の
在庫を多く抱える事での
必要経費でしたが

3か月目からの赤字原因は
販売促進費に計上されている
割引金額が大きくなっていた
という事です。

なぜ割引が大きくなったのか
と言うと

オープンしてしばらくしても
赤字になっているお店で
店長が焦り、

少しでもお客様に来て欲しいと
過剰な割引をし始めたのです。

行った割引は、
お客様が帰る時の会計後に
必ず割引券を渡す事でした。

当然次回の来店頻度は
何も渡さない時よりも
高くなると予想できます。

しかし

実際には何も貰わなくても
次回また食べに来ようと
思っているお客様も
中にはいる
のです。

そんなお客様にもサービス券を
バラ撒いていきました。

近隣周りもサービス券。
折込みチラシもサービス券。

前田
「何でそんなに割引ばっかり
しちゃったんですか?」


倉持
「多分売上が上がらない事に
相当焦ってしまったんでしょう」

横山
「そういう店長に任せなければ
良かったんじゃあ無いですか?」



「これはは行った施策の
判断ミスが大きな原因だけど
他にも要因はあったのよ」

そう言うと倉持はこのお店の
意外な衰退原因がある事を
教えてくれました。

つづく