琉夏は体がぜんぶ土に還ったよ。
夕方にメッセージがきていました。
そのメッセージを確認する時間から遡ったお昼すぎでした。
「土に還った」
その言葉が波になって前触れなしにじんわりと私の内側からやってきました。
私の魂を通じて伝えにきた魂がありました。
琉夏の魂だったのです。
私はあちこち海外に行くし放浪癖があるから土葬にして骨にはしませんでした。小さな体の骨で、リュックに持ち歩けるけど、人間なんて失くすかもしれない。そう考えて土葬にしました。
体が土に還った…つまりこういうこと。
絶対に現世ではもう会えなくて。
逢いたくても抱きしめたくても声をききたくてももう会えない。
「土に還ったよ」とメッセージがやってきた夕方の私の心には一気に寂しさと悲しみが押し寄せてきました。言葉じゃ心が追いつかない悲しみでした。
心がどこかでまだ彼に会える期待でもしていたかのように、心の置きどころが分からなくなってぐちゃぐちゃになりました。
期待していないし会えるはずもないこともわかっているのに塵になってしまうということが存在が地球から跡形もなく消えてしまうことで、永遠の別れになるその日が訪れたからです。
私は叫びました。
琉夏の名を大きな声で叫びました。返してくれる声はありません。それでも叫びました。
琉夏!
琉夏!
どこにいるの!
琉夏!
名前を何回も何回も叫びました。太陽の焼けつくオレンジ色が沈んでしまうまで…。
声は枯れて涙は枯れていつの間にか船の上で眠りに落ちていました。
目が覚めると…
メッセージに続けて書かれていました。
「琉夏はぜんぶ土に還ったよ。プランターの中に空洞!すっぽり空っぽよ。苗を植えていて先月まではこれほどではなかったのよ。いまは空っぽ!何か新しい花を植えてあげなきゃね。」