52. お金が一番? | 憂さ憂さうさぎ

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世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

とうとう自分達が入店する番。一人一つの買い物かごが手渡される。

この店内に、何が残っているのか。

沢山の人に商品が行き渡るようにとの配慮で、一人10品までということ

にはなっているが、時間も時間だしあまり期待できないかも知れないと、

不安を抱えながら店内を物色する。

米とパンは無いと言っていた。棚の間を巡ると、干麵の類は皆無・・・いや

日本そばが一袋ぽつんと棚に。あとは、うどんもそうめんも無い。

勿論スパゲティーもない。

粉類のコーナーからは、小麦粉もホットケーキミックスも姿を消していた。

即席の袋ラーメンも無い。牛乳もない。冷蔵コーナーはガラ空き。

棚という棚から物が消えていた。

何故か、カップラーメンが山積みのコーナー。

見るとそれは、 “ぺヤングソース焼そば” と “一平ちゃん”

一平ちゃんは、醤油・味噌・とんこつ 三種類もある。しかも大量に。

一人10品という決まりがあるため、本当は5食入りの即席袋ラーメンが

欲しかったのだが、無い物は無いのだ。贅沢は言っていられない。

今はカップラーメンに縋ろう。

幸い、卵が沢山積んであった。3パック入手。

豆乳とコーンフレークがあれば、コマーシャルのようなおしゃれな朝食

を再現出来るだろう。まあ、腹が満たされるか否かは別の話だが。

菓子類はかなり残っていた。

ファミリーサイズの大きな袋は消えていたが。

友人の提案で、“腹にたまるお菓子” という名のバームクーヘンを

購入する。

『そうだ!米がもらえるのだから、炊きこみご飯の素があれば、食事の

バリエーションが増えるぞ。』

見に行くと、“松茸ご飯の素” 以外はもうほとんど残っていない。

値段を見て納得。松茸風味は他の約1.5倍だ。

とにかく残り少ない炊き込みご飯の素は、2つ手に入った。

会計。ああ、予定外の出費。お金に羽根が生えて飛んでいく。

『さようならぁ。また会いたいねぇー。』

こんな時だからこそ、商品の値段など気にしている余裕はないのだ。

多少高くても、これを買わなければ食べ物が無いのだから。

しかしこんな状況下でも、“ お金 ” がものをいうなんて。

全く悲しい世の中になり下がったものだな。

被災し食糧に困っても、お金が無ければ物が手に入らない。

お金が無かったら、避難所へ行って

“ 自宅難民なのに避難所に頼るなんて ”

という目を向けられながら、炊き出しを頂くしかないわけだ。

実際、避難所の炊き出しをもらいに行った自宅難民が、

「お宅は電気が復旧しているでしょ。炊飯器使えるんでしょ。」

と窘められたという話があるくらいである。

財布から離れて行く紙幣を見ながら思う事。

ああ、こんな世の中に誰がした?????