第57話:繁盛店はターゲットを絞る | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で働くサラリーマン。
部下の前田と共にお好み焼き屋に来ていて
お店の悪い状態を発見し考察していました。


第57話:繁盛店はターゲットを絞る

本田承太郎は訪れたお好み焼き屋のトイレの状態を見て

「やっぱりこのお店は不振店なんだろうな」

確信していました。



トイレの作りだけではなく

店内の整備は新しい割にメンテナンスをしてない様子で

店内の油煙の油がこびりついています。



それだけじゃなく、いたるところに

備品機材が放置されている状態でした。



特に入口付近に「長ネギ」と書かれたダンボールが

放置されていることには驚きました。



どんなお店でも入口付近の状態が粗悪だと

繁盛しないと言われていますが

そういうこともあまり考えて無いのか

店主は普通に振舞っています。



今回、本田たちは「開業間もない不振店」

見て回っていますがこのお店は清掃面で既に納得出来ました。



しかし、一応メニューも頼んでみることにします。



部下の前田がメニューを見るとこう言いました。

「美味しそうでメニューも一通り揃ってますね」


本田がメニューを見てみると

「一般的なものしか置いてない・・」

という印象でした。





表の看板の時点でもそうでしたが

流行らない原因の一つに

「お店の特徴が無いんじゃないか?」と思ったのです。


このお好み焼き屋の傾向は

お店をオープンして注目を集めていた時は繁盛していて

2ヶ月目からは赤字に転落し、

半年以上経った今は赤字を出し続けている状態です。




本田が思ったように普通のお客さんでも

「メニューもこんなもんか」と思ったことでしょう。

最悪、メニューに看板商品が無いとマイナスは取り返せません。



清掃面が悪いこの時点で

メニューやサービスに特徴が無いのは致命的だったのです。



頼んでみると一見美味しそうなお好み焼きです。

お好み焼き




食べてみても確かに美味しいです。




美味しいお好み焼きを作っているので

店主は変に自信があるのか他の事に目が届かないのでしょう。



価格設定も微妙でした。


お好み1枚580円~?


ちょっと安いですね。


「安ければ流行るのでは」


と、思ってしまいますが果たして利益は取れるのでしょうか。



味もまあまあ美味しくてサイズも少し小ぶりな感じがしますが

一人客用かと思うと少し小さい。

焼きそばを追加してちょうどいいくらい。



かと言ってお洒落な雰囲気でもないので

カップルが来るような感じではありません。

つまり、ターゲットがよく解らないので

利用者が迷うところです。



お好み焼きを出すお店でも繁盛しているお店は

「明確なターゲットを持っている」お店が多いです。



大学や高校の近くのお店では学生をターゲットに

安くてたくさん食べられるメニューを置き、

内装や作りにはこだわっていません。



テナントに入る隠れ家的なお店では

カップル層をターゲットにした

鉄板焼きのお店をおしゃれにアレンジして

ワインやカクテルなどと一緒に楽しむことができる

作りになっています。



郊外型ロードサイドのお店では

ファミリー層をターゲットに食品の安全性を前面にした

素材重視のお好み焼きを看板にして

店内バリアフリーや安全性で

家族連れに人気のお店作りをしています。



このように一口にお好み焼きでも色々切り口はあるので

特徴を出せるはずなので昨今では

普通のお店を普通に営業しても目立たないのです。



そして、このように「ターゲットを絞る」事で

お店は安定して集客する事ができるようになりますが


「流行っているお店には狙ってないターゲットも来店する」

ようになってきます。



ファミリー層のお店でも人気だと噂になれば

カップルでも学生でも食事に来るようになるのです。



本田たちが訪れたお店の集客力が弱いのは

オープン当初は綺麗なお店だったはずなので

やはりターゲットを絞れていないことが原因なのではないかと

本田承太郎は思ったのでした。


つづく