前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。
第211話:大事な事は効果の測定
横山は普段から行っている業務で
特定の店舗での成功事例の
話を始めました。
販売促進と言うと難しく聞こえますが
飲食店で売上が伸び悩んだ時に
「何か打開策は無いか・・・」と
考えると思います。
この時に行う行動が企画となり
売上をUPさせる為のものなので
どんな店でも少なからず
自然と行っているとも言えるのです。
その行動を効果アップさせたり
費用を掛けて効率化させたり
意味があるのか数値的に判断するのが
戦略なのです。
売上の公式で話した、
「売上=客数×客単価」で
客数を取る施策をまずは行って
いくと言っていましたが
具体的にどのような事を
するのでしょうか。
客数を上げる手段
・チラシ広告で新規客獲得
・店頭パンフレット配布で再来店化
・無料券や割引券配布で来店動機付け
・会員カードを作成し特定割引
・ポイントを溜めると割引で定期化
一般的にはこの様な施策を
どのお店でも行った事は
あると思います。
大事な事は効果の測定です。
その施策でどれくらい
お客様が増えたのかを調べて
行く事が労力の無駄を省きます。
毎回同じような施策を続けていると
その効果は薄れ、お得な感じも
販売促進されている事も
気付かない無駄打ち費用となります。
効果の測定にはアンケートや
自店の詳細なデータが必要で
商圏でのランクやお客様からの感想、
世間のイメージに至るまで調べ
それに見合った戦略を考えないと
いけないのです。
前田
「例えて言うとどういうものが
あるんですか?」
横山
「ある物販のお店でアンケートを
取った例があります。」
横山は次の様に話しました。
子供連れのお客様が多く子供用の
商品も遊戯スペースも無く
買い物に集中できないという
アンケートの答えがあり、
集客調査で子供連れ、
ファミリー層の客層が半数以上
そのお店に訪れている事が判明し
子供を遊ばせておくスペースや
子供用品を一緒に買い物できる様に
品ぞろえの充実、導線を変更して
店内の滞在時間を上げる効果を
得て行きました。
すると必然的に商品の購入率が
アップして売上は飛躍的に
上がったと言います。
しかし同じ系列店で
真似をした店舗では同様の
売上アップは出来なかったそうで
やはり客層や需要を調査して
戦略を練らないと意味が無い事が
解ります。
飲食店では立地条件で
ファミリー向けとかカップル向け、
料理ジャンルなどの条件が
別れる訳ではなく
何所にどのようなお店を
出店するのかと言う事は特別な
規制がある場合を除き店主の
自由なのですから
人通りの層と全く違うお店が
オープンしても良い訳です。
例えば、
ある田舎の大学の近くには
学生向けの大衆店や大盛で安く
食べられるお店が並んだりしますが
そんな中に
お洒落でちょっと単価の高い
お店があっても良いという事です。
実際には前者の学生向けの店の方が
集客はし易いでしょうが競合も
強くなります。
そんな中で、
学生向けの店の中に1店舗だけ
毛色の違うお店があって
ちゃんとニーズに応えられるなら
そのお店は劇的に弱い競合で
独り勝ち出来るという事です。
前田
「同じ手法で効果が違うのは
需要が合って無いからと
いうだけの理由なのでしょうか?」
横山
「倉持部長の言われるように
サービスの質の差も重要です。
市場調査を行って自店のレベルが
充分でないお店では販売促進の
効果も低い事が解っています」
「やっぱり
サービスありきなんですね~」
倉持
「では次に販売促進の企画を
作るステップを見て行きましょう」
そこで倉持はある資料を
3人に渡しました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。
第210話:売上は「客数×客単価」
ここまでの倉持部長の話では
販売促進を行った事で逆に
評判を落としてしまい
売上を低迷させたお店の事例を
紹介していました。
倉持
「ここまでの話でお店の状態が
しっかりしていないと販売促進を
行っても意味が無い事は
解ったでしょうか?」
横山
「解ります」
「では、
どのようなプランで進行して行けば
良いのか解りますか?」
「今まで自分が進めてきた経験では
次の様な流れになります」
そう言うと横山は自分の部署の
物販部門の店の販売促進計画について
説明していきました。
販売促進計画を立てる時に
必要な情報が大まかに考えると
以下の様になります。
①店舗の状態や基盤
②商圏範囲やターゲット
③利益計算
飲食店では複雑な
マーケティングを計画するより
効果的で単純な作業を行う方が
効率が良いお店もあります。
特に考え方としては
シンプルに理解して計画的に
取り組めば効果は見込めるので
時間を掛けずにきちんと
考えた方法を採用しなくては
いけません。
目的は
「販売促進=売上UP」という
シンプルな事ですが、
売上はどうすればアップ
出来るのでしょうか?
