ペンギンタウンというドキュメンタリーがネットフィリックスで配信されています。僕は八話までノンストップで鑑賞し続けました。
僕は最高に幸せで楽しくて面白くて大興奮して見終わったとき、窓を開けてみると真っ暗に日が暮れていました。
僕は、昔の昔に高知県の桂浜水族館で、フンボルトペンギンと皇帝ペンギンの飼育をしていた経験があります。
桂浜水族館は名前の通り高知県の桂浜の海に面しています。僕はその期間は桂浜から徒歩数分の距離の場所に部屋を間借りして住んでいました。
高知市内の街のはりまや橋あたりまでは、バスを乗らなきゃ遠くて、しかも高知県は案外と坂道も多くて歩きで何処へでも行けるところではありませんでした。
僕は、水族館と自宅の往復でほとんどの高知県暮らしの時を費やしました。
僕が担当したフンボルトペンギンのなかに、トーマスという雄がいました。彼はフンボルトペンギンのリーダーで歳上で女も何人かいるモテ男でした。
他にはモテない雄や若い雄のギャングの集団などなどペンギン事情を見ながら飼育をしながら楽しみました。
皇帝ペンギンのミナミはいつも1個体でひとりポツリとたたずんでいたりしたのを覚えています。
ペンギンの主食はカタクチイワシでした。毎日のフィーディングで僕は彼らの嘴先まで手渡しをしていました。未だにその影響で、カタクチイワシの匂いが苦手なのです。
ペンギンのプールの隣りには、ゴンドウ鯨のプールがありました。僕はショーをやって最後は桂浜水族館から旅立ちました。
僕はたくさんの動物の飼育の仕事を世界中で経験しました。
ペンギンの飼育
鯨の飼育
イルカ飼育と野生イルカのセラピー
野生コアラの保護区での飼育
野生インコの飼育
オラウータの保護区での飼育
数えきれません。
そのなかでも記憶に残る2つの動物の経験があります。
ひとつは乗馬倶楽部での厩務員のときにアンナという名前の馬の安楽死を見たときでした。足を怪我して立てなくなったアンナはりんごを口にしたあとにすぐに眠りにつきました。
もうひとつはロリキートの鳥の安楽死でした。
引越しをするから飼えないということで、目の前で獣医さんがロリキートさん首をくりっとひねりました。瞬間にロリキートさんは息を引き取りゴミ箱へ捨てられました。
僕は2つとも処理の終わった直後に放心状態になってしまいました。膝から力が抜けて指先から力が抜けて目から肩からも足先からも力が抜けて仕事になりませんでした。
命ある野生動物も飼われている動物も診るとか、治す行為を施す人間にはドライになって割り切る感情が求められます。安楽死を目の前に涙が溢れていたらできません。
僕はドライになりきれなかった。だから僕は大自然の海を潜る仕事を選びました。大好きな動物のそばで生きられる場所で、人を海洋生物の棲み家へ案内をする仕事を生業にしました。そして水中写真家として花が咲きました。
ネットフィリックスで配信中のペンギンタウンはおすすめです!