どちらの学校の生徒も本当に友達として分かり合えるようにするためには、単発的な活動をしていてはダメだ。どこの世界にたった1日で相手を理解できる子どもがいようか。何度も何度も交流を深めて初めて分かり合えるものだ。
そんな考えからK女子高の先生とも共通理解し、「通年交流」という活動を始めた。
こちらは自分で動くことも困難さがある障害の重い養護学校。相手は元気いっぱいの女子高生。毎年文化祭や夏祭りなどに招待して交流をしてきたので、「何かをやってあげる」という感覚で接してくるだろうが、きっと心の奥には、接したことのない同年代の障害者との交流には抵抗があるだろう。この壁を破りたいと思った。
年度の始めに1年間を通して交流をしていくことを確認。まずは夏休みの始めに行なわれる養護学校の夏祭りで、一緒にお店を出すことにした。準備も交流の回数を重ねていかないとできない。こうして何回も共同作業をすることで、上っ面だけでなく根が深い交流をしていった。10月の文化祭や、相手校の文化祭でも共同作業をしていった。
こうした経験は養護学校の生徒には心ときめく経験となったようであり、交流校の生徒には「障害者だからかわいそう」というありがちな気持ちを「障害者でも同じ高校生」という感覚に変えていけたのではないかと思っている。
辰巳小の幼稚園交流や塩浜福祉園交流を作ったのは私であるが、その原点がここにある。学校間交流というのは単発的なものではなく、通年交流をしていかなくては本当の成果というものは出ない。この確信はそう簡単には転覆することはないだろう。
(続く)