売上は「客数×客単価」
と言われるように
商品価格である客単価に
来店したお客様の数を掛けて
考えます。
その為単純に考えると
客数を増やせば売上が倍数で
上がるという計算なのです。
逆に客単価を増やしても
売上は上がりますが
ヘタな施策や企画は客数を
減らす恐れもあるので少し
ハードルが高くなります。
まずは売上の要因である
「客数」にターゲットを絞って
計画を練っていかなければ
ならないのです。
まず行う企画の計画を立てて
経費の計算や集客の見込み、
採算が取れるかを精査して
企画書を作ります。
企画は外れる事もありますが
自分のお店の現実的な目算で
儲かるかどうかを計算して
次の様な事も議論していきます。
出来るかどうか?(店の状態)
やるべきかどうか?(時期など)
やったとして固定客は取れるか?
反響予測の為のデータはあるか?
個人経営のお店を経営する
個人オーナーが自分の店の
料理の味に自信があって
「味が良ければいつか
お客様に評価され、お店に
食べに来て貰える時が来る」と
我慢して営業を続けると
固定客が付くまでに膨大な
時間が掛ったり
評判になるまでに赤字経営が
続くかもしれないのです。
大手フランチャイズチェーンが
一般の個人店に味で負ける事は
良くある事だと思いませんか?
でも実際は大手の方が
儲かっている・・・
それは効果的な販売促進や
広告活動を行って計画的、
戦略的なプランがある事が強みに
なっているのでは無いでしょうか。
横山はこの様に話し、
特定の店舗での成功事例の
話を始めました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。
第210話:売上は「客数×客単価」
ここまでの倉持部長の話では
販売促進を行った事で逆に
評判を落としてしまい
売上を低迷させたお店の事例を
紹介していました。
倉持
「ここまでの話でお店の状態が
しっかりしていないと販売促進を
行っても意味が無い事は
解ったでしょうか?」
横山
「解ります」
「では、
どのようなプランで進行して行けば
良いのか解りますか?」
「今まで自分が進めてきた経験では
次の様な流れになります」
そう言うと横山は自分の部署の
物販部門の店の販売促進計画について
説明していきました。
販売促進計画を立てる時に
必要な情報が大まかに考えると
以下の様になります。
①店舗の状態や基盤
②商圏範囲やターゲット
③利益計算
飲食店では複雑な
マーケティングを計画するより
効果的で単純な作業を行う方が
効率が良いお店もあります。
特に考え方としては
シンプルに理解して計画的に
取り組めば効果は見込めるので
時間を掛けずにきちんと
考えた方法を採用しなくては
いけません。
目的は
「販売促進=売上UP」という
シンプルな事ですが、
売上はどうすればアップ
出来るのでしょうか?
売上は「客数×客単価」
と言われるように
商品価格である客単価に
来店したお客様の数を掛けて
考えます。
その為単純に考えると
客数を増やせば売上が倍数で
上がるという計算なのです。
逆に客単価を増やしても
売上は上がりますが
ヘタな施策や企画は客数を
減らす恐れもあるので少し
ハードルが高くなります。
まずは売上の要因である
「客数」にターゲットを絞って
計画を練っていかなければ
ならないのです。
まず行う企画の計画を立てて
経費の計算や集客の見込み、
採算が取れるかを精査して
企画書を作ります。
企画は外れる事もありますが
自分のお店の現実的な目算で
儲かるかどうかを計算して
次の様な事も議論していきます。
出来るかどうか?(店の状態)
やるべきかどうか?(時期など)
やったとして固定客は取れるか?
反響予測の為のデータはあるか?
個人経営のお店を経営する
個人オーナーが自分の店の
料理の味に自信があって
「味が良ければいつか
お客様に評価され、お店に
食べに来て貰える時が来る」と
我慢して営業を続けると
固定客が付くまでに膨大な
時間が掛ったり
評判になるまでに赤字経営が
続くかもしれないのです。
大手フランチャイズチェーンが
一般の個人店に味で負ける事は
良くある事だと思いませんか?
