憂さ憂さうさぎ -41ページ目

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

今日も身体に感じる余震が絶え間なく続いている。

そのため、家の中で寝る気にはなれなかった。

さて今日は何処で寝ようか。やはり車かな。

家にいても特に出来る事は思いつかないし、もう車へ移動しよう。

車に乗り込み再度悩む。ここで寝ようか、それともまた昨日の駐車場に

行った方が良いのか。

少しでも安心感を得るためには、やはり昨日の駐車場だろう。

『ここに長居する理由もないな。』 ということで、早速出発。

昨日と同様、携帯の充電とラジオを聴くのは忘れない。

駐車場に着いたのはまだ9時前だった。それは子供が寝る時間。

しかし自分達にはもう、とりたててやることが無い。特別会話も弾まない。

「やる事も無いし、もう寝ちゃおうか。」と言ってみる。

友人は 「もう寝るの?まだ9時前だよ。」 と笑ったが、とりあえず布団を

かぶってみた。温かい?・・・気がする・・・かな。

気温は昨日と変わらない。既に氷点下目前だ。

一応足元の隙間を毛布等でふさいではみたが、それでも少しはスースー

する。腰の周囲の隙間風は、自分をくるむように布団を引っ張る事で

ごまかした ・・・ ごまかしきれていないけど。

頭の下には部屋着を丸めてつっこみ、まくら代わりとする。

とにかく、寝る努力あるのみ!

