『いのち この美しきもの』
とても大きなサイズの写真集である。
いったい何の写真が集められたものなのか。
いのち、この美しきもの―写真集 群馬県境小学校の子どもたち (1974年) 斎藤 喜博,川島 浩 筑摩書房 このアイテムの詳細を見る |
それは、古い教員であればだれでも知っている「斎藤喜博(さいとうきはく)校長先生」の学校・群馬県境小学校の子ども達の凛々しき姿を納めた写真集である。
私が斎藤喜博先生の話題を出すと、残念なことであるがベテランの先生でも「ああ、昔の良き時代の教育だね。」という反応が返ってくることが多い。しかし私は、絶対に“古き良き時代”ではないと思っている。写真集に残されている子ども達の姿は理想的な輝きを見せている。私の脳裏には常にこの写真集の中の子ども達が理想の姿として刻みつけられている。
この「理想の姿」を追い求めるあまり、時に子ども達の現状とのジレンマが生じて厳しく指導してしまうことがあり、反省をすることもある。
それでも私の根本の考え方はいまだに変わらない。
「理想の姿」を見失った、または持っていない教員は、羅針盤のない航海をしているのと同じように、嵐が来た時に対処できなくなるという考え方である。
教員が、理想の子ども像を持っていると、受け持った子どもたちは必ず成長すると実感している。
斎藤先生の流れを意識して組織化していった人に、向山洋一先生の存在がある。「教育技術の法則化運動」の中心者であり、今は「TOSS」というそれはそれは厳しい研修を行なう教員研修組織(授業の名人作りを進めている民間組織)のリーダーとして有名である。
法則化の本は簡単に手に入る。読みやすいように文章も工夫されている。マニュアル書のイメージが強いので、すぐに使えることが多い。
でも私は若い教員に「斎藤喜博先生の本を熟読しなさい」と薦めたい。読んだところで今は実感として分からないことが多いかもしれない。しかし、教員経験を年々積み重ねるほどに重みを増してくる本である。
皆さんのワンクリックで、教育界へのマインドマップ普及にお力添えをお願いします。