でも実際は大手の方が
儲かっている・・・
それは効果的な販売促進や
広告活動を行って計画的、
戦略的なプランがある事が強みに
なっているのでは無いでしょうか。
横山はこの様に話し、
特定の店舗での成功事例の
話を始めました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。
第209話:エリアマネージャーの過信
倉持部長はあるお店の販売促進での
失敗例を話していました。
行った施策の判断ミスが大きな
原因で更に他にも要因はあったと
倉持は言います。
まず店長は若く経験はまだ
浅い方でしたが努力してお店の店長に
上り詰めてきた行動的な店長です。
新店を任されるまで
自分の受け持ち店舗を繁盛させて
年間表彰される程の評価を
得ていました。
それなのに何故売上は低迷して
しまったのでしょうか。
原因の一つとして
エリアマネージャーの過信と
指導不足があります。
これまでに自分の受け持ちだった
お店が売上を伸ばして評価されると
全て自分の能力によるものだと
過信する人物がいます。
ましてまだ若く経験の浅い店長なら
当然かもしれません。
そこで上司が引き締めることなく
甘やかしてしまったので
変な自信を持ってしまった事も
後に引けない割引を続けた
引き金になっていたかも知れません。
店長のタイプとしては
自分で行動し動く事で周りの人間を
引っ張っていく人で
アルバイトからは好かれ
信頼されていました。
しかし
長所である行動力が店内の
オペレーションの部分では欠点として
現れました。
お店のオープン当初まだ能力の
足りないアルバイトが多い中
店長が全部動くのでスタッフの
実戦経験が甘く中々育たない現状が
あったのです。
アルバイトは店長が全部動くと
自分を信頼されていない気持ちと
仕事を覚えられないモヤモヤした
気持ちになります。
慣れないうちは誰でもありますが
このお店では3か月経っても
全員がまだ未熟なスタッフでした。
そうするとアルバイトの意識は
「店長がやってくれるから」
という意識に変わっていくのです。
当時この店長は仕事も真面目で
スタッフの足りない所をフォローして
いるつもりでしたが実は
スタッフの手抜きを助けている
というだけだったのです。
そして売上が伸び悩んできた時に
人員を削っていくと
当然1人が受け持つ仕事の種類が
増えていきます。
実際の作業量は減ったとしても
今まで固定ポジションで仕事を
行ってきた者が急に全般的な
仕事をこなす様になる訳です。
飲食店で言うなら、
キッチンで揚物を担当していた
調理スタッフが急に
サラダや魚料理、肉料理を
任されたり提供までを行ったり
させられる訳です。
人件費を絞るという事は
シフト時間を削られながら
仕事で覚える事は増えていくので
その精度は急激に低下しました。
店長の気持ちとしては
「お店が暇なんだから覚えられる」
と思っていました。
スタッフは、
シフト時間は削られバイト代も減り
急に増えた仕事の種類を覚える
ノルマがやタスクが増えて
モチベーションも低下していきます。
そこへ店長からは
「暇だから出来る」の一言で
かたずけられて不満も溜まって
いきました。
ある時
お店が急に忙しくなった日に
店長が絞ったシフトのせいで
スタッフ一人で対応しなくては
いけない状況になってしまいました。
そこでそのスタッフが取った行動は
作業を全部覚えきれなかった部分や
曖昧な部分は飛ばして
未完成でも早く対応する事を
目的に動いたのです。
その場は無事乗り切れて
店長も独りで対応できたスタッフを
評価しました。
その後
その経験に甘えた店長が度々
人件費を絞る為にそのスタッフに
同じ事をさせてクオリティの
低い商品を出す様になって
しまったというわけです。
前田
「どこで目的を間違えて
しまったんでしょうね」
倉持
「まずは店内の整備、
クオリティを下げない事が大事で
お店にお客様を呼んでも
満足させられる状態を
キープしないといけないという事ね」
結果的にこの例のお店は
1年で閉店しまったのですが
店長を始めエリアマネージャーや
スーパーバイザーのレベルの
管理職の能力が低い事が最大の
問題でした。
販売促進の状態やチェックを怠り
アドバイスも的外れでした。
その為その店長のキャリアを潰し
会社からはその店長の評価だけが