自分の瞼が力んでいるのに気づいては、力を抜いてみる。

頭の中を空っぽにする努力もしてみる。寝ろ!自分。

ずっと何かの音が聞こえる。自分の頭の中ではない。勿論この車でもない。

『うるさいなぁ』 周りに視線を走らせた。

自分の車の少し後ろに白い車がぼやけて見える。エンジン点けっぱなしだ。

『そちらは随分温かそうなことで。』

こっちは同じ事をしたくても、ガソリンがないのだ。

『頼む、うるさいから、もう少し離れた所に駐車してくれ。』

このだだっ広い駐車場で、なにもこんな近くに駐車しなくたっていいだろうと、

少々イラつきながら、再度頭から布団をかぶりなおした。

うるさい ・・・ 寒い ・・・ 眠れない。

睡魔 (スイマ) よ、頼むから襲ってきてくれ。この際バタフライでもクロール

でも何でもかまわない。

ばかな事を考え始めた自分、睡魔はそっぽを向いてしまった。

隣では、昨日と同じく友人が大きな寝息をたてている。

自分は頭を抱えながらため息をつくしかなくなった。

無情にも、空は少しづつ白み始める。

結局今日も、自分は眠れなかったのだ。

自分達が持っている食糧は少ない。

電気・ガス・水道全て止まっていて、カセットコンロはカセットが無かった。

そのため、米は少々あったが炊く事は出来ない。

調理というものが何も出来ない。

自分の持っている食糧の中で、そのまま食べられるものは、

・・・お菓子くらいか。

せめて、電気さえ使えれば、米は炊ける。

水は、飲み水としては使わないよう言われていた給水槽の水でも、

沸騰させれば大丈夫だろう。電気さえあれば・・・。

どう考えても、しばらくは避難所の炊き出しに頼るしかない。

とりあえず、少しは腹の足しになるであろう缶詰を探す事にする。

缶詰はぐちゃぐちゃの物置の中だ。

懐中電灯を片手に物置の引き戸をあける。

照らし出された光景にため息が出た。 『とにかく、缶詰を探そう』

前のめりに倒れ斜めになったままの、2m近い金属製ラック。

床の上で山積みになっているラックの上にあったはずの物。

ラックの下に上半身を突っ込み、その山の中から缶詰の発掘を始める。

『さんまの蒲焼』一つ、『シーチキン』数個、昔誰かからもらった『果物の

缶詰』数個、缶の緑茶一つ。他にはビール数本・・・これはだめだな。

地震の時に酔っ払っていて、逃げ遅れる訳にはいかないのだ。

なんとも頼りない。

普段は健康を考えて、食事は極力作っていたため、カップラーメン等

の即席〇〇的な物はなく、あるのはせいぜい袋ラーメン4食といった

ところだ。

『こうなってみると、普段即席の食品に頼らないというのも、少々考え

ものだな。これからは使おう。うん。』 一人納得。

発掘作業中、砂糖類を二袋見つけた。台所の棚には大きめのはちみつもある。

『万が一食糧が何も手に入らなくなったら、最終手段はこれだな。』

カロリーだけはとれそうな二つの袋を、しばし眺めた。

避難所に到着すると、作業している人達の中から、一番 ”まとめ役” な

雰囲気の人を探す。

すぐ近くに腕章をつけた年配の男性が立っていた。この人にしよう。

「すみません。」と声をかける。

振り向いた男性に、お弁当屋さんと話し合ってきた内容を伝えた。

男性は「肉かぁ、そんなに大量には無くても、出汁が出るだろうから、それ

だけでもいいかもなぁ。」 と、結構乗り気に見える。

話によるとその男性は、食材調達の担当なのだそうで、調理担当の人に

了解得ないと決められないとの事だった。

早速男性が話をしに行く。自分達も後に続いた。



途中、豆腐でいっぱいの”ばんじゅう”が大量に並ぶエリアを通る。圧巻だ。

その先に調理を取り仕切っているらしい女性がいた。すぐ横に同じ担当

らしき男性もいる。

その二人に、食材調達担当の男性が今までの経緯を話した。



結果は ”却下”



調理担当側の考えはこうだ。

① 献立が決まっているため、変更出来ない。

② お年寄りがいるため、肉を使えない。

③ お年寄りに油っこいものを出して、体調を崩されては困る。

④ 中途半端な量の食材を持ってこられても困る。

⑤ 個人が約1,000人分の材料を提供出来るのか?

⑥ 約1,000人全員の人達に、同じ内容の物を提供しなければいけない。

⑦ 今持ってこられても、今日の炊き出しには間に合わない。

等々。



・・・わかりました、もういいです。



自分達は意気消沈で、まだ空っぽの大なべの横を通り、

すごすごと来た道を引き返して行く。

再び通る豆腐街道。

この豆腐は近くのお豆腐工場から提供されたものなのだそうで。

今日いつも通り豆腐を作ったものの、卸す先の店が開店出来ない状態。

そこで、この避難所へ提供する事になったのだそうだ。

『約1,000人分。確かに、これだけの量の食材を提供するのは無理

なのだが。』



とりあえず、お弁当屋のおくさんに結果を報告。

「やっぱり断られました。」 断られた理由も一通り伝える。

店の入り口で、炊き出しの考え方について “少々批判的な討論” を

行った後、自分達は部屋へ戻った。



部屋へ戻ると、乾燥わかめと買ったばかりの長ネギ一束を用意する。

5本程束ねられた長ネギをばらばらにし、適当に一本選ぶ。

炊き出しに使ってもらえないのならと、贅沢に二人分長ネギを刻んだ。



夕方炊き出しを頂に行く。

器と箸は勿論の事、白い買い物袋には刻んだばかりの長ネギと

乾燥わかめが潜んでいる。

おにぎりは、もうなくなったとの事で、汁物だけ器によそってもらい、

体育館横の人気の少ない一画へ。

二人並んで、冷たいコンクリートの上に腰をおろした。

あらためて器をのぞくと、豆腐と揚げ豆腐だけが沢山入った味噌汁。

その中へ、持参した刻んだ長ネギと乾燥わかめを贅沢に放り込む。

これで少しはお腹が膨れるかな。食べようと、器の中をかきまわす。

自分が刻んだ長ネギとは切り方の違うそれが一切れ顔をのぞかせた。



ここで思う。

長ネギの一束や白菜くらい、ちゃちゃっと切って鍋に放り込めば終わり

じゃないのか?

お年寄りは肉を食べられないというのなら、豚汁もとりそばも食べられ

ないというのか?

