【超お勧め本】横田増生『中学受験』(1)-「教育ジャーナリズム」?ー | 「お受験」問題ー子どもの「気持ち」-

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 受験のさまざまな問題について、皆さんと交流できればと思います。ご父兄・生徒さんにはあまり知られていない問題を取り上げたいと思います。
 なお、「傾向と対策」「学校情報」(進学率など)は基本テーマになりませんので悪しからず。

 たまたま本屋で横田増生『中学受験』(岩波新書、2013年)という本を見つけました。

中学受験 (岩波新書)/岩波書店
¥864
Amazon.co.jp


 帯の文句に、まず「中高一貫校は”夢の楽園”なのか?」とあります。


 続く文句が「プラスとマイナスを徹底検証」


 面白そうなので買ってみることにしました。


 読んでみるとこれは実に面白い!


 というより、受験本には珍しい「まともな本」でした。


 受験本は、正直、個人的な経験や思い入れに終始した本が多いように思います。


 しかし、この本は違います。


 (1)きちんと現場に足を運ぶ


 (2)きちんと人の話を聞く


 (3)問題を思われる部分を包み隠さず、書く


 この3点がしっかり踏まえられています。


 次回以降、いくつか保護者の方に参考になる部分をご紹介したいと思います。


 それにしても、(1)~(3)はジャーナリストの基本です。


 もっと、こういう本が出ていいのになぜ、少ないのでしょうか?


 答になるのが、本書冒頭(ⅸ頁)で紹介されている「教育ジャーナリスト」の言。


 「私自身が長くかかわってきている育児教育の分野では、雑誌、書籍とも地の文も含めて必ず原稿をチェックさせてもらっています。」


 「事前検閲」が恒常化していては、相手に都合の悪いことは書けません。


 当然ながら、保護者の方には、学校・受験業界に都合のいい情報しか届かないわけです。


 ジャーナリストに批判精神が欠落しているのでは、こういう本は出ないでしょう。


 この本で、著者の横田氏がジャーナリストとして本来の仕事をしたということは大変に喜ばしいことです。


 学校や受験業界は、本来、ここでの指摘を踏まえて、「より良い教育」の在り方を保護者の方に提案していくべきだと思います。


(この項、続く)