2月11日付『朝日新聞』(朝刊・39面)に以下の見出しの記事が出ました。
「個別指導塾大手 83億円粉飾」→http://www.asahi.com/articles/DA3S10973075.html
「トーマス」などを経営している「リソー教育」が、売上高を6年間で実際より83億円多く報告していたというもの。
手口としては次の二つが挙げられています。
(1)当日欠席の生徒(授業料を返還しなくて良い)を実際よりも多く報告する
(2)録画授業の契約数を水増しする
背景にあるのは当然ながら「業績至上主義」であり、さらには少子化による受験業界の「過当競争」です。
さて、ここまで読んで「ウチはトーマスに通わせていなくて良かった」と安心しているようではいけません。
記事中でも、こういう「業績至上主義」は受験業界(塾業界)全体の問題とされています。
例えば、「リソー教育」では売上高が目標に達しない教室では幹部の降格や給与カットが常態化していたとされています。
こういうことはあなたのお子さんが通っている塾でも行われているかもしれません。
では、こういう「業績至上主義」はお子さんにどういう具体的影響を及ぼすでしょうか?
簡単に言えば、程度の差こそあれ、教室や講師の「業績」に貢献できない生徒さんは蔑ろにされる、という傾向が生じがちです。
例えば、「業績」が「成績」であれば、成績が悪くても頑張っている生徒さんを褒めるということはやりにくくなります→「『派遣教員』問題」 参照。
この際、教える側は「善悪」を事実上、決定できる立場にあるので、こういう生徒さんを「悪い子」にすることは簡単です。
「我が子が悪い」(「自分の育て方が悪い」になりがち)と思っていたら、ただ「塾の経営が悪い」だけだった、ということもあり得ます。
ちなみにこういう子どもさんへの具体的影響は、『朝日』の記事では何ら触れられていません。
残念ながら、子どもさんを蔑ろにするのは現在のところ、マスコミも同様です。
こういうニュースを見たら、保護者が我が子の状況との関連性をしっかり考える必要があると思います。