前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第234話:引き抜きでキャリアアップ
どこかの会社の社長が
「会社の資産は人材だ」と
言っているのを聞く事がありますが
お店にとっても質のいい職人や
料理人の水準の高さで
お店の水準も変わるというものです。
長年修行した末にその店の
親方が引退しないとポジションが
空かないような店だと
板長レベルの職人は他のお店で
店を任せてくれるお店に
「引き抜き」される事があります。
いわゆる
ヘッドハンティングですが
一昔前はこの方法でキャリアアップ
する事が料理人のステータスとも
言われていました。
しかし経営的に厳しい中
料理人の様に技術職で転職する人でも
「得体が知れない」からなのか
その数は減少していると言われて
いました。
よほど有名な人や有名店の経歴が
あるとかTV出演で有名になったり
有名な人に紹介された様な場合なら
まだ信じられるかも知れませんが
自分からアピールして入社するのは
難しいかもしれません。
料理人の経歴は詐称できるからです。
人手不足だけど年配の経歴者は
怖くて取れない。
と言うのは要求されるポジションと
給与額も影響すると思います。
引き抜きで
キャリアアップになるのは
転職するごとに給料が
跳ね上がっていく事が理由なので
転職で給料が下がるなら
料理人は基本的に転職しないと
思われます。
技術職は野球やサッカー選手と同じで
その契約金とも言える給料額が
自分のスキルの評価として
感じます。
だから本当は
「お金の評価では無く自分を
評価してくれるお店に行きたい」
「評価された自分の技術を発揮したい」
という気持ちが美食の国と言われる
日本の飲食業界を発展させたとも
個人的には思えます。
そういうプライドがある職人と
今回本田の会社と提携した
この会社の目指す効率化は
根本的に相いれない所があり
簡単には行かないのです。
割烹料理店が事業拡大を
どのように行っていくのかも
長く話し合い中々折り合いも
付かない流れになっていました。
つづく