【今回の表現】選挙頻出語(1)mencoblos「刺す、穴をあける」
【難易度】中級 ★★☆(ちょっと難しい)
Halo, selamat siang.「こんにちは」
INJインドネシア語講師のイワンです。
Apa kabarnya?「お元気ですか?」
今回はインドネシア語だけではなく、最近のインドネシア事情にも触れますね。
ご存じの通り、インドネシアでは2024年は選挙の年と言われています。2024年2月の大統領選挙や総選挙に始まり、11月には全国地方首長選挙もあるからです。インドネシア人は政治の話が大好きなので、集まると選挙の話で盛り上がります。
特に注目されているのは、今年の地方首長選挙です。なぜなら、今までばらばらに行われた地方首長選挙が、今年から始めて一斉に行われるからです。そのため、テレビやインターネットなどでは、連日、地方首長選挙のニュースでにぎわっています。
そこで、今回と次回は、ニュースや記事でもよく見聞きする選挙頻出語を取り上げたいと思います。
今回は、mencoblos について説明しますね。
次のパンフレットを見てください。
これは、国民に投票を呼び掛けるパンフレットです。
パンフレットに書いてある文は、次の通りです。
Menuju Indonesia lebih baik. Ayo mencoblos.
この文の各単語の意味は、次の通りです。
menuju 向かう
lebih baik より良い
ayo ~しましょう
mencoblos 刺す、穴をあける
そこで、文の意味は、次のようになります。
Menuju Indonesia lebih baik.
より良いインドネシアへ向かいます。
Ayo mencoblos.
穴をあけましょう。
パンフレットにある 14 Februari 2024「2024年2月14日」は、大統領選挙と総選挙の投票日です。
「より良いインドネシアへ向かいます」は選挙での期待を示していますが、その後の「穴をあけましょう」とどんな関係があるの?と不思議ですよね。
そもそも mencoblos「穴をあける」とは何の穴でしょう?
その答えは、次のイラストでわかります。
これは、投票用紙に掲載されている候補者の写真に釘を刺しているイラストです。日本人ならだれでもびっくりするでしょう。「あれ?まさかインドネシアの投票方法は候補者の名前を書くのではなく、候補者の写真に釘を刺すのですか?」
はい、その通りです。投票用紙に掲載されている候補者の写真に釘で穴をあけることで投票します。
日本では人物の写真に釘を刺して穴をあけると、わら人形風で怖いイメージがありますね。しかし、インドネシアでは、もちろん選挙に限りますが、怖いイメージはありません。「私が嫌いなら、私の顔写真に釘を刺して穴をあけてください!」と宣伝する候補者もいます。
この方法は、インターネットが普及している現在においては時代遅れと言われています。しかし、インドネシア中央統計庁のデータによると、2023年の15歳以上の文盲率は3.5%もあり、この投票方法は読み書きができない人を差別しないためなのです。
これで、mencoblos 「刺す、穴をあける」は「投票する」という意味であることがわかりましたね。
次回も続けて、選挙頻出語の golput(= golongan putih)「白いグループ」について説明します。選挙関連の記事を読んで、「白いグループってだれのこと???」と思った人は、次回のブログをぜひ読んでくださいね。
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現在、INJカルチャーセンターではグループレッスンは、通学、オンラインの両方で行っています。最近は、首都圏以外の地方の方、インドネシアやシンガポールなど国外在住の受講生が増えています。
今回のブログのように、講座では、日本人が苦手なわかりにくい部分も詳しく説明しています。レベルや目的に合った講座で勉強して、インドネシア語がどんどん上達するようにがんばりましょう!
https://www.indonesia.co.jp/lesson/group/
Ayo, belajar bahasa Indonesia bersama saya.
さあ、私とインドネシア語を勉強しましょう。
Sampai jumpa lagi!
それでは、また!
【次回の予告】
選挙頻出語の golput(= golongan putih)「白いグループ」について説明します。お楽しみに!