下がったのです。
そして倉持は次の事例を
紹介しました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新たに販促課の横山を加え
倉持部長の講義を受けに人事部へ
やってきていました。
第209話:エリアマネージャーの過信
倉持部長はあるお店の販売促進での
失敗例を話していました。
行った施策の判断ミスが大きな
原因で更に他にも要因はあったと
倉持は言います。
まず店長は若く経験はまだ
浅い方でしたが努力してお店の店長に
上り詰めてきた行動的な店長です。
新店を任されるまで
自分の受け持ち店舗を繁盛させて
年間表彰される程の評価を
得ていました。
それなのに何故売上は低迷して
しまったのでしょうか。
原因の一つとして
エリアマネージャーの過信と
指導不足があります。
これまでに自分の受け持ちだった
お店が売上を伸ばして評価されると
全て自分の能力によるものだと
過信する人物がいます。
ましてまだ若く経験の浅い店長なら
当然かもしれません。
そこで上司が引き締めることなく
甘やかしてしまったので
変な自信を持ってしまった事も
後に引けない割引を続けた
引き金になっていたかも知れません。
店長のタイプとしては
自分で行動し動く事で周りの人間を
引っ張っていく人で
アルバイトからは好かれ
信頼されていました。
しかし
長所である行動力が店内の
オペレーションの部分では欠点として
現れました。
お店のオープン当初まだ能力の
足りないアルバイトが多い中
店長が全部動くのでスタッフの
実戦経験が甘く中々育たない現状が
あったのです。
アルバイトは店長が全部動くと
自分を信頼されていない気持ちと
仕事を覚えられないモヤモヤした
気持ちになります。
慣れないうちは誰でもありますが
このお店では3か月経っても
全員がまだ未熟なスタッフでした。
そうするとアルバイトの意識は
「店長がやってくれるから」
という意識に変わっていくのです。
当時この店長は仕事も真面目で
スタッフの足りない所をフォローして
いるつもりでしたが実は
スタッフの手抜きを助けている
というだけだったのです。
そして売上が伸び悩んできた時に
人員を削っていくと
当然1人が受け持つ仕事の種類が
増えていきます。
実際の作業量は減ったとしても
今まで固定ポジションで仕事を
行ってきた者が急に全般的な
仕事をこなす様になる訳です。
飲食店で言うなら、
キッチンで揚物を担当していた
調理スタッフが急に
サラダや魚料理、肉料理を
任されたり提供までを行ったり
させられる訳です。
人件費を絞るという事は
シフト時間を削られながら
仕事で覚える事は増えていくので
その精度は急激に低下しました。
店長の気持ちとしては
「お店が暇なんだから覚えられる」
と思っていました。
スタッフは、
シフト時間は削られバイト代も減り
急に増えた仕事の種類を覚える
ノルマがやタスクが増えて
モチベーションも低下していきます。
そこへ店長からは
「暇だから出来る」の一言で
かたずけられて不満も溜まって
いきました。
ある時
お店が急に忙しくなった日に
店長が絞ったシフトのせいで
スタッフ一人で対応しなくては
いけない状況になってしまいました。
そこでそのスタッフが取った行動は
作業を全部覚えきれなかった部分や
曖昧な部分は飛ばして
未完成でも早く対応する事を
目的に動いたのです。
その場は無事乗り切れて
店長も独りで対応できたスタッフを
評価しました。
その後
その経験に甘えた店長が度々
人件費を絞る為にそのスタッフに
同じ事をさせてクオリティの
低い商品を出す様になって
しまったというわけです。
前田
「どこで目的を間違えて
しまったんでしょうね」
倉持
「まずは店内の整備、
クオリティを下げない事が大事で
お店にお客様を呼んでも
満足させられる状態を
キープしないといけないという事ね」
結果的にこの例のお店は
1年で閉店しまったのですが
店長を始めエリアマネージャーや
スーパーバイザーのレベルの
管理職の能力が低い事が最大の
問題でした。
販売促進の状態やチェックを怠り
アドバイスも的外れでした。
その為その店長のキャリアを潰し
会社からはその店長の評価だけが
下がったのです。
そして倉持は次の事例を
紹介しました。
つづく