お年寄りは油っこいものはダメと言ったのに、揚げ豆腐は入っている。

ちなみに自分達は、”炊き出し” といえば ”汁物” くらいの想像は

出来るのだ。はじめから、汁物には向かない物など持ってくる気はない。

”全員に同じもの” と言いつつ、結局自分達は ”同じもの” はもらえ

ていないのだ。早い者勝ちと言うならばそれでもいい。

ならば、“全員に同じ物” とか “約1,000人分の材用調達ができるのか“

等と言われた揚句、おにぎりをもらえなかった自分の立場は・・・。



食べ物が無くて、困っているから炊き出しをもらいに来るのに、汁物に

入っている具の一切れや二切れで文句をつける人がいるのなら、ぜひ

一目見てみたい。



寒空の下、久しぶりに食べる温かい味噌汁は、身体にしみわたった。























車へ戻って、早速昼食。

温かいうちに食べようという事で意見が一致し、一パックづつ手にとる。

何とも言えない温かな重み。

蓋を開けると、思い切り吸い込みたくなるデミグラスソースの香り。

目を釘付けにする、色と照り。やばい、やられそうだ。

今の状況で目の前の御馳走をオアズケされたら、転げまわってしまう。

間髪いれずに 『いただきます!』

口に入れると、何とも言えないデミグラスソースの味と香りに全身染まる。

『ああ、こんな時にこんなに美味い物を食べているなんて、どれだけ

贅沢なんだ!自分!』


一気に食べ終わりソースまで飲み干す。至福の時間は終わりだ。

名残惜しいが、もうない物はない。


ふと思う。『あそこのお弁当屋さん、まだガスコンロ使えるんだよな。』

自分の家の冷蔵庫には、買ったばかりで手つかずの食材があった。

このまま、ガスも電気も水道も使えない状態で、それらを腐らせる

くらいなら、ガスコンロのある人に提供した方がいい。

そう思い立ち、再度お弁当屋へ。


お弁当屋さんのおくさんに訳を話すと、自分達と同じような事を考えて

いたようで。

お弁当屋さんには業務用冷蔵庫が何台かあり、その中は食材で

いっぱいなのだそうだ。電気の来ない冷蔵庫で腐らせるくらいならと、

炊き出しに使ってほしい旨を避難所へ伝えに行ったそうだ。

しかし、断られたのだという。

そこでおくさんも含め、いろいろ話した結果、自分達が避難所へ話を

しに行く事となった。


これからしばらくの間は、自分達も避難所の炊き出しを利用する事に

なりそうだし。協力出来る事があるのなら協力したい。


避難所へ行く途中、お弁当屋さんのすぐ近くで行列を見た。

行列の先には焼き鳥屋さん。

『ああそうか、焼き鳥は炭火で焼くからな。』

もしこの人達が、お弁当屋さんが開いていた事に気付いていたなら、

自分達はあんな時間を過ごせなかったかも知れない。


この状況下にあって、自分達は何と幸運なのだろう。

心の中で様々なものに感謝する。



近況報告 4 を読んで下さった皆様から、メッセージ、手紙等頂きました。

ありがとうございます。


今は、とにかく自分が書きたいと思う事を書いていこうと思います。

いずれ、このブログを書いて良かったと思える時がくる事を願って。


今日はかなり余震が多いです。

最近夜に眠れなくなってしまったため、昼間に睡眠をとる事が多いのです

が、今日は携帯の ”緊急地震速報” に叩き起こされました。

それからずっと余震が続いているため、正直あきれています。

夕食にカレーを作ったのですが、ジャガイモをいじっている間だけでも

数えきれない余震に手を止めるはめに。

『こんなんじゃあ、今日中にカレー出来ないぞ』 と思いつつどうにか

完成しました。


食べ終わり、しばらくして急に気持ち悪くなって、吐いてしまいましたが。

自分の名誉のために言っておきますが、決して食中毒の類でもなければ

激マズだったわけでもありません。


地震の後、寝ている最中急に気持ち悪くなる事もたまにあったので、

胃の調子でも悪くなったのでしょう。


繰り返しますが、カレーは美味しかったですよ!

いや、ほんと、まじで。